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人生は理不尽

2019.01.30 更新 ツイート

夫婦も兄弟も情愛で考えない方がうまくいく佐々木常夫

「期待しすぎずに、楽観でいこう」元・東レ経営研究所社長の佐々木常夫さんが晩年について語った『人生は理不尽』(小社刊)が刊行されました。佐々木さんは東レ時代、肝臓病とうつ病を患い自殺未遂を繰り返した奥さまと自閉症のご長男を支えながら、必死に取締役にまで上りつめるも突然、左遷人事を言い渡されてしまいます。なぜ私が…そんなやりきれない想いに悩みますが、「なんとかなるさ」と前を向き『ビッグツリー』『そうか、君は課長になったのか。』とベストセラーを著しました。そんな佐々木さんも74歳。死を意識するようになった今、何を想うのか。人生の暗夜に苦しむ全ての方に贈るメッセージです。

『人生は理不尽』(1月25日小社刊、1200円+税、B6判変形260頁)

夫婦は情愛より「リスペクト」

厚労省のデータによれば、近年70歳以上の高齢離婚が増えているそうです。

でも、高齢での離婚はリスクが高いのも確かです。若い頃と違い、新たなパートナーを見つけるのも簡単ではありません。実際離婚をきっかけに孤立し、不安定な老後を余儀なくされている人もいます。

不安と孤独に苛まれる老後を送るくらいなら、離婚せず夫婦関係を改善するほうがずっと賢いのではないでしょうか。

では、夫婦仲をよくするにはどうすればいいか。一番の方法は相手を「リスペクトする」こと。相手の優れているところを見つけ、相手を認めることです。

長年いっしょにいると、欠点やアラが見えてきます。文句や不満もたまってきます。

でも、人間欠点やアラがあるのは当たり前です。そもそも相手によいところがあって結婚したわけですから、それを思い出して認めればいいだけ。それほどむずかしいこともないのではないでしょうか。

夫婦は情愛も大事です。情愛で夫婦が円満にいくならそれが一番です。でも、情愛は時間とともに薄れます。情愛だけで夫婦を続けるのは不可能です。

一方リスペクトの気持ちはそう簡単には薄れません。一生懸命探せばより多く見つけ出すことだってできます。夫婦円満にやっていきたいのなら、不安定な情愛より確かなリスペクトを優先したほうがいいのです。

私の場合、妻が肝臓病やうつ病を患っていたため、正直不仲に悩むどころの話ではありませんでした。看病に必死で思い悩むヒマもなかったほどです。

妻が自殺未遂を繰り返し生死の境をさまよったときは、「おれのほうが死にたいよ」と内心弱音も吐きましたが、妻と離婚しようとはつゆほどにも思いませんでした。

この人とやっていこうと決めたからには、そう簡単に放り出すものか。自分が選んだ責任をまっとうすることが愛である。そう信じていたからです。

相手をリスペクトし、できる限りの責任を果たす。結婚における愛情とはそういうものではないでしょうか。

しかし中には「どうしてもリスペクトできない」という人もいるでしょう。「いっしょに暮らすのがしんどくて、もう別れるしかない」という人も少なくないと思います。

そういう場合は離婚したって構いません。どうにもならないものを無理にいっしょにいろとは言いません。

離婚したほうが老後をイキイキと暮らせるというなら、それはそれでいいと思います。大事なのは浅薄な考え方をせず、慎重に臨むこと。いっしょに居続けるか、離婚するか。どちらが充実した老後になるかを真剣に考えることではないでしょうか。

尊敬できないのならば別れるのもあり(写真:iStock.com/JackF)

兄弟姉妹とは他人以上に距離をとる

兄弟姉妹との関係も、当然仲がいいにこしたことはありません。互いの家をしょっちゅう行き来するにしろ盆暮れにしか会わないにしろ、仲よく話ができる関係を保っておくのが一番に決まっています。

