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年齢は捨てなさい

2020.10.30 公開 ポスト

自分で決めた年齢だから誰にも文句は言わせない 下重暁子

「今日という日が人生で一番若い」「年を重ねた今が一番自分らしい」とおっしゃるのは、元NHKアナウンサーで、現在は作家・エッセイストとして活躍されている下重暁子さん。年齢なんかに束ねられない、もっと自由に自分らしい、さらに個性的な生き方とは。

樹木希林さんや瀬戸内寂聴さんといった方々のエピソードとともに、年齢にとらわれない生き方のヒントが書かれている書籍『年齢は捨てなさい』から、抜粋してご紹介します。

*   *   *

青春とは心の持ち方を指すもの

私には82歳という自覚がありません。確かに毎年誕生日も来ますし、年を確実に重ねていますが、その感覚がまるでありません。なんとおめでたいといわれそうですが、実際おめでたいのです。いつだって。

物事は悪い方へ考えないし、いい方へ考えるようにしていると、なぜか好転していきます。悪い方へ悪い方へと考えていると、そちらの方向に全てが転がっていきます。考えを司っているのは自分自身なのですから。自分がどう思うか、どう考えるかによって、よくも悪くもなっていく。その意味ではおめでたい方がいいのです。そこには、なるようにしかならないという諦観も含まれています。

(写真:iStock.com/bee32)

これから実年齢は上がる一方ですが、私の中ではもう一つ主観年齢があって、自分でその時、いくつと決めれば、それが私の年齢です。そのことには誰も文句はいわないでしょう。誰にも迷惑はかけないはずですから。

不思議なことに、私はこれまでの人生の中で、今が一番頭も体も冴えていると感じています。判断力も決断力も、今が一番よくなってきたと自信を持って思うのです。

集中力もあり、隣に人がいても平気で原稿を書くことが出来ます。人の話し声は気になりますが、音楽などはかえってあった方がいい……。たいていはオペラをはじめ何らかのクラシックをBGMに仕事をしています。無音の方が不気味で落ち着きません。言葉の意味がわからない方がいいので、外国語のオペラなどがちょうどいい。

今も仕事場のNHK-FMでチマローザの「秘密の結婚」という珍しいオペラを聞いています。

若い頃からあまり周りが気にならず、パチンコ屋の騒音の中で原稿を書くことも出来ました。手書きを頑固に守っていますから、ペンか鉛筆と紙と頭さえあれば、どこででも書ける。

82歳を実年齢と呼ぶのもやめたいと思います。戸籍上の年齢でしかなく、実感があるわけではないのですから。

誰かから実年齢についていわれたら、反論するのは面倒なので、柳に風と受け流しましょう。そして心の中で呟く。

「そうよ、周りはそういうわね。でも私の中では60歳よ。頭も体も」と。

 

日本の昔話に、1杯飲むたびに1歳若くなるお酒があるという話があった気がするのですが、お酒の力を借りずとも、自分の心持ち一つで、いくらでも若くなることは可能なのです。

青春とは人生のある期間を指すのではなく、心の持ち方を指すものである

人は信念と共に若く、疑惑と共に老いる

サミュエル・ウルマンのこの詩は特に日本の経済人に愛されているといいますが、もとはといえば、戦後日本にパイプ片手に降りたったマッカーサー元帥の執務室にかけられていたものだといいます。

日本人の応援歌のようになっているこの詩を、もう一度思い出してみましょう。

客観年齢にしばられることはないのです。

そうすれば、「年がいもなく」「年相応に」「もう年だから」などという言葉は出てこないはずです。

外見の若さを求め続けると、いつか破綻する

信念を持っている人はいつだって若く、疑惑を持ち始めたら老いるというのは、その通りだと思います。

「青春まっただ中」と無理をする必要はないのです。心の声に従ってやりたいことをやり、生きたいように生き、自分を大切にすることが青春なのです。

中国でいう「朱夏」「白秋」、どれもいい言葉です。親類に「朱夏」という名の少女がいます。アヤカと読ませているのですが、私はいつも「朱夏(しゅか)ちゃん」としか呼ばないのです。

(写真:iStock.com/yacobchuk)

あなたの青春はいつでしたか。いやいや過去形ではないはずですね。今が青春と思える人は幸せです。

私は肉体的にはともかく、精神的には20代、30代の頃より、今がずっと青春に近い気がします。

なぜなら、いわゆる青春時代は悩みと出口なしの憂鬱にすっぽり覆われて楽しくなかったからです。いつも鎧(よろい)を着ていて、本物の自分を隠すことに疲れ果てていました。

今は鎧の下の裸の自分をさらけ出すことに、ためらいはありません。自分を表現することが楽しくて仕方がない。その日その日が青春とはいわないまでも、生きている実感があります。

そのことに私はほんとうに感謝しています。長い長いトンネルを出るまでの毎日の辛さ、苦しさ、そこから逃げずに自分で判断し、行動してきた結果だと思えます。

関連書籍

下重暁子『年齢は捨てなさい』

年齢を気にせず好きなことに没頭している人は、みな若くてイキイキしている。一方で「もう年だから」が口癖の人は総じて老け込み、わびしい人生を送っている。ことほどさように年齢を意識しすぎることは何の得にもならず、生き方を狭めてしまうだけである。「年齢を聞くことは品のない行為」「『還暦祝い』が嬉しい人はいるのか」「今日という日が人生で一番若い」「外見の若さを求め続けると、いつか破綻する」「年齢を自分で決めると楽になる」等々、年齢を超越し、充実した人生を送るヒントが詰まった一冊。

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年齢は捨てなさい

「今日という日が人生で一番若い」「年を重ねた今が一番自分らしい」とおっしゃるのは、元NHKアナウンサーで、現在は作家・エッセイストとして活躍されている下重暁子さん。年齢なんかに束ねられない、もっと自由に自分らしい、さらに個性的な生き方とは。

樹木希林さんや瀬戸内寂聴さんといった方々のエピソードとともに、年齢にとらわれない生き方のヒントが書かれている書籍『年齢は捨てなさい』から、抜粋してご紹介します。

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下重暁子

早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。女性トップアナウンサーとして活躍後、フリーとなる。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。ジャンルはエッセイ、評論、ノンフィクション、小説と多岐にわたる。公益財団法人JKA(旧・日本自転車振興会)会長等を歴任。現在、日本ペンクラブ副会長、日本旅行作家協会会長。『家族という病』『家族という病2』『極上の孤独』(すべて幻冬舎新書)など著書多数。

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