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アルテイシアの熟女入門

2021.05.01 更新 ツイート

○○○が痛いJJの愉快な冒険は続く アルテイシア

先日、夜中に「アナルが痛い!」と飛び起きた。

アナルを痛めるような行為はしていないのに、なぜアナルが痛むのか。いやこれはアナル本体じゃなくその周辺、尾骨の痛みじゃないか。ひょっとして坐骨神経痛なのでは……??

とググったところ、症状がマッチした。坐骨神経痛の原因としては運動不足、デスクワーク、加齢などがあり、見事にコンプリートしている。

 

加齢によるヒザの痛みなどは覚悟していたが、まさかアナル周辺が痛むとは。思わぬ伏兵の登場に震えつつ、ストレッチに励む日々である。

そんなJJ(熟女)のアナル事情はさておき、読者の方からこんなDMをいただいた。

〈私は社会人2年目の会社員です。男性上司から冗談めかして「女に見えない」「お前なんか痴漢にあわない」と言われてきましたが、先日「傷つくのでそういうこと言うのはやめてください」と言い返すことができました。

アルさんのコラムを読んで「失礼なことを言われたら怒っていい」「言われたら言い返してやる」と思えたから、行動を起こせました。コラムを読んでいなければ「こんなことで怒るなんておかしいかな」「自意識過剰と思われるかな」と行動できなかったと思います。

上司は私が傷ついてると思ってなかったみたいで、謝ってくれました。いま私が元気に働けているのはアルさんのおかげです。そのお礼が言いたくてDMさせていただきました〉

感無量(感無量)と全俺が号泣した。アナルの痛みも吹っ飛ぶぜ。

怒るべき時に怒らないと、自分の尊厳は守れない。でも「怒ることは悪いこと」と刷り込まれている日本人は多く、ジェンダーギャップ指数120位のヘルジャパンでは、怒る女は特に叩かれる。

私もかつては「女は笑顔で愛想よく」「セクハラされても笑顔でかわせ」と洗脳されていた。その結果どんどんナメられて、セクハラやパワハラの標的にされていた。

ドイツに住んでいた女友達が「日本に帰国して、平気で失礼な発言やセクハラしてくる男が多くてギョッとした」と話していた。「ドイツの女性はバチバチに怒るから、男性もナメたことできないのよ。そういう社会だと、女にナメたことする男は男からも嫌われるんだよね」とのこと。

日本の女性は怒り慣れていないため、いざという時に怒れないんじゃないか。

不当な扱いを受けた時は「いともたやすく行われるえげつない行為(D4C)」並みのスピードと破壊力が必要で、そのためには怒るトレーニングが大事だろう。

また、JJが率先して怒っていくことも大事だと思う。

私は女友達と「怒れるJJの会」をよく開いている。最近は「浪速の石田ゆり子」の二つ名を持つ友人(大企業の管理職)からこんな話を聞いた。

男性上司から「女同士ってドロドロしてるよな」と言われたゆり子は「それどういう意味ですか?」とプーチン顔をキメて「私も女性ですし、社内にもお客様にも女性は大勢います。女はドロドロして陰湿、といった偏見に満ちた発言をするのは不適切だと思いませんか?」と返したという。

「上司からは面倒くさい女、うるさい女と思われてるけど、それが自分の役目だと思ってる。これからの女の子たちのためにも戦わなきゃね」というゆり子の『覚悟』に、全俺が痺れて憧れた。

「『覚悟』とは! 暗闇の荒野に!! 進むべき道を切り開く事だッ!」とジョルノ・ジョバァーナも言っている。このアルバァーナも「女の敵は女 そんなバナナ わけわかめ 黙れバカめ♪」とJJラップを歌いたい。

一方、同世代には「女性差別はなくならないし、怒っても無駄」「いちいち気にせずスルーするのが賢い生き方」と考えるJJもいる。

彼女らは「今の若い子は敏感すぎる」と言うが、敏感で何が悪いのか。若い頃の私は無知で鈍感で、無意識に他人を傷つけていた。差別やハラスメントに敏感でいる方が、うっかり誰かを傷つけずにすむ。

敏感でいること、違和感を大事にすることは、自分と他人を大事にすることだと思う。

また差別やハラスメントに鈍感だと「そんな大げさに騒がなくても、私が若い頃はもっと大変だった、今の若い子は我慢が足りない、権利ばかり主張する」と感じてしまって、被害者の立場に寄り添えない。

その結果、被害者が声を上げられない空気を作り上げ、差別を温存する側、差別に加担する側になってしまう。

そんなこといちいち考えない方が楽だし、長い物に巻かれた方が得だし、賢い生き方なのかもしれない。

上司が男尊女卑的な発言をした時に「そうですね」と合わせれば、話がわかる奴だと認められて、仲間に入れてもらえる。そこで「それ不適切ですよ」と注意すれば、排除や報復をされる恐れがある。

男社会に適応するか、抵抗するか。二つの選択を迫られた時、適応せざるをえなかった彼女らのつらさもわかるのだ。私もフェミニズムに出会わなければ、そっちの道に進んでいたかもしれない。

氷河期世代の女たちは自分が生き延びるのに必死だった。今よりもっと過酷な男社会でガムシャラにがんばってきて、男尊女卑に殴られても怒る余裕もなかったのだと思う。感覚を麻痺させないと生きられなかったのだと思う。

