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『男尊女卑という病』刊行記念インタビュー

2015.10.04 公開 ポスト

女が不思議に思う
男の7つのナゼ?【前編】片田珠美(精神科医)

 

片田 まず、男女問わず、赤ちゃんにとって、母親の乳房は最初の愛の対象です。それをしゃぶることによって安心感も得られるし、栄養も得られて、生存することができる、必要不可欠なもの。そういう母の乳房の記憶がすごく強い。
 メラニー・クラインという精神分析家が言っていますが、母の乳房というのはおっぱいを出してくれるクリエイティビティがあって、その与える能力に対する「羨望(せんぼう)」を赤ちゃんが抱くのです。
 それもあって男性には乳房に対する執着が生まれる。でも成長したいい男が、そんなものいつまでもしゃぶっていられるわけないじゃないですか。本当はしゃぶっていたいかもしれないけど。

————そうですね(笑)

片田 だから男性にとって、母の乳房というのは永遠に「失われた対象」なんです。巨乳好きの男性が多いというのは不思議な話じゃない。

———巨乳な上に、童顔でかわいいグラビアアイドルが好きな男性もたくさんいますね。

片田 それは「支配欲求」と「マザコン」が重なっているんでしょう。童顔の子は自分の言うことを聞いてくれそうに見えるから、男性の支配欲求が満たされますね。かつ胸も大きかったら、男性の優越感と憧れが、同時に満たされる。そういう女性は男性にとって最高の対象ですね。


3 男はなぜ、下ネタが好きなのか
———美人とお乳好きという話の次にうかがいたいのは、下ネタ好きの男性についてです。オジさまに限った話かもしれませんが、若い女性に下ネタを振って、嫌がられたり、顔をしかめられることに快感を覚える不思議な人がいますよね。

片田 いますいます。

———本書には、その背景を説明する極端な例として、露出症の話が出てきます。いわゆる男性がもっている「それ」を見せて、女性の反応を見て、自分にモノがついていることを確かめて安心する。下ネタ話をする男性にも、それと通じるものがあると……。

片田 そうです。とくに中年になると男性機能が衰えてきます。EDという問題も出てくる。だからそれが機能するかどうか、男性にしてみればすごく不安なんです。その存在および機能を、常に確認していたい欲求がある。
 以前、某テレビ局のバンコク支店長が、自らの局部写真を、タイ外務省が開設した外国人ジャーナリスト向けの無料通話アプリのグループに、間違えて送信してしまったニュースがありましたよね。

———ありました。あれは、一体どうしちゃったんでしょう……。すごく真面目な男性だったようですが。

片田 東大を出て出世コースを歩んでいた男性だったようですけど、この送信ミスは、その男性の「無意識」が表れたと言えます。フロイトに言わせれば、抑圧されていた無意識が表出した錯誤行為ですね。ある種、自分の「それ」を誇示したいという欲望があったわけです。こういう欲望は、男性であれば、多かれ少なかれ、みんな持っていますよ。

———そうなんですか?

堂々たる御姿 出典: https://commons.wikimedia.org/wiki/
File:Jakob_Seisenegger_001.jpg

片田 たとえば、中世のヨーロッパでは、コッドピースという局部を保護するものが大流行したんです。初めは実用的な目的だったんだけど、だんだんつけること自体がかっこいいと、国王や貴族の間まで瞬く間に広まった。各国の政府が「これ見よがしにぶら下げてはならない」なんていうお触れまで出したそうですが、効き目がなかったようです。詰め物をして大きく見せる御仁が表れたり、素材も絹とか贅沢になって、中には刺繍しているのもあったりして(笑)

————過激になっていくわけですね。

片田 中野京子さんの『名画に見る男のファッション』(角川書店)という本の中で初めてこれを見たとき、やっぱり男性は、フロイトの言う「去勢恐怖」に突き動かされているんだなと実感しましたね。
「それ」を失うことの恐怖から、自分はあるんだぞ、ということを誇示する。それで女の子が恥ずかしがっている様子を見て、ある種の快楽や安心感を得るんです。

———それが下ネタを言うことと同じ構造をしている、と。

片田 そうです。ただ、そういう欲求を持っていても、世のほとんどの男性は、露出症のような行為には至りませんよね。本当は職場でも、オレはあるんだって見せたいけど、そんなことしたらセクハラどころか、公然わいせつ罪で、会社をクビになってしまいます。だから口で下ネタを言う。それに対して、女の子が「キャー」とか「やだ〜」とか言ってくれると嬉しいんです。

————そうだったんですか……。

片田 だから、おじさんが下ネタを言ってきたら、女性はフンって感じでバカにするような対応をしてはダメです。やっぱり、「キャー」って言ってあげないと(笑)。

————下ネタ攻撃が永遠に終わらないかもしれない。

片田 そうですね。顔を赤らめたりしてあげないと……。そこは精神分析でいう、いわゆる「現実原則」で対応するしかないですね。

———面倒くさいと思う女性も多いかもしれませんが、オジさまたちの話に乗ってあげることも、時には必要なんですね。

 

後編は「男はなぜ、釣った魚にエサをやらなくなるのか?」からスタートです。10月7日(水)公開予定です。

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片田珠美 精神科医

広島県生まれ。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学び、DEA(専門研究課程修了証書)取得。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて犯罪心理や心の病の構造を分析。精神分析的視点から、社会の根底に潜む構造的な問題も探究している。主な著書に、『他人を攻撃せずにはいられない人』(PHP新書)、『他人の意見を聞かない人』(角川新書)などがある。最新刊は『被害者のふりをせずにはいられない人』(青春新書)。

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