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絶対に失敗しない料理のコツ おいしさの科学

2020.02.15 公開 ツイート

お米は研がずに手早く「洗う」…これでご飯がもっと美味しくなる 松本仲子

だしのとり方、米の炊き方、肉の焼き方、野菜の茹で方……知っているようで知らない、料理の基本。女子栄養大学名誉教授、松本仲子先生の『絶対に失敗しない料理のコツ おいしさの科学』は、そんな料理の基本をイチから教えてくれる、心強い一冊です。いつもの料理がもっと簡単に、間違いなくおいしくなること間違いなしの本書から、調理のコツ&すぐに実践できるレシピをご紹介します。

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お米は「研ぐ」のではなく、手早く「洗う」

お米を洗うことを「研ぐ」ともいいますが、これはお米をこすり合わせるように洗うこと。そもそもお米を洗うのは、表面に残ったぬかを洗い流しつつ、ぬかの臭いを取り、つやのあるご飯に炊き上げるためです。しかし、最近は精米技術が発達して、昔ほどお米にぬかが残っていません。そのため、力を入れて研ぎすぎると、摩擦によって表面が削り取られてしまいます

(写真:iStock.com/kuppa_rock)

お米を洗う際、ぬかがどのくらい取れているかは、ぬかに多く含まれるリンの量を測るとわかります。実際にお米を洗った水のリンの量を調べてみると、水を入れてさっとかき混ぜたあと、すぐに水を捨て、軽くかき混ぜながら2~3回水をかえるだけでリンの量が減り、ぬかはほぼ残っていません。つまり、お米は「研ぐ」必要はなく、さっとかき混ぜて「洗う」だけで充分なのです。

また、お米は乾燥していて、洗っている間もどんどん水を吸っていきます。ぬかを含んだ水にお米をつけておくと、その水を吸うことでぬか臭くなります。さらに、洗っては水をかえる作業を何度も繰り返すと、水を吸ってやわらかくなったお米の表面のでんぷんなどが削り取られ、いつまでも水が白く濁ったままに……。お米は手早く洗い、すぐに水を捨てるのがポイントです。

新常識 よく洗わないお米には本来のおいしさが残る

「お米はよく洗ってから炊くもの」と思っている方も多いことでしょう。先にお話ししたように、最近のお米は精米技術が上がったことで、ぬかがほとんど残っていません。そのため、力を入れて研ぎすぎると表面が削り取られ、お米本来のぬかの香りが薄れて、淡泊な味に仕上がります

かすかに残るぬかの香りは、ご飯らしい風味を醸し出すもの。お米は、さっと洗うだけで充分です。一度、お米を洗わずに食べてみてもいいでしょう。洗い方による味の違いを体感できます。

水加減は、お米の容量の2割増し

ご飯は、水と熱の加え方がおいしさの決め手となります。最近では、ほとんどの人が炊飯器でご飯を炊くことと思いますが、ここでは基本の炊き方をおさらいしておきましょう。

まずお米を炊くときの「水加減」とは、お米のでんぷんを上手にα化させ、おいしいご飯にするために必要な水の量のこと。ご飯のかたさには好みがありますが、昔の人は経験を通して、お米の容量の2割増し、重量の5割増しの水加減を目途に炊いてきました

炊き上がったご飯は、お米の重量の2.2~2.3倍となります。炊飯器の水の量もこれをもとに設定されていて、例えば100gの米に140gの水を加えて炊くと、10~20gの水は蒸発し、炊き上がったご飯は220~230gとなります。

ちなみに、ご飯の65%は水分。ご飯は太るというイメージがありますが、適度に食べれば満腹感があって間食が減り、ダイエットにも適しています

ご飯の基本の炊き方

お米は乾物のひとつ。そのため鍋でお米を炊く場合は、まず水に浸し、中心までしっかりと水を含ませて戻す必要があります。お米の中心まで水が行き届いていないと、うまくαでんぷんに変化せず、芯の残ったご飯になってしまいます。夏は30分、冬の冷たい水なら1時間を目安に、水に浸してください

お米を炊き始めると、沸騰するまで吸水しながらやわらかくなります。充分に水を吸うには8~10分必要で、これより短いと中はかたく、表面には水分が残ってベタついてしまいます。沸騰後は、水を含んだお米に熱が加わってβでんぷんがαでんぷんに変化しますが、この過程には100℃で15~20分ほどの加熱が必要です。加熱時間が短いと、ふっくらと仕上がらず、生っぽいご飯になります。

さらに、ご飯をおいしく炊き上げるには火加減も重要です。沸騰した直後はまだ鍋に水分が残っていて、その水が蒸発するので温度が下がり気味になります。お米は高温で加熱すると、でんぷんやたんぱく質の分解が促されておいしくなるといわれるため、温度が下がらないよう沸騰しても数分間は強火にします。そのあとは焦げないよう中火か弱火に落とし、15~20分加熱したら火を止めてください。

火を止めても、ふたはすぐに取らず、そのまま10分ほど蒸らします。これは残っている水分をご飯に吸わせたいから。よく耳にする「赤子泣くともふた取るな」とは消火後のこの時間を指すともいわれ、ふたを取らないのは中の温度を下げないためです。

ご飯の食感(かたさ・粘り・ふっくら加減)は、水加減や火加減によって変わります。鍋で炊く経験を重ねて、自分好みに炊き上がるようほどよい分量を見つけてください。

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この続きは書籍『絶対に失敗しない料理のコツ おいしさの科学』をご覧ください。

関連書籍

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松本仲子

1936年生まれ。女子栄養大学名誉教授。聖徳大学大学院兼任講師。管理栄養士。医学博士。専門分野は調理学、官能評価法、食文化論。「調理法の簡便化が食味に及ぼす影響」等の研究多数。著書に『楽しい食品成分のふしぎ 調理科学のなぜ?』(朝日新聞出版)、『調理と食品の官能評価』(建帛社)、『日本食と出汁―ご馳走の文化史―』など多数。

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