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糖尿病がイヤなら歯を磨きなさい

2018.03.22 公開 ポスト

専門医もビックリ! Aさんの糖尿病が劇的に改善したわけ西田亙

写真:iStock.com/AndreyPopov

 40歳以上で男性2人に1人、女性3人に1人は糖尿病か糖尿病予備軍と言われています。そして日本人の成人の約8割は歯周病。実はこの2つの「国民病」には、コインの裏表のような密接な関係があります。
『糖尿病がイヤなら歯を磨きなさい――内科医が教えるお口と体の健康の新常識』の著者・西田亙さんも驚いた、ある糖尿病患者さんのお話です。

枕に血がつくほどの歯周病

 42歳男性のAさんは、糖尿病治療のため、30代の頃から大学病院に通院していました。主治医は私です。

 糖尿病を診断する指標であるヘモグロビンA1cの値は7パーセント前後で安定していましたが、39歳のときに11.4パーセントまで急に悪化したため、糖尿病内科の外来でインスリン治療を始めました。

 厚労省が出しているヘモグロビンA1cの糖尿病判定の基準値は6.5パーセントです。その後AさんのヘモグロビンA1c値はいったん6.2パーセントまで改善したものの、再び悪化し10パーセント台が続いたため、入院して治療を行うことになりました。

 入院の当日、研修医がAさんに問診をしたところ、「毎朝、起きると歯ぐきからの出血で枕が赤く染まる」ことがわかりました。当時の私はお口にまったく興味がなかったので、それまでAさんの歯周病を完全に見逃していたのです。

 研修医からの報告を聞いた私は、「それは大変!」と、すぐAさんを歯科口腔外科に紹介しました。すると重度の歯周病であるとのこと。上と下の2回に分けた歯周病の治療が行われました。Aさんは汚れたお口を、歯科衛生士さんにピカピカにしてもらったのです。

インスリン注射を打たなくてよくなった!

 入院当初はインスリン注射を毎日4回打ち、入院食で食事制限をしても血糖値は200〜300㎎/㎗台と、なかなか下がりませんでした(正常値は100㎎/㎗台です)。

 ところが歯周病の治療を終える頃から、Aさんの血糖値はスルスルと下がり、インスリン注射の量も減っていき、退院2日前にはついにゼロ。飲み薬1種類だけで退院できることになったのです。

 普通は逆のコースをたどります。血糖値の高い人が入院した場合、インスリンを打ち始め、インスリン注射の量が増えることで血糖値が落ち着いて退院します。Aさんの経過は、この常識を打ち破るものでした。

 さらに驚いたのは、退院後のヘモグロビンA1cの値です。入院当初は10.5パーセントだった値が、退院1カ月後には7.8パーセントまで大きく下がったのです。厚労省が出しているヘモグロビンA1cの糖尿病判定の基準値は6.5パーセントなのでまだ高いのですが、それでもめざましい改善です。

 糖尿病の薬1種類で下がるのはふつう0.8ぐらい。1カ月で値が1〜2下がれば上出来で、3近く下がるのは専門医も驚きです。

 血糖値、ヘモグロビンA1cとともに、Aさんの検査データでもう1つ、改善した値があります。退院後、血液中のCRP(C反応性タンパク)という物質の値が半減したのです。

 CRP検査は、体の中で起きている炎症の度合いを見るために行われます。AさんのCRP値は入院日には0.35㎎/㎗で、歯周病が進行していると、このぐらいの値になります。それが、退院1カ月後には0.16㎎/㎗と半分以下に下がったのです。

 このことから、歯周病の治療により体内の炎症状態が改善し、それによって血糖値が低下したと考えられます。入院して行った食事療法や運動療法の効果もあったのでしょうが、劇的な改善のきっかけになったのは、歯周病治療だったのです。

 Aさんのインスリン注射による医療費は、お薬代だけで毎月2万5000円以上でしたが、歯周病の治療後は、お薬代だけで見ると毎月500円少々。当初の50分の1です。私もこれには驚きました。

そして「いままで自分は一体何をしていたのだろう?」と猛反省しました。Aさんのためと思い、高額ではあるものの最強で最良のインスリン治療を提供しているつもりでした。

 でも、私が本当になすべきことは、Aさんを歯医者さんに紹介することだったのです。

 * * *

 歯周病を治すことで、なぜ糖尿病が良くなるのか? 詳しくは『糖尿病がイヤなら歯を磨きなさい――内科医が教えるお口と体の健康の新常識』をお読みください。

 西田先生の楽しいお話を聞きにきませんか? 3月24日(土)14時から、三省堂書店池袋本店で、西田亙先生のトーク&サイン会が開催されます。西田先生が本のなかで紹介している”最強&高級口腔ケアグッズ”のお土産つき。詳細はこちらからどうぞ。

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西田亙

医学博士・糖尿病専門医。広島市生まれ。愛媛大学医学部卒業。同大学大学院医学系研究科修了。大阪大学での基礎研究生活を経て、2012年、愛媛県松山市に、にしだわたる糖尿病内科を開院。糖尿病の予防を啓発することを使命とし、医科歯科連携の重要性を伝えるために全国各地でセミナーや講演を実施している。

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