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外食逆襲論

2019.10.18 更新 ツイート

外食業界がブラック化した2つの理由中村仁

50年に1度の「パラダイム・シフト」が起きているといわれる外食業界。どうすれば自分たちのお店を繁盛店にし、将来にわたって生き残ることができるのか……。業界シェアナンバーワンを誇る予約台帳サービス「トレタ」を開発・運営する、中村仁さんの『外食逆襲論』は、外食産業に従事している人なら必読の一冊。あの堀江貴文さんをして、「これを読んだ人しか、未来の外食業界で生き残れない!」と言わしめた本書より、重要ポイントを抜粋してご紹介します。

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堀江貴文さん推薦!「これを読んだ人しか、未来の外食業界で生き残れない!」

なぜ、外食業界はブラック産業に陥ってしまったのか。
厚生労働省が出している欠員率(どれだけ人が足りないか)や疲労蓄積度のデータをみると、ほかの業種より倍の数字が出ておりいかに、人が採用できていないか、人が疲れているかが分かります。
年間の休日総数も、全産業中ワースト1位です。

(写真:iStock.com/maximkabb)

こうした人材不足と労働環境のブラック化が何十年も変わらないのか。なぜ課題がずっと放置されているのか。理由は大きく二つあると考えています。

ひとつは、刷り込みの弊害です。

私のように、異業種からこの世界に飛び込んできた人間は、外食業界では珍しいほうです。多くの人は、どこかのお店で経験を積み、仕事の基本を身につけ、やがて独立して自分のお店をかまえます。

飲食の世界は「伝承」で発展してきました。仕事の進め方、従業員のマネージメント、すべて既存の店舗から受け継がれるのです。もちろん、よい面もあります。独自のレシピや、おもてなしのノウハウといった大切なものが次世代に受け継がれるのは、素晴らしいことだと思います。

しかし同時に、非効率的な業務や、時代遅れの価値観も受け継がれてしまうのが問題です。先輩はこう言っていた、前の社長からはこんなふうに教わった、だから飲食の仕事とはこうあるべきだ……。そんな「刷り込み」や「先入観」が、働く人のクリエイティビティを奪っているのです。

一見、合理化されているように思える大手チェーン店も、同じ問題を抱えています。私の印象では、大規模チェーンだからといって、必ずしも特別なことをやっているわけではありません。優れた個人店がその分身を増やし、多店舗化したのがチェーンですから、個人店時代のノウハウを残している会社も少なくないのです。

飲食店は比較的、規模を拡大しやすい業種です。成功したお店がひとつ生まれたら、そのコピーを増やしていけばいいからです。しかしここで注目しなければならないのは、どんなに成功したお店でも決して完璧ではなく、経営や運営における課題は必ずどこかに存在しているということです。ただ、その課題を覆い隠すくらいの魅力があるから繁盛店になっているのです。つまり、繁盛店の持つ魅力の裏側で、非効率的な面や、時代遅れの面もまた、どんどんコピーされて拡散されていってしまうのです。

もちろん、チェーン展開する過程では、ある程度、業務を合理化する努力はしているでしょう。しかし、それも完璧ではありません。そもそも、基本は昔ながらの人海戦術なのです。潜在化している非効率的なやり方が伝承され、場合によってさらに独自のアレンジを加えられながら、増改築をくり返すかのように、模倣され増殖しているのです。

こうした状況を打開するには、飲食店で働く人たちが、もっと他業界のことを知る必要があります。自分の知る世界に閉じこもることなく、外に出てみる。そうすれば、自分たちの当たり前が、当たり前でなかったことに気づくでしょう。

もうひとつは、外部の血を積極的に取り入れること。異業界からの転職を積極的に受け入れたり、業界への参入のハードルを下げたり、もっとできることはあると思います。

その「美学」は顧客価値につながるか

業界が変わらないもうひとつの理由は、飲食店ならではの「歪んだ美学」が根強く残っていることです。働く人のメンタリティの問題です。

(写真:iStock.com/paylessimages)

