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アルテイシアの熟女入門

2020.01.01 更新 ツイート

「女に生まれてよかった……!」と源一郎ボイスで寿ぐJJの冬アルテイシア

乾燥しがちな日本の冬、皆さんいかがお過ごしですか?

JJ(熟女)は全身乾きがちなお年頃。風呂上りは小陰唇に化粧水を塗り、寝室の畳が腐るぐらい加湿器をかけている。
「私はマスクをして寝てるよ、一生消えないぐらいゴムの跡がつくけど」と工夫をこらすJJたち。

そうやって喉を保護しても、JJ会の翌日はガサガサになる。しゃべりすぎ&笑いすぎで、おまけに誤嚥もするからだ。けれども気分は爽快で「女に生まれてよかった……!」と天龍源一郎ボイスで寿ぐ私。

 

ジェンダーギャップ指数121位のヘルジャパンでは、女の生きづらさを日々実感する。でも「男になりたいか?」と聞かれたら「だが断る」と岸辺露伴顔で即答する。

「わかります! やっぱ女子会は最高に楽しいし、女はおしゃべりでストレス発散できますよね」と若い女子たちも同意する。

子持ちの20代女子は産後鬱になりかけた時、地元の赤ちゃんサロンという交流の場で、産後のママたちとおしゃべりすることで救われたという。「ドッ! と笑いが起きた瞬間、みんな一斉に尿漏れしてました」と振り返る彼女。

「なぜ男はキャバクラに行くのか?」と男性陣に聞くと「男同士だと会話がもたないから」という声を耳にする。

一方、私はホストクラブに全然行きたくない。ホスト系よりマタギ系(源次郎)が好みなのもあるが、見ず知らずの男と話すより、女子会の方が断然楽しいと思うから。

周りの女性陣に「女同士でホストクラブに行きたいか?」と聞くと「全然! 女同士で盛り上がってるのに、男がいたら邪魔じゃないですか」との声が寄せられた。

私も男に邪魔されず、安心して話せる場を作りたくて「アルテイシアの大人の女子校」を始めた。オフ会では何時間も話が尽きないし、みんなで悩みや本音を吐き出してスッキリしている。

広告会社時代の飲み会で、悩んでいる後輩男子に「落ち込むな、まあ飲め!」と先輩男子が酒を注ぐ場面を見て「ちゃんと話を聞いたれよ」と思っていた。挙句「よし、風俗でも行くか!」と誘う場面を見て「女に生まれてよかった……!」と噛みしめていた私。

女同士は悩みを打ち明け合い、お互いの話に耳を傾けて「わかる」「つらいよね」と理解&共感し合うことで癒される。

男がその手のコミュニケーションが苦手なのは、「男は弱音を吐くな」「弱みを見せるな」「男の愚痴はみっともない」的なジェンダーの抑圧があるからだろう。

そんな「男らしさ」の押しつけがつらければ「つらい」と声を上げればいい、当事者である男性たちが。女は女の生きづらさを解消するために、声を上げて戦っているのだから。

そのうえ、女が声を上げると叩かれる。フェミニズム系のコラムにはクソリプが殺到するが「男だってつらいんだ!」と言われても「知らんがな、お前もがんばれよ」という話だし、「だから女も我慢しろ!」と言われたら「アホ抜かせ」と浪速のプーチン顔で返す。

ヘルジャパンで女は己の戦いに忙しいのだから、「男のために戦え」なんて都合のいいこと抜かすんじゃない。世界を変えたければ自分が動け。「少女が世界を救う」系の物語はフィクションだし、それに私は少女じゃなくゴリゴリの熟女だ。

とはいえ、気の毒な面もあるなと同情はしている。

去年うちの父が自殺した時、元部下の男性が「社長は誰よりも強い男でした」と言うのを聞いて「だから父は死んだのかもな」と思った。「強い男であらねば」と強がって、他人に弱音を吐いたり頼ったりできなかったのかもなと。

男らしさの呪いのせいで自殺したなら、そんな父を可哀想だと思う。でも私だって女らしさの呪いと必死で戦ってきたのだ。あと私に5千万の借金を背負わせたことは末代まで呪ってやる(詳細は「わが家に借金取りがやってきた!」をチェキ★)

昭和生まれのJJは、山一証券の社長の会見を見て「おじさんがむっさ泣いとる」と衝撃を受けた。また元兵庫県議員の号泣会見を見て「エシディシみてえだな」とびっくりした。

