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50歳から始める英語

2019.05.01 更新

「英語本探し」から始める令和元年の英語勉強法清涼院流水

生まれてこの方ずっと身近にある外国語は英語。なのに、字幕なしで映画鑑賞はおろか、海外旅行での簡単な会話すらままならず、諦め続けている人は多い。

しかし英語学習は、始めさえすれば、何歳でもどんな境遇でも成果を出すことができる。この期に及んで同時通訳を目指したり欧米企業に勤めるわけじゃない今だからこそ、誰からも強制されない英語学習は楽しく、人生をも豊かにする。TOEICテストを活用すれば自らの成長を数値化できてさらに愉快。

今すぐ無性に英語を始めたい! という人に贈る“人生100年時代”の正しい英語勉強法。

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英語学習の最適パートナーは、本

 では、どう学習すれば良いか、ですが、英語学習のスタートとしては、まずはご自分に合った本を探すことが、いちばん効果があります。英会話スクールに、どれだけ能力や人格の素晴らしいネイティヴの先生がいたとしても、あたりまえですが、その先生を連れて歩くわけにはいきません。でも、本であれば、どこにでもあなたに同行してくれますし、1冊の本に凝縮されて詰まっている著者の知識は、非常に価値のあるものなのです。

 もちろん、英語本に限らず、どんな本にも〝本と読者の相性〟はありますが、学ぶべきところが必ずあるものです。出版というのはビジネスですから、最初からハズレの本をつくろうと思って出す著者や編集者はいません。著者や編集者は、少なくとも、その内容に自信があり、良いものだと確信しているからこそ、書店に並んでいるわけです。本書は筆者が刊行する76作品めの紙の書籍ですが、なかなか簡単には本が売れない時代、1冊の本を出すのが昔の何倍も何十倍も大変だと感じます。本になって書店に並んでいる時点で、ある程度、その内容を信用して良い、と言っても決して過言ではないのです。

 仮にあなたにまったく合わない本であっても、「この本はなぜか以前から気になっていたのだけど、自分には合わなかった」とわかっただけでも収穫です。気になる本、というのは、あなたが今、必要としている情報と、なんらかの接点があるはずです。そのことに気づくきっかけになるだけでも価値は大きいでしょう。

 理想の英語本の探し方としては、インターネットのオンライン書店でレビューなどを参考に買うのではなく、本屋さんにご自分で足を運んで、実物を手にとって、パラパラとめくってみることが大切です。なぜなら、英語を学習する上では、「本の内容」と同じくらい、「物質としての本との相性」が大切になるからです。

 具体的には、本の大きさ、分厚さ、紙質、レイアウトの読みやすさ、パラパラめくった時のとっつきやすさ、などです。学習する上で、そうした面でのあなたと本の相性も大切で、それを確認するには、実際に書店で手にとってみるしかないのです。

 近年は、「電子書籍で読むのがいちばん好き」という方も、いらっしゃるでしょう。そういう方は、電子書籍という形式がご自分に合っているので、それで良いですが、本のレイアウトは、やはり学習しやすさに大きく影響しますので、実物を確認されたほうが良いでしょう。オンライン書店の立ち読み機能で、本のレイアウトをひと通り確認できる場合は、電子書籍で良い方は、オンライン書店で購入されても良いと思います。

 ただ、気をつけるべきは、「この本は売れてるみたいだから」とか、「この本は良いレビューがついているから」という理由〝だけ〞で本を選ぶことです。もちろん、売れている本には売れているだけの理由がありますが、オンライン書店のレビューは〝サクラ〞(著者の関係者が好意的に書いたもの)や、〝荒らし〞(著者のアンチがわざと悪く書いたもの)もありますので、鵜吞みにすると、実物を読んで首を傾げることもあるでしょう。

 あなたがもし、ご自分が〝日本人の一般人代表〞と思えるくらい平均的な感覚の持ち主の方なら、売れている本から試すのでも良いかもしれません。ただし、ふつうは、感性の個人差はあって当然なので、売れている本でも自分に合わないものはありますし、そんなに売れていなそうな本でも、あなたの必要としている情報をまさに与えてくれている本も、あるはずです。それを確認するには、実際に自分で手にとって、中身を確認すること以上に良い方法はありません。

あなたに合う英語本の探し方

 ひとくちに〝英語本〞と言っても、いくつかのさらに細かいジャンルに分けることができます。英単語の本、英文法の本、英会話の本、英語学習法についての本、TOEICや英検など英語資格試験の対策本、洋書や洋雑誌といった読み物などが挙げられます。英語の4大技能、スピーキング、リスニング、ライティング、リーディングのベースとなるのは単語力と文法力ですので、英単語の本と英文法の本は、最低1冊ずつ、お手元にあったほうが良いでしょう。複数冊ずつあっても、問題ありません。

