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人生は「一言力」で決まる!

2016.12.07 公開 ポスト

人の心をグッとつかむ「要約力」

書き言葉は13字、話し言葉は15秒で川上徹也

 上司への報告、部下への指示、クライアントへのプレゼン、新商品の売り出し、入学・入社面接、司会やスピーチ、飲み会・合コン……日常生活のあらゆる場面で役に立ち、一生の武器になるのが「一言力」すなわち「短く本質をえぐる言葉で表現する能力」。
 コピーライターの川上徹也さんが、「一言力」を「要約力」「断言力」「発問力」「短答力」「命名力」「比喩力」「旗印力」の7つの能力に分析し、どんな人でもすぐ、「人の心をグッとつかむ一言」が言えるようになるノウハウを伝授します。
 1番目は「要約力」です。

* * *

結論はなんだ? 結論は?

「一言力」に必要な能力の1番目は、「要約力」です。
「要約力」とは、多くの情報の中から「重要な部分を簡潔にまとめて伝える力」のことをいいます。
 要約できなければ、一言で言える道理はありません。
「一言力」に、まず「要約力」が必要なのは自然の理です。

 イギリスのチャーチル元首相やアメリカのレーガン元大統領は、すべての案件を紙1枚に要約させました。
 ソフトバンクの孫正義会長の口癖は「結論はなんだ? 結論は?」だといいます。
 部下が用件を話す時、最初の10秒で心をつかめなければ、「もういい」の一言で、話も聞いてもらえません。
 アップルのスティーブ・ジョブズも、部下が複数のアイデアを出すと「ひとつに絞って持ってこい」「もっとシンプルにしろ」と怒鳴ったといいます。

 孫正義やスティーブ・ジョブズが特別なわけではありません。敏腕経営者や世の中に影響力のあるリーダーは忙しいので、気が短くすぐに結論を求める人が多いのです。
 忙しいトップは、細かなディテールを聞いたり読んだりする暇はありません。
 また、説明を受ける側(ジャッジをする側)の方がその案件について詳しいことが多い
ので、知っていることをグダグダ話されてもイライラするだけです。
 そのような相手の心をつかもうとしたら、まず結論ファーストの要約が不可欠です。

 要約には「具体的要約」と「抽象的要約」の2段階がありますが、最初の「具体的要約力」の訓練、情報を書き言葉で要約して示す時にぴったりの教材がネットにあります。
 それがヤフートピックスです。

 

ニュースを13 字に圧縮

 Yahoo! ニュース(ヤフーニュース)は、Yahoo! JAPAN が運営する日本最大級のニュースサイトです。なかでも13字(厳密には半角文字も入れ13.5字)×8本のニュース見出しを中心とした「ヤフートピックス」は、絶大な影響力があります。
 ヤフートピックスは、他のニュースサイトとは根本的に違う考え方でタイトルがつけられています。
 他のニュースサイトのタイトルは、いろいろなコピーライティングのテクニックを駆使して何とか自社のサイトに誘導しようとしています。それに比べヤフートピックスは「要約」に徹しているのです。

 例えばこの原稿を書いている時のヤフートピックスの見出しを拾ってみましょう。
 以下の8本でした。

  小池・増田氏が競る 読売調査
  中国大洪水 ダム放流の疑念も
  社名変更へ スバルの危機感
  ポケGO 道具似の公園に殺到
  警戒の3大夏風邪 特徴と対処
  村田諒太 1回TKOで
  11連勝五輪卓球 初のビジネスクラス
  尾崎豊さん息子 父への思い

 いずれもこの見出しだけでも、興味がそそられますね。
 特に修辞的なテクニックを使っているわけではないのに、情報を最小限に圧縮して要約しているため力が生まれています。
 例えば「社名変更へ スバルの危機感」というタイトルは、もともと東洋経済オンラインに掲載された「『スバル』はなぜ富士重工の名を捨てるのか 吉永社長が語る『目指すものの深さ』とは」という、スバルの社長へのインタビュー記事に改めてタイトルをつけたものです。

「富士重工の名を捨てるのか」という疑問形を使っている部分を、ヤフートピックスでは「社名変更」という一語で表現し、インタビュー全体を「危機感」という単語で要約しているのがわかります。
 このように情報をできる限り圧縮していくことで、13字を実現させているのです。

圧縮することで力を生み出す

 なぜヤフートピックスは、13字なのでしょう?
 人間が一度に知覚できる文字数は限られています。
 京都大学大学院下田宏教授の研究によると、目を動かさずに一度に知覚できる範囲は9〜13字とのことです。これは縦書きでも横書きでもさほど差はありません。
 テレビで使われるテロップなども、おおよそ15字以内と決められています。この文字数
を超えると、意味をつかみ取る努力が必要になってくるからです。
 ヤフートピックスも何文字が最適なのかは試行錯誤して決まりました。
『ヤフー・トピックスの作り方』(奥村倫弘著 光文社新書)によると、文字数は当初11字から始まりましたが、2001年のレイアウト変更から13字半に落ち着き、現在に至っているとのことです。