まあ後者は嘘泣きなのだろうが、男性も「男のくせに泣くな」なんてジェンダーに囚われず「AHYYY AHYYY AHY WHOOOOOOOHHHHHHHH!!」とギャン泣きすればいい。それでスッキリすれば、他人にストレスをぶつけずにすむんじゃないか。

「女は感情的」というディスがあるが、駅員や店員に大声でキレまくってるのは大抵おじさんやおじいさんだ。ぶつかりおじさんもストレス発散のためにぶつかってくるのだろう。

反社の人とかにぶつかればいいと思うが、彼らが女や子どもを狙うのは、要するに弱い者いじめである。

「校則の厳しい学校ほどいじめが多い」という調査を見たことがある。ストレスの強い環境では、弱い者を叩いてうっぷん晴らしする人間が増える。パワハラや虐待やDVも同じだろう。

また「体罰を禁じることで若者の暴力性が劇的に減少する」ことも研究でわかっている。人は自分の人権を尊重されないと、他人の人権を尊重できない。そして自分の感情を大切にしないと、他人の感情も大切にできないのだと思う。

私はアンチフェミ垢からのクソリプを「てめえらのうっぷん晴らしに付き合ってやる暇はねえ」と無視している。ツイッターを見すぎると目がかすむのも理由である。

そんなかすみ目のJJから提案だが、アンチフェミ垢の皆さんは「つらい、寂しい、悲しい」とつぶやくサブ垢を作るといい。そうやって素直な感情を言葉にすれば、多少は生きづらさも減るし、共感してくれる仲間もできるだろう。

「弱い者たちが夕暮れ、さらに弱い者を叩く」とブルーハーツが歌っていたが、JJは夕暮れになると目が見えない。ともあれ男性は自分の弱さを認めれば、父のように自殺せずにすむんじゃないか。

以上が俺からの手向けの言葉なので、がんばって生きてくれよな!

優しさを発揮したところで、女同士の話に戻ろう。女同士はおしゃべりするだけでも楽しいが、たまにイベントをするのも楽しい。

大人の女子校では芋ほり、カラオケ、バーレスク観賞、牧場体験……等などいろんなイベントを行っているが、先日はキノコ狩り遠足に出かけた。

農園でキノコを狩りまくり、椎茸をくわえてSNOW風の写真を撮った後は、みんなでバーベキューを楽しんだ。そして、その時に「菌類&プリンス(菌プリ)」なるアイデアが誕生した。

菌プリはキノコを擬人化したイケメンが登場するコンテンツである。「ベニテングダケ先輩は痺れる色気のドSキャラで、近寄ると呼吸困難になる」「CVは津田健次郎さんですね!」とキャラ設定を考えるメンバーたち。

トリュフ先輩はお金持ちでペットの豚を連れている、エノキくんは貧乏で痩せている、マイタケさんは雪国出身で天然パーマ……など、様々なアイデアが飛び出した。

「キノコの形状的に攻めっぽいキャラが多いよね、受けっぽいキャラもいた方がよくない?」と私が提案すると「受けっぽいキャラですか……あ、なめこ! ヌルヌルしてるから!」

するとメンバーがキノコ図鑑を検索して「なめこにそっくりなコレラタケという毒キノコがあるそうです、この2人で双子設定はどうでしょう?」「え、ヤバい、天才じゃない?」と企画会議は白熱して、菌プリのアイデアを売り込もう! という話になった。幻冬舎が出資してくれないかしら。

「メディアミックスで一攫千金を狙って、老後のデンデラ資金にしましょう」「みんなで暮らすキノコ御殿を建てましょう」と夢は膨らみ、即興でキノコラップを披露しながら、ワライダケでも食ったみたいに爆笑した。たぶん数名は尿漏れしていただろう。

そして「やっぱ自分は女子校が向いてるな」と実感した。中高時代も校庭の柿をもいで食べながら、おしゃべりして爆笑していた。当時も「俺の考えた最強の萌えキャラ」をみんなでプレゼンし合っていた。

思春期で悩みは多かったけど、校則がほとんどない自由な学校だったので、のびのびと過ごせた。制服もなかったので、シノラー少女だった私はチンドン屋ファッションで登校していた。

ランドセルを背負って首からCDをぶら下げてピーピー笛を吹きながら登校して、カラス除けに最適だったが、女子校では特に浮くこともなかった。優等生も体育会系もオタクも、それぞれ好きな服を着ていたからだ。