 英語指導者の中には、「単語本で単語をおぼえる、というのは邪道で、英文をたくさん読みながら自然におぼえるべきだ」と主張される方もいらっしゃいますが、それこそ英語初級者の状態がよくわかっていない意見です。最低限の単語さえ知らないのが初級者なのですから、その状態でたくさんの英文を読めるはずがありません。基本的な英単語を知って、それらをおぼえていくために、初級者には特に、単語本があったほうが良いのです。

 単語がわかるだけでも英文の意味を類推できるようになりますし、単語をつなげてネイティヴ相手に自分の考えを伝えることもできるようになります。ただ、たくさんの英文を正確に読んだり、きちんとした文章をアウトプットしたりするためには、やはり文法の知識が不可欠ですので、文法のテキストもあったほうが良いでしょう。

 最近は、初級者向けに、「中学英語から学び直す」、あるいは「知識ゼロからわかりやすく」といった切りクチの単語本、文法本が何冊もありますので、書店の英語本コーナーで、実際に手にとってみて、ご自分に合いそうなものを探してみてください。

 近年は書店の数がおそろしく減り続けて、最盛期の半分以下になっています。近所に書店がない、という方もいらっしゃるかもしれませんが、書店で現物を確認するメリットを考えれば、少し遠出をしてでも大きな書店に行かれたほうが良いでしょう。

 あるいは、勉強への出資は惜しまない、何度失敗してもへこたれない、という方であれば、オンライン書店で英語本を片っ端から購入して、自分の家をミニ書店化させて、その中からご自分に合う本を選ばれるのでも良いと思います。

〝魔法の英語本〞など存在しない

 多くの英語学習者を見続けてきて気づいたのは、なかなか成果が出ない〝壁〞にぶち当たった時、問題を解決してくれる〝魔法の英語本〞を探してしまう方が多い、ということです。このテーマについて、筆者が『努力したぶんだけ魔法のように成果が出る英語勉強法』(PHP研究所)という自著でも書いた話で、学習者は、自分を学習の低迷期から救い出してくれる〝魔法の英語本〞をつい探してしまいますが、もし魔法のように効果が出続ける方法があるとすれば、それは、オーソドックスな、ふつうの学習法なのです。

 たとえば、「英単語をこつこつおぼえる」とか「英文法の理解していない部分をきちんと学び直す」といった、ふつうの学習法を提示された時、「そんな面倒臭い方法は続けられないし、忙しくて時間もないので、短時間で効果が出る方法を教えてください」と反応してしまう学習者は少なくありません。ですが、英語学習のショートカットや、裏技のような方法を探しては試すことを延々とくり返す状況は、まさに、砂地の上に突貫工事で家を建てるようなもので、すぐに瓦解します。そうしたショートカットや裏技を探す時間をオーソドックスな学習法にあてたほうが、何十倍も何百倍も大きな成果が出るのです。

 英語勉強法についての本を読むと、モティベーションは高まると思います。学習の燃料を注入するために読まれるのは良いと思いますが、何冊も読破して「英語勉強法博士」になっても、その達成は、あなたの英語力とは関係ありません。勉強法を知った時点では、効果のある筋きんトレの方法を学んだだけの状態と同じです。実際に筋トレをしない限り筋きん肉にくがつかないのと同じで、筋トレの方法を知っているだけでは筋肉はつかない(実際にトレーニングをしない限り英語力は身につかない)ことは、おぼえておいてください。

清涼院流水『50歳から始める英語』

生まれてこの方ずっと身近にある外国語は英語。なのに字幕なしで映画鑑賞はおろか海外旅行での簡単な会話すらままならず、諦め続けている人は多い。しかし英語を習得するなら時間とお金に余裕があり経験豊富な50歳からがいい。この期に及んで同時通訳を目指したり欧米企業に勤めるわけじゃない今だからこそ、誰からも強制されない英語学習は楽しく、人生を豊かにもする。TOEICテストを活用すれば自らの成長を数値化できてさらに愉快。今すぐ無性に英語を始めたい! という人に贈る〝人生100年時代〟の正しい英語勉強法。

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清涼院流水

1996年、『コズミック』で第二回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。以後、小説だけでなくビジネス書、ノンフィクション、英語学習指南書など著作多数。小説執筆の息抜きとして始めた英語学習にハマり、独自のメソッドでTOEIC(現L&R)テスト満点を5回達成。2009年から17年まで主宰していた「社会人英語部」では、のべ65人の部員をTOEICスコア平均900点台にまで導く。日本人作家の小説を英訳して世界中の電子書店で販売しており、著者、英訳者、編集者として手がけた英語作品は100を超える。作家としての近著に『ルイス・フロイス戦国記 ジャパゥン』(小社刊)、『純忠 日本で最初にキリシタン大名になった男』(WAVE出版)などがある。


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