 また見出しは以下の3つの方針でつくられています。

  ①ニュースの価値を一言で表現する
  ②事実を間違いなくコンパクトに伝える
  ③余計な修飾はしない

 13字以内にするには、伝えるべき重要な要素に圧縮していく必要があります。
 13字にする過程で余計な情報がそぎ落とされるので、何が重要なのかが明確になるのです。自然と「①ニュースの価値を一言で表現する」ことになります。
 また、「②事実を間違いなくコンパクトに伝える」「③余計な修飾はしない」という方針があるため、ヤフートピックスは、他のニュースサイトのタイトルと違い、釣るためのキャッチコピーのテクニックをあまり使いません。要約に徹して、できる限り誤解を与えないよう、わかりやすく簡潔にしているのです。
 文字数が多いと、ついつい余計な修飾語やコピーライティングのテクニックを入れたくなるのですが、13字と制限されているため要約に徹さざるを得なくなります。
 要約が苦手な人にとっては、ここまで情報は圧縮することができるのか、ということを
学べる最高の教材です。

 

会話は15 秒で要約せよ

 話し言葉においても要約の考え方は同じです。
 結論ファーストを心がけましょう。
 まず「用件」を要約して伝えることを心がけるのです。
 話し言葉では、多少冗長になるので13字というわけにはいきません。
 その際、15秒で用件を要約する習慣をつけましょう。
 15秒はテレビCMと同じ長さです(番組提供枠のCMは30秒です)。
 文字数にすると60字くらいはしゃべれます。
 15秒でも意外にしゃべれるのです。
 これくらいまでの言葉であれば、聞く方もストレスなく聞くことができます。

 会話では、相手が長くしゃべったとしたら、それを短く要約するようにしましょう。
ただ相手の言葉をそのまま使う要約だと単なるオウム返しになり、あまり理解力がある
と思ってもらえません。
「それってひょっとしたらこういうことですか?」と前置きして、自分の言葉に置き換え
て要約すると、より「わかっているな」と思ってもらえます。
 自分の得意な分野にたとえてみるのもいいでしょう。
 最初は、その要約が的外れになっていることもあるかもしれません。
 前述した書き言葉での要約の訓練をすることで、そのようなケースは減っていきます。

 相手の話をきちんと聞いて理解し覚えていないと、自分の言葉で要約できません。きちんと耳を傾けて、発言を理解してくれる人のことを悪く思う人は少ない。
 好意を持ってもらえる確率が高くなるのです。

 元陸上選手の為末大(ためすえだい)は、現在コメンテーターを始め幅広く活躍しています。
 彼は別分野の人とビジネスや学問等の話題について話す時、相手が話した内容を「それ
はスポーツ界だとこういうことで合ってますか?」と要約します。
すると、相手は「きちんと話を聞いて内容を理解してくれてるな」と、為末のことを評
価するのです。

 ただしビジネス以外のプライベートな会話で「それってこういうことだよね」と要約し
すぎると、不快に思われてしまうことがよくあります。
 特に女性は、夫やパートナーなど親しい男性に自分が話したことを要約されると、不愉
快に感じることが多いようです。
 またクレーマー等、怒っている相手の話を不用意に要約すると、火に油を注いでしまう
こともよくあります。
 どちらも気をつけましょう。

* * *

*次回は「断言力」について。12月16日(金)に公開予定です。

川上徹也『一言力』

上司への報告、部下への指示、クライアントへのプレゼン、新商品の売り出し、入学・入社面接、司会やスピーチ、飲み会・合コン…日常生活のあらゆる場面で役に立ち、一生の武器になるのが「一言力」すなわち「短く本質をえぐる言葉で表現する力」。本書ではコピーライターの経験から編み出された、一言力を身につけるメソッドをついに開陳。「要約力」「断言力」など一言力を構成する7つの能力からアプローチする実践的ノウハウで、誰でもすぐ当意即妙の一言が言えるようになる!ライバルには教えたくない一冊。

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人生は「一言力」で決まる!

 才能不要。センス不問。「ズバっと伝える技術」をお教えします。

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川上徹也

コピーライター。湘南ストーリーブランディング研究所代表。大阪大学人間科学部卒業後、大手広告代理店勤務を経て独立。様々なプロジェクトに関わる中で「一言力」に磨きをかける。企業の旗印になる「川上コピー」を得意とする。受賞歴多数。「物語の力で会社や商品を輝かせる」という手法を体系化し、「ストーリーブランディング」と名付けたことでも知られる。著書は『物を売るバカ』『1行バカ売れ』(共に角川新書)、『あの演説はなぜ人を動かしたのか』(PHP新書)など多数。

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