私の親友は真冬でもいつもジャージを着ていた。当時は少しも寒くなかったらしいが、「今は普通に寒いし尿漏れも心配」とJJになった彼女は語る。

尿といえば思い出す。健康診断の日、検尿の前にうっかりトイレに行ってしまった私が「おしっこが出ねえ!」と騒いでいると、彼女が自分の尿を分けてくれた。

おしっこを半分こして分け合う、乙女の花園。そんな「女らしさ」を求められない世界、「女」じゃなく「人間」でいられる世界でずっと暮らしていたかった。

しかしそうもいかず、共学の大学に進むと全然なじめなかった。「女は出しゃばるな」「男を立てろ」みたいな世界で、どう振る舞っていいかわからなかったのだ。

女子校ではみんなで協力して力仕事をしたが、大学では「女の子はそんなことしなくていい」と言われたり、でも飲み会でお酌や取り分けをしないと「女のくせに気がきかない」と言われたり。

「女らしさ」に適応できなかった私は「自由に振る舞うと浮いてしまう」とビクビクして、友達ができなかった。毒親育ちで年末年始に帰る家もなく、1人暮らしのアパートで寂しすぎて凍死しそうになっていた。

そんな過去の自分に「あの時、凍死しなくてよかったね」と言いたい。JJになって、女だけの花園を再び手に入れたのだから。

若い女の子達も「女子力が低い」だの「そんなんじゃ結婚できないぞ(ドッ!)」だの言われて、生きづらさを感じているだろう。そんな「女はこうあるべき」という呪いに耳を貸さなくていい。古ぼけた檻をぶっ壊して、自由にレリゴーしてほしい、このJJも助太刀いたす。

なぜなら、女同士はつらさでつながれるからだ。子どもの頃から痴漢に遭いまくり、性被害を訴えるとバッシングされて、何十年も生理やPMSに苦しめられて、「女は子どもを産むから」と進学や就職でも差別されて、子どもを産まないとまたバッシングされて、駅ではおっさんがぶつかってくる。

そんな地獄で戦ってるのに、「男は弱音を吐けなくてつらい」とか言われたら「知らんがな」と返したくもなる。きみたちの檻はきみたちがぶっ壊せ。

性差別やジェンダーの抑圧がなくなれば男性も生きやすくなる、とフェミニストは言い続けてきた。それでも叩いてくる相手に「男性もつらいよね」と気を使わないと言いたいことも言えないなんて、ポイズンすぎないか?

ゴリゴリのゴリ熟女はみずから檻をぶっ壊す、愉快な仲間たちと協力して。このヘルジャパンで私が「女に生まれてよかった」と言えるのは、女らしさから解放された世界で、爆笑トークできる友がいるからだ。

老後のデンデラでも、ドッと笑った瞬間ドッと尿漏れして「尿が漏れた♪」「私も♪」とキャッキャウフフしたい。そんな老女の花園を作るために、菌プリのアイデアを練りたいと思う。

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アルテイシア『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった アルテイシアの熟女入門』

加齢最高!大人気連載が1冊になりました。若さを失うのは確かに寂しい。でも断然生きやすくなるのがJJ(=熟女)というお年頃!おしゃれ、セックス、趣味、仕事等にまつわるゆるくて愉快な熟女ライフがぎっしり。一方、女の人生をハードモードにする男尊女卑や容姿差別を笑いと共にぶった斬る。「年を取るのが楽しみになった」「読むと元気になれる」爆笑エンパワメントエッセイ集。

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アルテイシアの熟女入門

人生いろいろ、四十路もいろいろ。大人気恋愛コラムニスト・アルテイシアが自身の熟女ライフをぶっちゃけトークいたします!

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アルテイシア

神戸生まれ。現在の夫であるオタク格闘家との出会いから結婚までを綴った『59番目のプロポーズ』で作家デビュー。 同作は話題となり英国『TIME』など海外メディアでも特集され、TVドラマ化・漫画化もされた。 著書に『続59番目のプロポーズ』『恋愛格闘家』『もろだしガールズトーク』『草食系男子に恋すれば』『モタク』『オクテ男子のための恋愛ゼミナール』『オクテ男子愛され講座』『恋愛とセックスで幸せになる 官能女子養成講座』『オクテ女子のための恋愛基礎講座』『アルテイシアの夜の女子会』など。最新作は『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった』がある。 ペンネームはガンダムの登場人物「セイラ・マス」の本名に由来。好きな言葉は「人としての仁義」。

twitter : @artesia59

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