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同姓同名

2020.09.16 公開 ツイート

「登場人物全員同姓同名」のミステリを読んだことありますか 幻冬舎編集部

そろそろ秋になってきました。「読書の秋」とも言いますが、みなさんはどんな本を読みたくなるでしょうか。腰を据えて読書するときにオススメなのが、やはりミステリ。著者が張り巡らした伏線に目をこらしながら、騙されないぞ、騙されないぞ、と読み進めるも、鮮やかにどんでん返しされる快感は、ミステリでしか味わえないものではないでしょうか。

そんな中でもこの秋いちばんのオススメは、乱歩賞作家・下村敦史さんが「ミステリ作家生命をかけた」と言っても過言ではない勝負作、『同姓同名』です。

『同姓同名』

もし自分が犯罪者と同姓同名になってしまったら

 

大山正紀(おおやままさのり)はプロサッカー選手を目指す高校生。いつかスタジアムに自分の名が轟くのを夢見て練習に励んでいた。そんな中、日本中が悲しみと怒りに駆られた女児惨殺事件の犯人が捕まった。犯人は未成年。実名報道が伏せられる中、週刊誌が暴露した名は「大山正紀」。報道後、サッカー推薦の枠から外れた高校生の大山正紀を始め、不幸にも殺人犯と同姓同名になってしまった”名もなき”大山正紀たちの人生に影が落ちる。

そして7年後、刑期を終え大山正紀が世に放たれた。加熱する犯人批判、暴走する正義、炎上するSNS。犯人に名前を奪われ人生を汚された大山正紀たちは『”大山正紀”同姓同名被害者の会』に集い、犯人を探し出そうとするが−−。大山正紀たちには、それぞれの秘密があった。

(『同姓同名』帯表4より抜粋)

もしも自分がそうなったら……と想像するのも嫌な設定。そして、「私は犯人じゃないから関係ない」と無視できないほどに、一人歩きするSNSの犯人探しや、正義の暴走。最近のSNSの炎上などをみていても、決して他人事じゃない、そして小説だけどフィクションでは片付けられない現象が次々と起こる名前を巡るミステリ。この作品に込めた著者の並々ならぬ思いとは。下村敦史さんからコメントをいただきました。

誰もが誰かの同姓同名

『闇に香る嘘」で第60回江戸川乱歩賞を受賞してデビューしてから6年が経ちました。刊行した単行本は16冊。そんな僕が着想から3年半の年月をかけて全力で練って書き上げ、ミステリー作家人生を賭けた勝負作がこの『同姓同名』です。

登場人物全員が同姓同名。

物語には10人以上の”大山正紀”が登場します。他人を攻撃する言葉があふれる現代社会の中、こんな事件の犯人と同姓同名になりたくない、と誰もが願うような残虐な女児殺害事件の犯人と同姓同名だった人々の物語です。

社会派でありながら、渾身のミステリーです。誰がどの”大山正紀”なのか。その”大山正紀”はなぜそのような行動をとるのか。それぞれの真意は?

この作品が評価されなければ今後どんなミステリーを書いても僕はダメだろう、と思うほどの覚悟を込めた作品です。僕の著作の中でも最も丁寧にプロットを作り込み、最もボリュームがあり、最も想いを込めました。

読者の誰もが誰かの同姓同名です。そんな物語をどうぞ楽しんでいただけたら幸いです。

(下村敦史:1981年京都府生まれ。2014年『闇に香る嘘』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。数々のミステリランキングで評価を受ける。15年「死は朝、羽ばたく」が日本推理作家協会賞(短編部門)の、16年『生還者』が日本推理作家協会賞(長編及び連作短編部門)の候補に、『黙過』が第21回大藪春彦賞の候補となる。ほか『絶声』『法の雨』など幅広いジャンルで著書多数)

前代未聞のミステリ『同姓同名』。早くも続々と届いている興奮の声を次回はご紹介いたします。

(登場人物全員、同姓同名!?)

関連書籍

下村敦史『同姓同名』

〜ミステリ作家からの挑戦状〜 登場人物全員、同姓同名! 大胆不敵、大混乱ミステリ待望の文庫化。 大山正紀はプロサッカー選手を目指す高校生。いつかスタジアムに自分の名が轟くのを夢見て 練習に励んでいた。そんな中、日本中が悲しみと怒りに駆られた女児惨殺事件の犯人が捕まった。 週刊誌が暴露した実名は「大山正紀」ーー。報道後、不幸にも殺人犯と同姓同名となってしまった “名もなき"大山正紀たちの人生が狂い始める。 これは、一度でも自分の名前を検索したことのある、 名もなき私たちの物語です。 書き下ろし短編「もうひとりの同姓同名」収録

下村敦史『もうひとりの同姓同名』

「私が殺されたーー?」 殺人事件の被害者と同姓同名の私は……。 須藤夏生は、ニュースで自分と同姓同名の女性が男のアパートで殺されたことを知る。全くの別人なのに親すら心配して連絡をしてくる。やがて自分も男に殺される夢を見るようになり。悩んだ末「同姓同名被害者の会」を開設するが。

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