しかしどれほど仲がよくても、兄弟間では一定の距離を置くことをおすすめします。仲がよすぎると甘えが生まれ、負担になることもあるからです。

私は男ばかりの四人兄弟です。長男、私、そして私の下に二人の弟がいます。早くに父を亡くし母子五人で肩寄せ合って生きてきたこともあり、兄弟仲はとてもいいほうだと思います。

ただ仲がよすぎたのか、兄弟はたびたび私を頼ってくることがありました。特に長男は年上であるにもかかわらず、何かと私に相談をもちかけてきました。

結婚を決めるときも相手の女性を私に引き合わせ、「常夫、あの人のことどう思う? お前がいいって言うならおれは結婚を決める」と言ったり、結婚後夫婦喧嘩したときも、私を呼び出して仲裁役を頼んだり。

兄のことは大好きでしたから、役に立てるのはうれしいのですが、仲裁のために遠距離を行き来するのはやっぱり一苦労です。

一方弟からは手術の立ち会いを頼まれたことがあります。幸い手術は無事に終わりましたが、これまた遠方からの呼び出しで一泊二日。

こうした呼び出しが続いたせいで、妻から「なぜあなたばかりがやらなければならないの? 他にも兄弟はいるじゃない」と叱られてしまいました。「兄弟なんだし断るわけにもいかない」と説明しましたが、考えてみれば妻の言い分ももっともです。

他人と違い気兼ねなく頼り頼られるのも兄弟のよさですが、このような関係が続くとやがて甘えるのが当たり前になります。当たり前になると「ありがとう」のひと言もなくなります。

他人なら感謝すべきものを、兄弟となると感謝も遠慮もなくなってしまう。こうなると甘えられるのに疲れ、顔も見たくないということにもなりかねません。

だから兄弟はあえて距離を置く。距離を置いて、頼られすぎないようガードしたり甘えすぎないようにしたほうが、わだかまりなく楽につき合えます。

兄弟間では親の介護や遺産をめぐって争いがおきがちです。どれほど仲がよくてもひとたび問題が起きれば、他人以上の憎しみを抱くこともないとは言えません。

そんなことにならないためにも、兄弟間では冷静かつ客観的に話し合いのできる、ほどよい距離感が必要なのです。

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人生は理不尽

「期待しすぎずに、楽観でいこう」元東レ経営研究所所長の佐々木常夫さんが、壮絶な半生から学んだ人生晩年の哲学『人生は理不尽』(1月25日、小社刊)より一部公開。人生の暗夜は本書で照らせ!

 

~うつ病の妻、自閉症の長男を支えながら死に者狂いで辿り着いた東レ取締役。しかし、妻が2か月後自殺未遂。そして突然の左遷――。会社のために頑張ったのに、なぜ報われないのか。なぜ自分や家族が、こんな目に遭わねばならないのか。苦悩の中で、私は物事を客観的に見るコツを身につけました。それが「期待するのをやめる」ことです。人生は時に理不尽です。しかし理不尽から学ぶものも決して少なくないのです。~

 

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佐々木常夫

1944年、秋田市生まれ。株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表取締役。69年、東京大学経済学部卒業後、東レ株式会社に入社。自閉症の長男を含め3人の子どもを持つ。しばしば問題を起こす長男の世話、加えて肝臓病とうつ病を患った妻を抱え多難な家庭生活を送る。一方、会社では大阪・東京と6度の転勤、破綻会社の再建などさまざまな事業改革に多忙を極めたが、いかにワークライフバランスを保つかを考え、定時に帰る独自の仕事術を身につける。2001年、東レ株式会社の取締役に就任。03年より東レ経営研究所社長。何度かの事業改革の実行や3代の社長に仕えた経験から独特の経営観をもち、現在経営者育成のプログラムの講師などを務める。内閣府の男女共同参画会議議員、大阪大学客員教授などの公職を歴任している。『そうか、君は課長になったのか。』(WAVE出版)、『40歳を過ぎたら、働き方を変えなさい』(文響社)、『運命を引き受ける』(河出文庫)など著書多数。

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