「何もわかってない!」と責められる、「もういい!」と突然キレられる、急に不機嫌になって口を利いてくれない……。男性にとって永遠の謎ともいえる「女性の不機嫌」。この謎を脳科学の観点から解き明かしてくれるのが、人工知能研究者、黒川伊保子さんの『妻語を学ぶ』です。この本に書かれていることを実践すれば、奥さんや彼女の機嫌も一発でよくなるかも? そんなとっておきの処方箋をいくつかご紹介しましょう。
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平謝りしてほしいだけ
「あなたって、どうしてそうなの?」は、男性が、無神経な言動を繰り返したときに出るセリフ。何度も「これ嫌なんだよね」「やめてね」と注意したことを、漫然と繰り返されたときに、絞り出すように出てくるセリフだ。
当然、「どうして」に答える必要はない。「なぜ、僕がそれを繰り返すのか」を理詰めで説明したら、きっと逆ギレされるはず。女性は不思議なことに、「どうして?」と聞きながら、その「どうして」を知りたいわけではないのである。
答えようのない質問は、相手が答えに窮して、平あやまりするのを誘う意図。つまり、平あやまりしてほしいだけなのだ。
「食べてくるときは、6時までに電話してよ。夕飯が無駄になっちゃうから」とか「靴下をリビングに脱ぎっぱなしにしないで」とか「トイレの便座を上げっぱなしにしないで」などなど、彼女が決めたルールをさんざん破ったあげくに、投げかけられるこのセリフ。
というのも、女性脳は、「してくれない」度にマイナスポイントを加算していく癖がある。毎回文句は言わないが、このマイナスポイントが閾値を超えると、キレてしまう。昨日まで同じことをしても見逃してくれていたのに、「今日は急にキレて、収拾がつかなくなる」のはそのせいだ。
そして、マイナスポイントが溢れそうになってくると、答えようのない質問をしてくる癖が女性にはある。つまり、「あなたって、どうしてそうなの?」は、「もう一回同じことをしたら、キレるからね」の合図なのだ。いったんキレてしまうと、あやまってもしばらく収拾がつかないので、ここでスッキリあやまっておくのが、なんと言っても得策である。
相手の「気持ち」に対して謝る
その場合、しなかったことをあやまるのではなく、嫌な気持ちにさせたことをあやまるのが極意。つまり、「便座を下げなくてごめんね」ではなく、「何度も嫌な思いをさせてごめんね」が正解だ。
「こと」ではなく、気持ちに対してあやまる。これは、ほかにも応用できる。
たとえば、待ち合わせに遅刻したとき。「こんな雑多な場所に、15分も待たせてしまってごめん。心細かったよね」のように。遅れてしまった「こと」じゃなく、待たせていた間の彼女の気持ちにあやまるのである。
男性の多くは、「なぜ遅刻したのか、それがどれだけ仕方なかったか」を言い募りがちだ。もちろん、男同士ならそれが大事。男性脳はゴール指向型なので、「ゴールできなかった理由」が正当なら、それで脳は100パーセント納得する。
しかし女性が聞きたいのは、気持ちへのいたわりであって、原因がどれだけ正しいかではない。遅刻の理由がどんなに正当でも、「心細かった気持ちに無頓着」は許せないのが女心なのだ。
今は携帯電話があるから無頓着じゃないふりができて、ずいぶん男性は助かっているけれど、「メールを打つ暇があったら、1秒でも早く行ってあげたい」と走るより、立ち止まって「ごめんね」メールを打つほうが誠実だと思われる事実は、男性たるもの、知っておいたほうがいい。