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人生は「一言力」で決まる!

2017.02.04 更新 ツイート

小池都知事は「一言力」の達人川上徹也

 上司への報告、部下への指示、クライアントへのプレゼン、新商品の売り出し、入学・入社面接、司会やスピーチ、飲み会・合コン……日常生活のあらゆる場面で役に立ち、一生の武器になるのが「一言力」すなわち「短く本質をえぐる言葉で表現する能力」。
 コピーライターの川上徹也さんが、「一言力」を「要約力」「断言力」「発問力」「短答力」命名力」「比喩力」「旗印力」の7つの能力に分析し、どんな人でもすぐ、「人の心をグッとつかむ一言」が言えるようになるノウハウを伝授します。今回は「比喩力」についてです。

* * *

■比喩を制するものは、選挙を制す

「一言力」に必要な能力の6番目は「比喩力」です。
 何かを説明する時、別の何かにたとえて表現することです。話し言葉においても、書き言葉においても、うまい「比喩」を使える人は、一目おかれます。

 うまいたとえ話があると、本来長々説明しなければならないことが、シャープにまとめられます。つまりわかりやすくなるのです。
 また、多くの比喩は、頭の中に映像が浮かびイメージしやすくなるので、受け手に心地よい印象を与えます。
 また、その表現が斬新だと、人に発見を与えることができます。

 2016年年7月に実施された東京都知事選は、この「比喩力」によって勝負が決したと言っても過言ではありません。
 告示の2週間前、いち早く小池百合子氏が立候補を表明しました。その記者会見で以下の発言が出ました。

「崖から飛び降りるつもりで、その覚悟で挑戦したい」

 実際に飛び降りるわけではないので、冷静に考えれば、これはただの比喩です。
 しかし翌朝の新聞やネットニュースの見出しでは、ほとんどでこの「崖から飛び降りる覚悟で」というフレーズが使われていました。そしてこのフレーズが都知事選の行方を決めてしまったのです。

 その後、立候補を検討していた増田寛也氏が「スカイツリーから飛び降りるくらいの覚悟が必要」、石田純一氏は「ヘリコプターから飛び降りるようなもの」という表現を使いました。
 厳しい言い方をすると、「崖から飛び降りる覚悟で」という比喩にのっかってしまった時点で、勝負はついていました。あとから出てくる候補は、まったく別の比喩を使って空気をリセットする必要があったのです。

 さらに選挙戦で小池陣営は、自陣のテーマカラーである緑を「百合子グリーン」と名づけました。この「命名力」は見事です。ただの「緑」という色に自身の名前をつけることで意味を持たせたのです。また「演説に緑のものを持って集まって」という呼びかけも秀逸でした。映像では、「緑」を持った人間が集まってくる様子が映えるからです。

 そして選挙の結果は、ご存じのように小池百合子氏の圧勝。
 比喩を制したものが選挙も制したのです。

 

■会話の比喩は「たとえツッコミ」に学ぶ

 会話で比喩やたとえ話を瞬時に言えるようになると、この人は頭の回転が速いなと一目おかれるようになります。
 比喩を考える際に参考になるのは、テレビで活躍しているお笑い芸人です。
「たとえツッコミ」と呼ばれている比喩を使ったツッコミ手法に長けた芸人3人の例をご紹介しましょう。

 まずはくりぃむしちゅーの上田晋也さん。
 (流行に乗り遅れている人に対して)
「11月に冷やし中華始めましたくらい遅いよ!」

 (簡単に追い込まれている出演者に向かって)
「追い込まれすぎだろ。2ストライクから出てきた代打か!」

 次は南海キャンディーズの山里亮太さんの「たとえツッコミ」です。
(山里さんの発言に客席がサーッと引いていった時)
「びっくりしましたね、津波の寸前の海みたいになりましたからね」

 フットボールアワーの後藤輝基さんの「たとえツッコミ」にはこんなものがあります。
 (ロケで食べすぎてお腹いっぱいで)
「1LDKに15人住んでるよ」

■瞬時に比喩を思いつく方法

 では、会話の中で比喩を思いつくようになるには、どのような訓練をすればいいでしょう。

 まずは、比喩で表したい対象と、別のものの共通点を探すことから始めてみましょう。

 例えば、前出のたとえツッコミの例を見てください。

「流行に乗り遅れていること」→「季節に乗り遅れている飲食店のメニュー」
「追い込まれていること」→「スポーツで追い込まれている状況」
「客席がサーッと引いていく」→「海面がサーッと引いていく」
「お腹いっぱい」→「部屋に人がいっぱい」

 というふうに、共通点を探していくのです。

 この場合、あまり距離が近すぎると、印象深い比喩になりません。
「流行に乗り遅れている」に対して、例えば「洋服」でたとえてしまうと、近すぎるので、あまり化学反応が起きません。夏定番の「冷やし中華始めました」の貼り紙が11
月だから、おもしろい比喩になるのです。

 また、比喩の基本モデルのひとつ、「○○は△△だ」で普段から練習しておくことも、比喩力を鍛える方法です。
 例えば、人生をいろいろなものにたとえてみましょう。

 ・人生は山登りだ
 ・人生は旅だ
 ・人生はサッカーだ

などのように。

「人生は山登りだ」であれば、「人生」と「山登り」の共通点をいろいろと見つけるのです。そうすると、以下のような共通点が見つかるでしょう。

 ・登りもあれば下りもある
 ・地図がないと心配だ
 ・頂上だと思ってたどり着いたところが、頂上とは限らない
 ・荷物は軽い方がいいが、何もないと心配だ
 ・頂上までの登山道はひとつだけとは限らない
 ・油断すると遭難する可能性がある
 ・上の方に行くにつれて、見える景色が全然違う

 このように共通点を探すトレーニングを地道に続けることで、比喩力は向上します。

川上徹也『一言力』

上司への報告、部下への指示、クライアントへのプレゼン、新商品の売り出し、入学・入社面接、司会やスピーチ、飲み会・合コン…日常生活のあらゆる場面で役に立ち、一生の武器になるのが「一言力」すなわち「短く本質をえぐる言葉で表現する力」。本書ではコピーライターの経験から編み出された、一言力を身につけるメソッドをついに開陳。「要約力」「断言力」など一言力を構成する7つの能力からアプローチする実践的ノウハウで、誰でもすぐ当意即妙の一言が言えるようになる!ライバルには教えたくない一冊。

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 才能不要。センス不問。「ズバっと伝える技術」をお教えします。

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川上徹也

コピーライター。湘南ストーリーブランディング研究所代表。大阪大学人間科学部卒業後、大手広告代理店勤務を経て独立。様々なプロジェクトに関わる中で「一言力」に磨きをかける。企業の旗印になる「川上コピー」を得意とする。受賞歴多数。「物語の力で会社や商品を輝かせる」という手法を体系化し、「ストーリーブランディング」と名付けたことでも知られる。著書は『物を売るバカ』『1行バカ売れ』(共に角川新書)、『あの演説はなぜ人を動かしたのか』(PHP新書)など多数。

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