でもそうやってわきまえてきた結果、社会を変えられなかったんじゃないか。

15年前の日本のジェンダーギャップ指数は79位で、そこから120位まで順位を下げた。一方、たとえばフランスは70位から15位まで順位を上げている。
先進国で唯一順位がダダ下がりなのは、政治や社会システムや国民性や歴史など、さまざまな要因があると思う。日本の性差別が解消されなかったことは、もちろん女性だけの責任ではない。差別する人間がいなければ、差別はなくなるのだから。

でもやっぱり他国の女性たちがバチボコに怒ったこと、「差別するな! 女にも権利をよこせ!」と一斉に声を上げたことは大きいんじゃないか。

私が毎日納豆を食べる理由」で書いたように、怒り続けるにはエネルギーがいる。「怒っても無駄」「どうせ変わらない」と諦めた方が楽だし、思考停止して現状を受け入れる方が省エネだ。でもそういう人ばかりだと、世界は永遠に変わらない。

参政権を求めて運動した女性たちも「イカれた女たち」とバッシングされながら、次世代にバトンをつないだ。2017年に#MeTooムーブメントが起こって、世界中の女性たちが声を上げ始めた。

声を上げる人が多数派になれば、オセロのように世界をひっくり返すことができるだろう。

私は性差別を含むあらゆる差別を許せないし、駆逐したいと思っている。それは次世代のためでもあるが、子どもの頃から差別やいじめが嫌いだったからだ。

むかつくのだよ、自分より弱いものを叩いて、優越感を得ようとする奴らが。と進撃のザックレー総統みたいになってるが、芸術的な拷問には興味がない。

米国Netflixのドキュメンタリー『ミス・レプリゼンテーション 女性差別とメディアの責任』の中で印象的な言葉があった。

「見えないものには、なれない」「お手本がないと、女の子はそれを目指せません」

不当な扱いを受けたら怒っていいんだ、尊厳を守るために怒るべきなんだ。女の子たちがそう思うためには、怒る女のお手本が必要だ。

だから私は怒れる仲間たちと「わきまえてたまるかYO!」と声を上げ続ける。Fuckingな連中、くだせ天誅♪

「男社会に適応するのはもうやめた、怒れるJJに俺もなる!」という方は、いつでもジョインしてほしい。ようこそシスターフッドの世界へ、ヘルなジャパンでも気分はヘブン♪と大歓迎する。

そして一緒にアナル体操をしよう。実はこの原稿も肛門を開け閉めしながら書いている。坐骨神経痛の予防には骨盤底筋トレーニングがよい、とネットで読んだからだ。

アナルを鍛えたらウンコのキレがよくなりそうだし、屁で空を飛べる日が来るかもしれない。

45歳の私は気を抜くとアナルやウンコと口走るし、親の葬式で「また死人が出たらお願いします」と葬儀屋さんに挨拶するなど、不謹慎さには定評がある。

そんな見た目は中年、頭脳は子どもの逆コナン君だが、大人の責任を果たしたい。世界を少しでもマシにするために、長生きして百歳まで怒れるおばあさんを目指したい。

そのために「真の『覚悟』はここからだッ!」とアナルを引き締めて、JJの愉快な冒険を続けたいと思う。

関連書籍

アルテイシア『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』

生涯のパートナーを求めて七転八倒しオタク格闘家と友情結婚。これで落ち着くかと思いきや、母の変死、父の自殺、弟の失踪、借金騒動、子宮摘出と波乱だらけ。でも「オナラのできない家は滅びる!」と叫ぶ変人だけどタフで優しい夫のおかげで毒親の呪いから脱出。楽しく生きられるようになった著者による不謹慎だけど大爆笑の人生賛歌エッセイ。

アルテイシア『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった アルテイシアの熟女入門』

加齢最高!大人気連載が1冊になりました。若さを失うのは確かに寂しい。でも断然生きやすくなるのがJJ(=熟女)というお年頃!おしゃれ、セックス、趣味、仕事等にまつわるゆるくて愉快な熟女ライフがぎっしり。一方、女の人生をハードモードにする男尊女卑や容姿差別を笑いと共にぶった斬る。「年を取るのが楽しみになった」「読むと元気になれる」爆笑エンパワメントエッセイ集。

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アルテイシアの熟女入門

人生いろいろ、四十路もいろいろ。大人気恋愛コラムニスト・アルテイシアが自身の熟女ライフをぶっちゃけトークいたします!

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アルテイシア

神戸生まれ。現在の夫であるオタク格闘家との出会いから結婚までを綴った『59番目のプロポーズ』で作家デビュー。 同作は話題となり英国『TIME』など海外メディアでも特集され、TVドラマ化・漫画化もされた。 著書に『続59番目のプロポーズ』『恋愛格闘家』『もろだしガールズトーク』『草食系男子に恋すれば』『モタク』『オクテ男子のための恋愛ゼミナール』『オクテ男子愛され講座』『恋愛とセックスで幸せになる 官能女子養成講座』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『アルテイシアの夜の女子会』など。最新作は『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった』がある。 ペンネームはガンダムの登場人物「セイラ・マス」の本名に由来。好きな言葉は「人としての仁義」。

twitter : @artesia59

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