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せつない京都

2019.04.16 公開 ポスト

嵯峨野で風流に、美味しいものをいただく柏井壽

柏井壽氏の新刊『せつない京都』より、京都のセンチメンタルを味わいたい人のための、嵯峨野に残る悲恋の物語を紹介してきました。

(写真:iStock.com/Meiyi524)

柏井壽さんといえば、グルメスポットに詳しいことでも知られています。
嵯峨野で、どんなお店に入ったら、“大人の京都”を堪能できるでしょうか?
とびきりの2店をご紹介いただきまし

〈嵯峨豆腐〉を嵯峨野で食す。~西山艸堂(せいざんそうどう)の湯豆腐

さて、嵐山界隈でランチとなれば、なかなかの難問です。有名観光地の宿命とでもいいましょうか、値段の割に内容が今ひとつというお店が多いのです。

そこでおすすめしたいのが「天龍寺」の境内で食べられる二軒のお店です。一軒は駅のすぐ近くにある「西山艸堂(せいざんそうどう)」。湯豆腐の美味しいお店です。

先にも触れましたが、京豆腐がそれほど有名になる前から、「清凉寺」の門前に店を構える「森嘉」の豆腐は、京都人のあいだで人気を呼んでいました。

豆の味がちゃんと感じられて、なめらかな舌触り。しかもこのお店に来ないと買えないのですから、人気が出て当然ですね。お店では〈嵯峨豆腐〉と呼んでいます。

今でこそ京野菜のほうが名高いようですが、長く京都の食といえば、何をおいても京豆腐という時代が続きました。京都に来たなら、まずはお豆腐を食べなくては。

さすがに豆腐をそのまま食べるわけにはいかないので、たいていは湯豆腐で食べることになります。居酒屋さんで冷奴(ひややっこ)という手もなくはないのですが、ご馳走感からすれば、湯豆腐の比ではありません。

しかしながら、さて湯豆腐をいただきたい、となっても、どこのお店で食べればいいのか迷うことが多いのが常です。基本的には鍋ものに分類されますので、割烹(かっぽう)だとか料亭で、これだけを食べることはできません。かといって、観光客向けの大型店で、余分な料理と抱き合わせになった湯豆腐会席なんていうのは願い下げですからね。

そんなときに重宝するのがこの「西山艸堂」です。さすがに単品というわけにはいきませんが「森嘉」の豆腐を使った湯豆腐を、名刹「天龍寺」の境内で、適価で食べられるのですから貴重な存在です。わざわざ食べに行っても後悔しません。年じゅう食べられますが、やっぱり冬がいいですね。嵐山で湯豆腐。なかなか乙なものです。

 

お寺でいただく精進料理。~篩月(しげつ)

湯豆腐と同じく、精進料理(しょうじんりょうり)も京都らしいものなので、一度は食べていただきたいと思うのですが、これもまた適当な店が少ないのです。

戒律を重んじる修行僧にとって、食事もまた重要なことでした。肉や魚などの生臭ものを避け、野菜を中心にした料理で空腹を満たしていたのが、精進料理です。不足しがちなたんぱく質は、主に大豆製品を肉や魚に見立てた、“もどき料理”で補います。こうした食体験も、京都らしいアクティビティになります。

もちろん京都には、精進料理の専門店も何軒かありますが、正直なところ、肉も魚もないのにこの値段? と疑問符を付けたくなることがよくあります。そこへいくと、この「篩月(しげつ)」は、お寺のなかで営業されているだけあって良心的な価格設定です。そしてどれも美味しいのでおすすめできます。

*   *   *

ほかにもたくさんの「せつない」スポットが紹介された『せつない京都』。

もっと知りたい方は、本書をぜひ!

柏井壽『せつない京都』

雅で煌びやかな反面、寂しさや侘しさを内包している京都――。平清盛に心変わりされた祇王が出家した「祇王寺」、愛する男と生きるためすべてを捨てた遊女の眠る「常照寺」ほか、千二百年の歴史を持つ都には、悲話の残る小さな寺社が多い。また、朝陽に照らされた東寺五重塔、大覚寺大沢池の水面に映る景色、野宮神社の“黒い"鳥居など、街中で、ふと足を止めて見入ってしまう物悲しい光景にもたびたび出会う。綺麗、楽しい、美味しいだけじゃない、センチメンタルな古都を味わう、上級者のための京都たそがれ案内。

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せつない京都

このたび、京都にまつわるベストセラーを続々出されている柏井壽さんの新刊が、幻冬舎新書より発売になりました!
タイトルは『せつない京都』。
京都といえば、雅で煌びやかなイメージが強いかもしれません。
しかしその反面、寂しさや侘しさを内包しているのが、京都という街です。
千二百年の歴史を持つ都には、悲話の残る小さな寺社が多いですし、街中で、ふと足を止めて見入ってしまう物悲しい光景にもたびたび出会います。
綺麗、楽しい、美味しいだけじゃない!
センチメンタルな古都を味わう、上級者のための京都たそがれ案内である『せつない京都』より、一部公開いたします。

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柏井壽

一九五二年京都市生まれ。大阪歯科大学卒業。京都市北区で歯科医院を開業する傍ら、京都の魅力を伝えるエッセイや、日本各地の旅行記などを執筆。『おひとり京都の愉しみ』『極みの京都』『日本百名宿』(以上、光文社新書)、『京都の路地裏』(幻冬舎新書)、『日本ゴラク湯八十八宿』(だいわ文庫)、『おひとり京都の春めぐり』(光文社知恵の森文庫)、『泣ける日本の絶景』(エイ出版社)ほか多数。
自分の足で稼ぐ取材力と、確かな目と舌に定評があり、「Discover Japan」「ノジュール」「dancyu」「歴史街道」など、雑誌からも引っ張りだこ。京都や旅をテーマにしたテレビ番組の監修も多数行う。
柏木圭一郎名義で、京都を舞台にしたミステリー小説も多数執筆する一方、柏井壽本名で執筆した小説『鴨川食堂』(小学館文庫)が好評で、テレビドラマ化も。
二〇一三年「日本 味の宿」プロジェクトを立ち上げ、発起人として話題を集める。
二〇一五年、京都をテーマに発足したガイドブックシリーズ「京都しあわせ倶楽部」の編集主幹としても。
プロフィール写真撮影:宮地工

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