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カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~

2019.03.27 更新

来ないなら、来るまで待とう刀剣乱舞カレー沢薫

やっと見れた。

将来の展望が、とかではない、それは未だに見えない。
映画「刀剣乱舞」がだ。

1月公開の映画であるから「何を今さら」と思う人も多いだろうが、我々にとっては「始まったばかり」なのである。

我々と言うのは「地方民」のことだ。
刀剣乱舞は当初全国上映ではなく、当然のごとく我が村では未公演だった。

 

私は地元が好きだし、1度も離れたことすらないのだが、この時ばかりは「未開の地」「文化的死都」「福岡か広島に吸収合併された方がいい」と、口を極めて罵った。
住むには良いが、こういうことに関しては紀元前もいいところなのが我が故郷なのだ。

だが、一部でしか上映されていなかった映画が、人気を受けて公開規模を広げるというのは良くあることだ。キンプリのプリズムだってそうやってこの村に届き、紀元前から「西暦はじまった」という状態にしてくれたのだ。

仕事で東京に行く機会はあるのだから、その時見るのは容易い。
しかし「刀剣乱舞」というコンテンツには、電気すら通ってないわが村にまで届くポテンシャルがあると信じて待った。

その読みは当たった。
映画「刀剣乱舞」は人気を博し、上映規模をどんどん広げていったのだ。

これは素直に嬉しい。自分の好きなジャンルがコケるというのは、我が子が受験に失敗したときぐらい、どんな顔をしていいかわからない。
だが逆に評判がいいと、ただの一ファンでありながら「自慢の息子」という気分になれるのである。

この調子なら、おらが村に来るのも時間の問題だろう。
そう思い、野良仕事の手を止め、映画館にいくアップをはじめたのだが、これがなかなか来なかったし、待っている間に作物が枯れた。

その間にも刀剣乱舞は上演館を増やし、すでに応援上映なども開催されていた、しかしそれでも我が村には来ない。
そしてついに、全国で上映されていない県は「2県」となってしまった。

両県の名誉上、実名は伏せるが刀剣乱舞未公開県は、我が「Y県」と「T県」だけになってしまったのだ。

奇しくも、両方中国地方である。
まさか中国地方の両雄がここで一騎打ちとは思わなかった、何故この二つなのだ、もっとダメな県はあるのではないか、北関東とかに、と思わずにはいられなかった。

郷土への愛が揺らぐし、他地方への偏見が助長するのでこういう真似はやめてほしい。残すなら5県ぐらい残してくれ。

正直ダメかもしれないと思った、このままY県はT県と心中して、映画は東京で見るしかないと諦めかけた。

しかし、映画「刀剣乱舞」は、へし切長谷部は、おらが村にやってきてくれた。

へし切長谷部というのは、私の刀剣乱舞における、推しキャラである、今回一番大事なことなので、シナプスに編み込んでおけ。

ついに46都道府県目として、公開から送れる事二か月、我が村で刀剣乱舞が上演されることとなったのだ。
逆に言うと未だ未上演のT県は刀剣乱舞と、会津藩的因縁でもあるのだろうか。

すべての映画刀剣乱舞に足を運び、盛り上げてくれた人に感謝である。

もちろん、地元上演を待たずとも、東京で見ることは容易かった。しかし私はできれば地元で見たかったのだ。

何故、我が県でここまで上演されなかったかというと、上映したところで来る奴がいない、と思われていたからかもしれないからだ。
確かに、我が県はこういうことに関しては、未だに便所が汲み取り式なぐらい遅れている感がある。

その遅れを取り戻すには劇場に足を運び「ここにもこういうコンテンツに金を落とすクソオタがいますよ!」とアピールしなければいけないのだ。

客が来るという実績があれば、もし続編があったときも上映してもらえるだろう。
これが俺たちの町おこし、これが俺たちの農業、である。

自己主張の強いオタクは嫌われがちだが「このコンテンツがこれだけ好きな奴がここにいるんだぞ」とでかい声で言うことはジャンルの繁栄、継続にとても影響があることなのだ。
連載が終わってから「好きだったのに」と言っても遅いのだ。
実際、おらが村に刀剣乱舞がやってきてくれたのも、多くの人間が「映画館に行く」という行動を見せた結果である。

もちろん10回映画を見に行かなえればならない、というわけではない。
使える金も時間も人それぞれだし「ファンなら〇〇すべき」と言い出すことこそが、ジャンルを衰退させる。

幸い「1円から出来る」という投資広告があるように、オタクの投資活動も、WEB漫画ならアクセスする、ツイッターに「おもしろかった」とつぶやくなど、1クリック、1ツイートから出来るようになってきている。
金や時間がなくても、推しコンテンツに「投資」する方法は増えてきているので、伸びてほしいジャンルには、可能な範囲で投資していくべきだろう。

連載終了が決まってから「好きだったのに」と言い出すのでは遅い。

映画が始まる前のストーリーが壮大になりすぎて、内容が全く書けなかったので、それについてはまた次回にでも書ければと思う。

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関連書籍

カレー沢薫『カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~』

だが、未だにガチャから学ぶことは多い、去年末、本コラムをまとめた『カレー沢薫の廃人日記~オタク沼地獄~』という本を出版させてもらった。 そのキャッチコピーは「人生で大事なことは、みんなガチャから教わった」なのだが、改めてこのコピーに嘘偽りはなかったと確信している、もはやガチャは人生の縮図と言っても過言ではない。

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