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前進する日もしない日も

2019.02.06 更新

ヘルシンキ マリメッコ社員食堂益田ミリ

帰国前日。

一日観光ができる最終日に、マリメッコ本社へと向う。アウトレットショップでの買い物と、マリメッコの社員食堂でランチを食べるためである。

フィンランドのガイドブックを開くと、必ず紹介されているマリメッコの社員食堂。一般の人も利用できるので、言わば観光名所のひとつである。

社員食堂のランチは午前10時30分から。昼時を避け、開店と同時に食べる計画なので、この日は朝食抜き。

 

 

ヘルシンキ中央駅から、マリメッコ本社最寄り駅となるHerttoniemi駅までは地下鉄で。乗車時間は10分ほど。昔、買い物に訪れたことはあるので、駅からの道はだいたい覚えている。そして、忘れていても、迷うことはない。マリメッコ本社にむかう日本人がいっぱいいるからである。付かず離れず同じ道を進み、到着すると、10時オープンのアウトレットショップのドアが開いたところだった。30人近い日本人が行列をつくりながら入って行く。えっ、開店前から並ぶ感じ? 出遅れたと、早足になる。

店に入ると、日本のデパートのバーゲン会場みたいになっていた。入り口でカゴを渡され、カゴを持つとパブロフの犬のように気持ちがざわつく。

いいものが取られてしまう!

あわあわと洋服のラックを行ったり来たり。200ユーロのワンピースが50ユーロ。170ユーロのスカートが40ユーロ。考えるな、感じろ! 安いと感じたら買うのだ。10時30分に社員食堂に入る予定だから、ちゃっちゃっと数枚カゴに入れ、レジが混む前にお会計。これ、本当に日本で着るのだろうか……。

その足で社員食堂へ。建物に入って左側がアウトレットショップと正規ショップ。右側が食堂である。前に来たときは食堂の場所がわからずあきらめたのだが、今回はレジでの会計中に聞いた。確実にステップアップしている。

開店したての社員食堂には、まだほとんど人がいなかった。100席くらいあるのだろうか。長テーブルが数列中央にあり、二人掛け、四人掛けの席もある。

ブュッフェ形式で、カウンターに並んだおかずを皿に取っていくようだ。食器やトレーもすべてマリメッコである。

社員らしき女性がトレーを手におかずを選び始めていた。よし、あの人をマネしよう。

彼女につづき、あれやこれやと皿に盛っていく。並んでいるのは野菜料理が中心だ。

ブルーベリーのジュースを彼女が選んだので、わたしもマネする。彼女は牛乳も選んだ。わたしは牛乳を飲みたい気分じゃなかった。でも、なぜかマネする。最後にパンを切り分け、バターをのせる。レジに進んでお会計。量に関係なく11ユーロ。1500円ほどである。

さて、どこに座ろう。混んできたときにふたり席だと申し訳ない。長テーブルの端にする。料理は薄味でとても食べやすい。大豆ミートのフライ(のようなもの)に、タルタルソース(のようなもの)をかけたのがおいしかった。混む前に出ようと思うと気が急いて、まだ、全然、混んでないのに搔き込むように食べ終える。無駄に気を使いすぎるわたしである。

食後はまたまたアウトレットショップに戻って買い物を続行。昼時に社員食堂をちらっとのぞきにいくと、日本人が行列になっていたのだった。

マリメッコ。

ヘルシンキのどの店舗に行っても、日本人をみかける。日本人に対する、ものすごい吸引力!

そういえば、イッタラのアウトレットショップでグラスを選んでいるとき、日本の女の子たちがマリメッコの紙袋を持っていたので、

「アウトレット、行ってきたの?」

と、話しかけてみたのである。

「すごい楽しかったです!」

学生だから、洋服は高くて買えなかったんですけど、と笑っていた。

若々しいの女の子たち。マリメッコのウニコ柄のワンピースなんか着たら、よく似合うだろう。でも、そうか、買えなかったのか。わたしは大人だから買えるけど、もうウニコのワンピースは似合わない。買えても、買えないのが淋しかった。

 

 

 

 

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前進する日もしない日も

仕事の打ち合わせ中、まったく違うことを考えてしまう。ひとり旅に出ても、相変わらず誰とも触れ合わない。無地の傘が欲しいのに、チェックの傘を買ってくる。〈やれやれ〉な大人に仕上がってきたけれど、人生について考えない日はない。そんな日々のアレコレ。

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益田ミリ イラストレーター

1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書に漫画「すーちゃん」シリーズ、『週末、森で』『きみの隣りで』『世界は終わらない』『今日の人生』『僕の姉ちゃん』『沢村さん家のこんな毎日』『泣き虫チエ子さん』などがある。またエッセイ『女という生きもの』『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』や、絵本『月火水木金銀土日 銀曜日はなにしよう?』(共著)など、ジャンルを超えて活躍する。最新刊は小説『一度だけ』。

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