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マンマ・ミーア!

2019.12.23 公開 ツイート

これを食べてから死にたい!絶品グルメinヨーロッパ もりともこ

ある日突然、イギリス人の夫から「リコンをクダサーイ」と言われ、傷心と勢いで「カミーノ」へと旅立ったのをきっかけに、世界中を旅し続けている、もりともこさん。
現在、スペイン、イタリア、モロッコでの安宿暮らしを描いた「マンマ・ミーア!」が好評発売中です。
連載4回目となる今回は、これを食べてから死にたい! 絶品グルメinヨーロッパ編。

*   *   *

どうしようもなく、もう、机を手のひらでパンパンと叩きたくなるぐらいうまいものを食べたり飲んだりすると、イタリアの一部の若者たちは言う。
「ウナ、ボンバ!」と。
これは直訳すると「ひとつの爆弾」という意味。味覚を刺激されて「うわっ、何だよこれ、うますぎる。たまんねー!」という時の表現なんだけど、もうそんな言葉だけでは足りない、「チクショー!」ってぐらいにうまいもの、パンチの効いた食べものや飲み物は、確かに爆弾みたいなものかもしれませんね。
 

「ボンバ!」の表現がぴったりくる食べ物といえば、やっぱり高級料理よりもB級グルメの方で、そんな理由もあって、私はB級グルメ天国☆ナポリをヨーロッパのホームにしています(家はないけど気持ち的に!)。
まず、ピッツァの発祥地だけに、焼き立て・アツアツ・カリカリのピッツァマルゲリータは何度食べてもボンバ、ボンバ、ボンバ!
そしてさらに、本場のモッツァレラチーズも、ピッツァの上にのっかってると存在が薄まりがちだけれど、それだけを生で食べるともう、「ボンバーーー!」って唸りながら、ヘロヘロと倒れ込んじゃうぐらいにうまい。新鮮でプリップリ、外側にわずかな弾力があって噛み応えがありつつも、ひとくち食べると、口の中で旨味がアイスクリームみたいにジュワッと溶けて、マンマ・ミーア、何じゃこりゃーー!!♡♡♡ 南イタリアへ行ったら、モッツァレラ、それもナポリのブファラ(bufala=水牛)をぜひ“生”で食べてみて下さいね。今まで食べてたやつは一体何だったのと、カルチャーショックで目が覚めますから!

 “ナポリの水牛モッツアレラを食べてから死ね!”

 

 

『パスタフリッタータ』見た目が豪快で、ビジュアル的にも「ウナ、ボンバ!」な、シチリアのパスタ揚げ(フリッタータ・ディ・パスタ)。フォークを使わずに手で、残り物のパスタをおいしくいただける伝統的なアイディアメニュー
『ピッツアマルゲリータ』ナポリのマルゲリータも、生きてるうちに食べておかないと!
ピッツァの空き箱ツリーがショーウインドウに飾られるのは、世界でナポリだけ!

「マンマ・ミーア!(何じゃこりゃー♡)」と打ちのめされた食べ物 国別BEST1


【イタリア BEST1】スフォリアテッレ

前述のピッツァやモッツァレラはもちろんだけど、イタリアが誇るドルチェ(スィーツ)部門でひっくり返ったのがこれ。
スフォリアテッレ(単数はスフォリアテッラ)はナポリ名物で、リコッタチーズのパイ。作りたてのあたたかいのが最強ボンバ♪ 甘くてちょっぴり酸味のあるリコッタチーズの中には刻んだオレンジの皮が入っていて、ひとくちかじると層になったパリッパリのパイ生地と口の中でからみあって、シナモンの風味とあわさって「うわーん♡」「いやーーん♡」「も~~ぅ♡」って感じに打ちのめされます。これ、キレイに食べるのがすごく難しい食べ物なんだけど、ポロポロとこぼしながら、口のまわりについたパイ皮をイタリア男にとってもらいながら食べるのがおすすめ(夢!)。

【モロッコ BEST1】バイサラ

まずこの見た目、地味でしょう? だけど、ソラマメ&オリーブオイル好きにとっては絶品のスープなんですよ。浮かんだオリーブオイルの透明さにトキメキですよ!モロッコの北部でしか食べられない、クリーミーなソラマメのスープ。北東部の海沿いの町タンジェやアシラ、北西部のナドールあたりには、このバイサラ(ビサラという人もいる)と魚のフライだけを出す小さな食堂があちこちにあって、外のテーブル(青空シート)で食べるのがまたいいんだな。
すりつぶした大量のソラマメに少々のニンニクやレモン、クミンを効かせて、たっぷりのオリーブオイルで仕上げた、地中海+中東っぽい濃厚な味わい。食べる時にもレモンやオリーブオイルを回しかけて、焼き立ての平たいパンにつけながら食べる。感動は、ガツンとではなく、ジワジワ来る系ね。一杯70円ぐらいでお腹もココロも超ハッピー♪

【スペイン BEST1】タパスの“聖地”で食べるタパス 


こんだけ日本にタパス(スペイン的つまみ)を出すバル(バー)が増えているっていうのに、タパスなんて何を今さらと笑われるかもしれないけれど、私がおすすめしたいのは、スペインでのタパス聖地体験。タパスといえばパンにのっかった生ハムやアヒージョ? ノン、ノン、ノン! タパスって要はスペイン料理が凝縮されたミニチュア版だけに、聖地へ行ってたっぷり味わってほしいのですよ。

タパスの博覧会のごとく、バルが集結している聖地。
1.リオハワインで有名なリオハ州のログローニョ。ラウレル(LAUREL)通り周辺。
2.バスク地方のサンセバスチャン中心部。
3.バルセロナのブライ(BLAI)通り周辺。


聖地へ行けば、バルの店頭に、それぞれの店自慢の創作タパスがこれでもかと並べられていて、そこはまさに見本市。普通ならパンの上にのっかっているだけの生ハムも、ここではカリカリにローストしてくねくね折りたたんで串にさしてあったりして、その見せ方にまず拍手。そして一品ずつ見ていくと、牛の血のソーセージを、ボール状にして揚げてナッツで飾ってあるものとか、「何、これデザート?」と思いきやネギのムースのトマトソース添えだったりとか、気になるレシピもいっぱいで、小皿の上で繰り広げられるスペイングルメに感動の嵐。

「ナポリを見てから死ね」という言葉があるけれど、「これを食ってから死ね」も大切なテーマかと。短い人生、まずいものを食べている時間などありません! “ボンバ☆フード”を食べるためには労を惜しまない、食いしん坊トラベラーのワタクシですが、それと同時に、自分の好物ブロッコリーへの愛情確認も忘れないようにしている今日この頃。これは私が旅先でよく作ってパーティに持参する“ブロッコツリー”。今年はどこの国で作ることになることやら……?
みなさんよいクリスマスを!メリー・クリスマス♪

 

もりともこ『マンマ・ミーア! スペイン・イタリア・モロッコ安宿巡礼記』

家なし、金なし、男なし。人生落ち気味の中年ライター、母の死を機に”住み込み暮らし”の旅に出る。劣悪すぎる環境にブチ切れながらも、ともに過ごした相棒は生涯の友に。気づけば悩みも吹っ切れた!情熱的な女だらけのスペイン巡礼宿から、時給100円のモロッコ安ホテル、果てはスラング飛び交うナポリの宿まで。前向き度120%旅エッセイ。

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