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妻語を学ぶ

2020.02.06 公開 ポスト

女性の機嫌がたちまち直る「謝り方」のコツ黒川伊保子

「何もわかってない!」と責められる、「もういい!」と突然キレられる、急に不機嫌になって口を利いてくれない……。男性にとって永遠の謎ともいえる「女性の不機嫌」。この謎を脳科学の観点から解き明かしてくれるのが、人工知能研究者、黒川伊保子さんの『妻語を学ぶ』です。この本に書かれていることを実践すれば、奥さんや彼女の機嫌も一発でよくなるかも? そんなとっておきの処方箋をいくつかご紹介しましょう。

*   *   *

平謝りしてほしいだけ

「あなたって、どうしてそうなの?」は、男性が、無神経な言動を繰り返したときに出るセリフ。何度も「これ嫌なんだよね」「やめてね」と注意したことを、漫然と繰り返されたときに、絞り出すように出てくるセリフだ。

(写真:iStock.com/itakayuki)

当然、「どうして」に答える必要はない。「なぜ、僕がそれを繰り返すのか」を理詰めで説明したら、きっと逆ギレされるはず。女性は不思議なことに、「どうして?」と聞きながら、その「どうして」を知りたいわけではないのである。

答えようのない質問は、相手が答えに窮して、平あやまりするのを誘う意図。つまり、平あやまりしてほしいだけなのだ。

「食べてくるときは、6時までに電話してよ。夕飯が無駄になっちゃうから」とか「靴下をリビングに脱ぎっぱなしにしないで」とか「トイレの便座を上げっぱなしにしないで」などなど、彼女が決めたルールをさんざん破ったあげくに、投げかけられるこのセリフ。

というのも、女性脳は、「してくれない」度にマイナスポイントを加算していく癖がある。毎回文句は言わないが、このマイナスポイントが閾値を超えると、キレてしまう。昨日まで同じことをしても見逃してくれていたのに、「今日は急にキレて、収拾がつかなくなる」のはそのせいだ。

そして、マイナスポイントが溢れそうになってくると、答えようのない質問をしてくる癖が女性にはある。つまり、「あなたって、どうしてそうなの?」は、「もう一回同じことをしたら、キレるからね」の合図なのだ。いったんキレてしまうと、あやまってもしばらく収拾がつかないので、ここでスッキリあやまっておくのが、なんと言っても得策である。

相手の「気持ち」に対して謝る

その場合、しなかったことをあやまるのではなく、嫌な気持ちにさせたことをあやまるのが極意。つまり、「便座を下げなくてごめんね」ではなく、「何度も嫌な思いをさせてごめんね」が正解だ。

(写真:iStock.com/shirosuna-m)

「こと」ではなく、気持ちに対してあやまる。これは、ほかにも応用できる。

たとえば、待ち合わせに遅刻したとき。「こんな雑多な場所に、15分も待たせてしまってごめん。心細かったよね」のように。遅れてしまった「こと」じゃなく、待たせていた間の彼女の気持ちにあやまるのである。

男性の多くは、「なぜ遅刻したのか、それがどれだけ仕方なかったか」を言い募りがちだ。もちろん、男同士ならそれが大事。男性脳はゴール指向型なので、「ゴールできなかった理由」が正当なら、それで脳は100パーセント納得する。

しかし女性が聞きたいのは、気持ちへのいたわりであって、原因がどれだけ正しいかではない。遅刻の理由がどんなに正当でも、「心細かった気持ちに無頓着」は許せないのが女心なのだ。

今は携帯電話があるから無頓着じゃないふりができて、ずいぶん男性は助かっているけれど、「メールを打つ暇があったら、1秒でも早く行ってあげたい」と走るより、立ち止まって「ごめんね」メールを打つほうが誠実だと思われる事実は、男性たるもの、知っておいたほうがいい。

関連書籍

黒川伊保子『妻語を学ぶ』

アドバイスしただけなのに「もういい! 」と逆上される、「仕事と私(家族)、どっちが大事なの!?」とからまれる……。男性にとって永遠の謎である女の不機嫌は18種類に分類でき、そのすべてに対処法がある。そもそも男女のコミュニケーションギャップの多くが、男女脳の相違に起因している。共感を求める女性脳を理解して、優しいひと言をかけられれば、一発で妻の機嫌はよくなる、はず。本書は、人工知能研究者が脳科学の見地からすぐに実践できる具体例を示した究極の指南書。

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黒川伊保子

1959年生まれ。(株)富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて人工知能(AI)の研究開発に従事した後、2003年に(株)感性リサーチを設立。脳機能論とAIの集大成による語感分析法を開発し、マーケティング分野に新境地を開いた、感性分析の第一人者。また、その過程で性、年代によって異なる脳の性質を研究対象とし、日常に寄り添った男女脳論を展開している。著書多数。

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