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妻語を学ぶ

2020.02.07 公開 ポスト

アドバイスしたがる「男性脳」、共感してほしい「女性脳」黒川伊保子

「何もわかってない!」と責められる、「もういい!」と突然キレられる、急に不機嫌になって口を利いてくれない……。男性にとって永遠の謎ともいえる「女性の不機嫌」。この謎を脳科学の観点から解き明かしてくれるのが、人工知能研究者、黒川伊保子さんの『妻語を学ぶ』です。この本に書かれていることを実践すれば、奥さんや彼女の機嫌も一発でよくなるかも? そんなとっておきの処方箋をいくつかご紹介しましょう。

*   *   *

アドバイスより「共感」を

女性脳は、何よりも共感を求めている。話を聞いてくれて、共感さえしてくれればOK。男に問題解決なんか期待してはいない。

(写真:iStock.com/itakayuki)

そのことに気づいている男性は多い。しかし、その意味の深さを、本当に知っている男性はあまりいない。

だから、男同士の飲み会では「女なんてさぁ、共感してやりゃあいいんだよ」なんてうそぶいているくせに、実際には、妻の話に、つい問題解決をかましてしまうのである。たとえば、PTAで起こったややこしいあれこれを訴えてくる妻に、「嫌ならやめればいいじゃないか」みたいにね。

女性脳は、共感してもらうことで、ストレスが減衰する。なぜならば、共感してもらうことで、自分と子どもの生存可能性が上がるから。共感こそが、最大の問題解決なのである。

私たちは、哺乳類である。人類には2年以上にも及ぶ授乳期間があり、そのうえ、最初の1年は子どもは歩けない。そんな人類の女性たちは、オオカミのように荒野で単独の子育てをすることはできない。体調を崩しておっぱいが出なくなったら、もうおしまい。2年以上の長きにわたって授乳する身に、それではリスクが高すぎる。

というわけで、太古の昔から、女同士の密なコミュニケーションの中でうまくやってこられた女性だけが、無事に子どもを育て上げてきたのである。21世紀の女性脳は、その進化の果てにある。

そんな女性にとって、共感してもらうことは、最強である。戦いに勝って恐れられ、遠巻きにされるより、「わかるわ、あなたの気持ち」「わかるわ、あなたの事情。お子さん、大丈夫?」と言ってもらうほうが、子どもは守られる。気にかけてもらえて、体調の変化にも気づいてもらえる。

だから、女性にとって共感は、戦いに勝つことより、問題解決より大切なこと。共感欲求は、男性の想像をはるかに超えて強く、その好感度が高いのである。共感さえしてもらえれば、ほっとしてストレスが減衰し、明日からもまた頑張れる。

したがって、PTAで起こったあれこれを訴えてきたときの理想の答えは、「PTAって、ホント大変なところだな。任せっぱなしにして、ごめんな。しかし、きみみたいなデキる女がいなかったら、回らないだろう」みたいな感じ。

「公平な評価」はいらない

もちろん、この国の夫のほとんどが、こんなセリフは言えていない。真逆の批判、「嫌ならやめればいいじゃないか。そんな愚痴言うくらいなら、なんで役員なんか引き受けたんだ」なんて返してしまう男性の、いかに多いことか……。当然、女はキレる。

(写真:iStock.com/takasuu)

男性は逆ギレと呼ぶが、逆なんかじゃない、正当な怒りである。「ねぎらいと共感」をあげなければいけない局面で、無駄な矢を放ってくるのだから。

というわけで、「アドバイスしていたら、逆ギレされた」は、「共感とねぎらい」をあげ損ねた証拠。これを挽回するには、「きみの気持ちは痛いほどわかるよ」くらいは言わないとね。

女性が人間関係のトラブルや愚痴を語り始めたら、「そりゃあ、ひどいね」「きみは、正しい」「よくわかる、その気持ち」と共感のあいづちを打ちながら、ひとしきり話を聞いてあげるのがマナーなのである。

間違っても、いきなり「相手の言うことにも一理ある」「きみも言い方が悪いよ」なんて公平な評価をしてはいけない。女性がパートナーに期待しているのは、中立の評価者なんかじゃない。えこ贔屓して「よしよし」してくれることなんだから。

そして、誰かが思う存分えこ贔屓してくれたら、「私も、悪かったかも」「こうしてあげればよかったかも」という公平な気持ちになるのが、カワイイ女性脳なのである。

重ねて言うが、女性との対話はそれが「相談」のように聞こえても、「まずは共感、次に共感、そして最後にアドバイス」が基本のリズムだ。

問題を抱え、不安や不満を感じ、共感を期待している女性脳にとって、「公平にジャッジし、有用なアドバイスをする」ということは、「ただ共感してほしいのに、ことごとく私を否定する」ということにほかならない。このため、女性は「あなたったら、いっつもそう! 私の言うことなんかちっとも聞いてくれない」とキレることになってしまう。

「アドバイスしていたら、逆ギレされた」ら、明らかに共感不足である。立ち止まって、相手の気持ちに共感するところからやり直さなければ。「きみの気持ちは、痛いほどわかる」と、すっと共感モードに入ってください。

親切のつもりが仇になり、せっかくの親身なアドバイスに逆ギレされる……男性にとっては、あまりにも理不尽なこの怒り。しかし、女性にも女性脳の事情があるのである。

関連書籍

黒川伊保子『妻語を学ぶ』

アドバイスしただけなのに「もういい! 」と逆上される、「仕事と私(家族)、どっちが大事なの!?」とからまれる……。男性にとって永遠の謎である女の不機嫌は18種類に分類でき、そのすべてに対処法がある。そもそも男女のコミュニケーションギャップの多くが、男女脳の相違に起因している。共感を求める女性脳を理解して、優しいひと言をかけられれば、一発で妻の機嫌はよくなる、はず。本書は、人工知能研究者が脳科学の見地からすぐに実践できる具体例を示した究極の指南書。

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黒川伊保子

1959年生まれ。(株)富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて人工知能(AI)の研究開発に従事した後、2003年に(株)感性リサーチを設立。脳機能論とAIの集大成による語感分析法を開発し、マーケティング分野に新境地を開いた、感性分析の第一人者。また、その過程で性、年代によって異なる脳の性質を研究対象とし、日常に寄り添った男女脳論を展開している。著書多数。

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