日本の外食業界には、「飲食道」とでも言うべきこだわりが、よくも悪くも根付いています。実際、私たちが飲食店に営業へうかがうと、「機械に頼るなんて邪道だ!」と断られることもしばしばあります。

IT化して、お客様の情報をデータとして蓄積すると、こんないいことがありますよ、とお伝えしても、「それは機械が覚えているだけじゃないか。努力して頭で覚えないと意味がない」とおっしゃるのです。「手で書くから覚えることができるんだ」と主張される人もいらっしゃいます。

ここまでくると、もはや「飲食魂」とでも呼びたくなります。こうした根拠のない思い込みは、まだまだ業界に根強く残っているのです。

「歪んだ美学」は、いろんな場面で顔を出します。たとえば、「注文をPOSのハンディターミナルでとるのは失礼だ。紙に手書きするべきだ」と言う人もいれば、「メニューをパソコンで作成するのは邪道だ。手書きにすべきだ」と言う人もいます。

現場の若いスタッフが、「こうすれば、もっと仕事が効率的になります」と提案しても、経営者が「楽しようとするんじゃない!」と言って許さないケースもあるようです。

たしかに、手間ひまをかけることが付加価値を生むという側面はあります。すべてが機械化、合理化されてしまったら、味気のないお店となって、魅力が薄れてしまうかもしれない。丁寧な「あと一手間」が、お客様を感動させることは事実です。

だからこそ、日本の「おもてなし」は世界から注目されています。

ただ、その考え方がいきすぎると、みずから効率を落とすことが善、無駄なことをするのが善、という発想になってしまいます。

時間は有限です。業界の「美学」や「刷り込み」に影響されて、非合理的な選択をすることのないように注意する必要があります。その「一手間」は、本当に顧客価値につながっているのでしょうか? お店の自己満足に終わっていないでしょうか?

機械を使ったからといって、心がこもっていないわけではないし、むしろ機械を使ったほうがきめ細かい「おもてなし」ができるというのも紛れのない事実です。

合理化というのは、ITを入れて最初に起きる現象にすぎません。本当にやりたいことは「高度化」です。人力では限界があったものを、ITの力を借りることで、より高度にしていくことが本当の狙いです。

人間ができることには限界があります。ITツールにきちんと投資をして、合理化をすることは、お客様を大事にするという姿勢の表れでもあるのです。

こうした「歪んだ美学」は、繁盛店の影響も少なくないと思っています。繁盛しているお店ほど、より積極的にいろいろなことにコストをかけることができます。

それを見た人が、「なるほど、繁盛しているお店はここまでやるのか。我々もここまでやらねば!」と勘違いしてしまうのです。

繁盛店だからこそできる「意図的な無駄」が、業界全体のロールモデルになってしまう。無駄と繁盛の因果関係を誤解してしまう。そんな悲劇が起きているのです。

かく言う自分も、飲食店を経営しているときは、繁盛店に惑わされました。視察に行けば行くほど、自分のお店の足りないところが見えてきて、やることがどんどん増えていくという悪循環に陥ってしまっていました。

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10月31日まで、飲食業界に携わる方たち限定でこの書籍のPDF版を無料で配布します。トレタのフォームから情報をご記入の上、ダウンロードしてください。(外部のリンクへ移動します)

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中村仁

株式会社トレタ代表取締役。パナソニック、外資系広告代理店オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパンを経て、2000年に西麻布で飲食店を開業。立ち飲みブームのきっかけとなった「西麻布 壌」を皮切りに、とんかつ業態「豚組」、豚しゃぶ業態「豚組しゃぶ庵」などの繁盛店を世に送り出す一方、ツイッターを活用した集客で2010年に「外食アワード」を受賞。2013年に株式会社トレタを設立し現在に至る。

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