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前進する日もしない日も

2019.06.09 更新

一泊二日のハワイは天国だった益田ミリ

一泊二日でハワイに行ってきた。

福島県のスパリゾートハワイアンズである。映画「フラガール」でその存在を初めて知り、いつか行ってみたいものだなぁと思っていたのであった。

スパリゾートハワイアンズまでは都内から往路無料の送迎バスがあるのだが、旅気分を味わうため往きは電車で。品川駅からスーパーひたちに乗車し、お弁当やおやつを食べ、新聞を2紙読み終えた頃に湯本駅に到着。そこから無料送迎バスに10分ほど乗れば日本のハワイにたどり着く。

はじめてなので全貌がわからない。チェックイン後、部屋に用意されていた赤いムームーに着替える。ムームーの下は水着である。

「みなさん、そうされてますよ」

とフロントの人が教えてくれた通りにしてみた。

まずはメインとなる室内巨大プールへ。コインロッカーに手荷物と脱いだムームーを預けプールエリアに入る。

デカい。成田空港みたいに広々とした空間が広がっていた。天井は鉄骨に透明のトタン屋根を張ったような作りで、外の光が差し込んでいる。何本ものすべり台があり、子供たちが猛スピードで滑り落ちプールにドバッとなっていた。プールのそばにファストフードの売店が並び、夜のショーの舞台もこのエリアにあった。

 

取りあえず一番広いプールにつかる。300円ショップで買っておいた浮き輪につかまり、しばし漂う。流れるプールもあるようなので行ってみる。日本初の流れるプールは、なんとここで誕生したらしい。

流れるプールの中央にはミニ水族館があり、たくさんの魚が泳いでいた。小さいサメまでいる。魚たちをながめつつ、浮き輪に座り一周する。魚たちからはどう見られているのか。

次なるエリアへと向かう。温水プールがあるらしい。館内はかなり複雑だ。増築増築を繰り返している建物特有の難解なレイアウトになっている。でも大丈夫だ。どの係の人に声をかけても、みなとても親切に道順を教えてくれる。あっちこっちで確認しつつたどり着いた温水プールは室内と野外、両方あり、ほどよい曇り空だったので野外温水プールへ。

子供たちが遊べる浅いプールの他に、小さなジャグジーもあった。ぶくぶくとジャグジーを味わいまったりする。鳥の声が聞こえる。周囲は山というか、森というか、雑木林のような緑があるだけで海などは見えない。次第に自分がどこにいるのかわからなくなってくる。

いったん部屋にもどり、今度は男女別に裸で入る広い温泉エリアへ。オンドルや打たせ湯もある。さらりとしたいいお湯だった。

温泉のあとは夕食である。夕食の開始時間がなんと5時。8時半からのフラダンスのショーに間に合うようにセッティングされているのである。

大きなディナーブッフェ会場にはムームー姿の女性陣とアロハシャツ姿の男性陣が、皿を持ってうろうろ歩き回っていた。うん、いい感じだ。かなり楽しそうである。シェフが調理してくれるコーナーにはポークやラムのステーキ、ラーメンやフォーが。他にもお刺身やエビフライ、様々な小鉢料理やカレー、グラタン、パスタにハワイアンピラフ。デザートコーナーも品数が多くうろうろ歩き回る理由がよくわかる。

プールでも感じたことだが、ポッカリとここにいない世代が見えてくる。わたしが席を置くアラフィフ世代と中高生である。小さい子を持つ三十代の親&その親(孫と一緒に来た祖父母)が客層の中心。中高校生たちはアラフィフの親と旅行などしたがらないだろうし、友達のつきあいや部活や受験もある。いつか自分の家族を持ってからワイワイやってくるのであろう。

夕食後はお待ちかねのショーである。

無料席もあるがせっかくなのでSS席1200円を予約したところ、前方のめちゃくちゃ見やすい席だった。他の席にはない飲み物ホルダーも付いていた。ドリンク半額チケットも貰えるのでお得な気がする。

最初にファイヤーダンスがある。屈強な若い男性らが火がついた棒をぐるぐる回して踊り始めた。腰回りを隠している以外は裸である。練習中に何度やけどをしたことだろう? やけどってヒリヒリが長引くし本当に痛い。大変だっただろうなぁと思うと目頭が熱くなってしまった。

いよいよフラガールである。これはもうかわいくてかわいくて笑顔で見る以外にない。次々と衣装を変えていろんなダンスを披露してくれるのだが、踊りながら「ヒャッーッ」みたいな歓声をあげるのがなんともよかった。ジャングルに住む大きな鳥が鳴いているような神々しさである。ショーが終わるとSS席の人はフラガールと写真を撮ることができ、むろん撮ってもらった。

翌朝は朝風呂(温泉)に入り、朝食会場へ。またまたムームー&アロハシャツの人々が皿を持ってうろうろしていた。見ようによっては全員パジャマみたいだが、そのゆるい感じがよいではないか。

新宿行きの無料バスは午後3時発。それまでは再び室内の巨大プールエリアでのんびりする。

ベンチに腰掛け、ホットコーヒーを飲んだ。

天井からやわらかな光がそそいでいる。椰子の木と青いプール。水着姿の解放された人間たち。天国がこういうところだったらいいなぁ。明日のことなどなにも考えず、ただハワイアンズの中にいた。

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前進する日もしない日も

仕事の打ち合わせ中、まったく違うことを考えてしまう。ひとり旅に出ても、相変わらず誰とも触れ合わない。無地の傘が欲しいのに、チェックの傘を買ってくる。〈やれやれ〉な大人に仕上がってきたけれど、人生について考えない日はない。そんな日々のアレコレ。

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益田ミリ イラストレーター

1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書に漫画「すーちゃん」シリーズ、『週末、森で』『きみの隣りで』『世界は終わらない』『今日の人生』『僕の姉ちゃん』『沢村さん家のこんな毎日』『泣き虫チエ子さん』などがある。またエッセイ『女という生きもの』『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』や、絵本『月火水木金銀土日 銀曜日はなにしよう?』(共著)など、ジャンルを超えて活躍する。最新刊は小説『一度だけ』。

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