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シンギュラリティ・ビジネス

2017.09.11 更新

第2回(全3回)

「働かなくていい社会」になったら、どう生きる?齋藤和紀

(写真:iStock.com/Aleutie)

 

『シンギュラリティ・ビジネス――AI時代に勝ち残る企業と人の条件』の著者・齋藤和紀さんが、さる7月1日、「ロンドンブーツ1号2号 田村淳のNewsCLUB」(文化放送)にゲスト出演。パーソナリティの田村淳さん、篠田恵里香さんとの楽しいトークの模様を3回にわたってお届けします。
 シンギュラリティとは、科学技術の進化のスピードが無限大になること。シンギュラリティが到来すると、人間が死ななくてよくなるといったような、とてつもない変化が起きる、と齋藤さん。でも淳さん・篠田さんからは、「人間がAIに乗っ取られるのは恐ろしい」「人間にとってメリットがあるんですか?」という危惧の声も。シンギュラリティの先の世界は、はたして人間を幸せにしてくれるのでしょうか。

 * * * 

競争馬になりますか? 牧場の馬になりますか?

齋藤 メリットは大いにあります。AIのよい使い方をするということが前提ではありますが。
 悪い使い方をする人は当然出てくるでしょう。でも怖いからといってやめてしまったら、悪意の人たちだけが、どんどん先に行ってしまいますよね。だから、皆で考えて、人間の能力をちゃんと活かしてくれるような形でAIを使うことが重要になるんだと思います。
 AIだけでなく、ロボットのテクノロジーとか、遺伝子工学とか、ナノテクノロジーとか、そういうものを組み合わせて使っていく。

 本のなかに、働かなくていい未来がやってくるという話があったんですけど、本当に働かなくてよくなるんですか、人間て。AIが進化すると。

齋藤 そこはまさに皆で考えていきたいところなんです。働く必要がなくなったとして、みんな、本当に働かなくていいんでしょうか?
 本にも書きましたが、「馬」がいい例だと思うんです。
 かつて馬は移動の手段であり、物流の手段でもあり、人間のためにものすごく働いてくれました。その頃、馬はたくさんいたけれど、今は、非常に減ってしまった。
 で、今生きている馬には、競走馬もいれば、牧場で優雅に草を食んでいるものもいる。働く必要がなくなった後の人間も、そうなるんじゃないでしょうか。競争したい人は競争すればいいし、優雅に過ごしたい人は……。

 ……あぁ、うまいなあ。そういうことか! 競走したい人は競走馬になればいいし、ゆったりと過ごしたい人は牧場の馬になればいい。俺は牧場の馬がいいなぁ。

篠田 ハハハッ。齋藤さん、本のなかでは、ソーラーパネルの進化でエネルギーの価格がゼロになるとか、水不足、食料不足もなくなると予想されているとお書きになっていますが、このあたりはどういうことなんでしょうか?

齋藤 これは、働かなくていい社会になるということと、根っこのところは同じなんです。
 今、ソーラーパネルが進化して、ソーラー発電の効率性は非常に高まっています。たとえば中国や中東には、メガ・ソーラーと呼ばれる大規模な太陽光発電所がどんどんできています。
 日本の状況はちょっとよく分からないんですが、海外ではもう、契約価格ベースで、太陽光の方が化石燃料よりも発電のコストが安いというところも出てきてるんですね。
 電気自動車メーカーのテスラ・モーターズのCEOイーロン・マスクさんなんかは、バッテリー―蓄電池ですね―の巨大工場をつくっていて、そこではどんどん電気を蓄えられるようになっている。そうやって発電と蓄電の問題が解決されると、エネルギー価格は限りなくゼロに近づいていく。そう考えている人はたくさんいます。

 太陽光はクリーン・エネルギーだから、なおのこといいですね。

齋藤 そうです。そうやって電力がタダになって無尽蔵に使えるようになれば、今度は、太平洋に巨大淡水化プラントをつくって、海水から大量に淡水、飲料水をつくることができる。食料プラントもつくれる。そうしたら、水不足も食料不足も解消してしまう。エネルギー価格がゼロになることのインパクトには、やはりすごいものがあります。

 そっか。みんな繋がっているんだ。

齋藤 ……という壮大なことを、言っている人もいるんですね(笑)

 俺、去年シリコンバレーに行ったとき、生きている豚じゃなくて、豚肉から豚肉をつくることに取り組んでいるという会社の取材をしたんですよ。牛乳も、牛さんから乳を搾るんじゃなくて、素材と素材を合わせて一気につくれちゃう……。

篠田 たしかに最近は、大豆で作ったお肉などもありますもんね。お肉を、栄養的によりヘルシーな素材でつくるというようなことも、絶対できてきますよね。

 豚を育てないで豚肉をつくる。シンギュラリティに向かって技術が進歩すると、そんなこともできるようになるということですね。

齋藤 はい、できると聞いています。豚を殺さずに豚肉をつくるというのは、豚肉の組織を培養して肉を増やすということなんですが、今シンギュラリティ大学に行っている日本人の子が、まさにそういう研究をしているんです。

淳・篠田 わーっ! 取材したい。

齋藤 技術的にはもうできるんですが、まだコストが高いんですね。これが劇的に下がると、人類の食料問題が解決します。

 ですよね。

齋藤 インパクトありますよね。冷蔵庫を開けたら、つねにお肉が満杯に入っている。

篠田 A5ランクの牛肉なんかも、すぐつくれるようになっちゃうんじゃないですか。

 培養していけばいいということですもんね。

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シンギュラリティ・ビジネス

2020年代、AIは人間の知性を超え、2045年には、科学技術の進化の速度が無限大になる「シンギュラリティ」が到来する。そのとき、何が起きるのか? ビジネスのありかた、私たちの働き方はどう変わるのか?

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齋藤和紀

1974年生まれ。早稲田大学人間科学部卒、同大学院ファイナンス研究科修了。シンギュラリティ大学エグゼクティブプログラム修了。2017年シンギュラリティ大学グローバルインパクトチャレンジ・オーガーナイザー。金融庁職員、石油化学メーカーの経理部長を経た後、ベンチャー業界へ。シリコンバレーの投資家・大企業からの資金調達をリードするなど、成長期にあるベンチャーや過渡期にある企業を財務経理のスペシャリストとして支える。エクスポネンシャル・ジャパン共同代表、Spectee社CFO、iROBOTICS社CFO、Exoコンサルタント。

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