「今泉監督のドラマ、観てます?」
今日、編集者との打ち合わせで、こちらが資料をまとめているときに、そっと聞かれた。いま打ち合わせ中にする雑談で多いのは、高市さんのこと、エプスタインの事件のこと、今泉監督のドラマ、だ。そしてどの話も、先方がどっちの立場から、なにを言いたいのか若干様子を伺わないとヤバいことになる案件だ。
「ああ、はいはい。で、どうですか?」と質問に質問で返すという面接なら落ちるであろう返答をする。「いや、私、ああいうの好きで!」という場合と、「マジで許せないんですよ、ああいうの」という場合が本当にきれいに半々という感じだ。
人生で一度、脚本を書いたことがある。それは、WOWOWドラマ『杉咲花の撮休』というドラマだった。第二話を今泉監督が撮ることになり、「脚本書かない?」という話になった。
ここだけの話、『脚本入門』みたいな本を買ってきて書いた。本当にここだけの話だ。
そういえば『週刊SPA!』で『すべて忘れてしまうから』を連載するときも、『エッセイ入門』みたいな本を買って、読みながら手探りで書いた。ここだけの話にしてほしい。
小説に関していえばもっと酷くて、『これはただの夏』を書いているときに、『小説入門』みたいな本を買って、勉強しながら書いた。最初は手探りのままだった。ここだけの話だとしても酷すぎる話だ。
そんな(どんな)縁のある今泉監督の作品なので、もちろん最初から観ている。『冬のなんかさ、春のなんかね』。
「あれ観てます?」という話にほぼ必ずなるくらいの作品を作れているだけで、素晴らしいと思う。ほとんどの場合、誰の目にも触れず、誰の心にも残らない。感想なんてほとんど誰も言ってくれない。あーだこーだ、とみんながなにか言いたくなるなんて、作品としてはもう最上級だ。
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ヘルニアになった。整骨院で温熱治療をしてもらった。座れないくらいに痛い。寝るとこれまた痛い。立って歩いているときが一番ラクだ。
腰が痛くない、というだけで人はかなり幸せなんだと思う。
腰が痛くないから、X で暴言吐いたり、ぷりぷり怒ったりしているんだと思う。腰が痛いと、他人の失敗に怒る元気が湧かない。ああ、そうですか、としか思わない。腰が痛いと食欲も湧かない。性欲なんてもってのほかだ。そんなもの贅沢品だ。
渋谷のバス乗り場の近くには、ホームレスの方々が結構たくさんいる。寒空の下、たくさんの荷物に囲まれながら、涅槃のポーズの人、あぐらをかいて缶コーヒーを飲んでいる人、毛布にくるまって爆睡している人もいた。さっきいた。正直、昨日横になることすら腰が痛くてやっとだった身としては、みんな腰は丈夫なんだなあ、と感心してしまった。
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これから打ち合わせがもうひとつある。腰が痛くて座るのも大変で、と連絡を入れたら「それは大変! 立ってやりましょう!」と前向きな返答があった。なるほど。ラクな仕事などこの世にはないのだ。
あなたとわたしの生存確認日記

今日も無事でしたか? 燃え殻さんが毎日配信するレター「底なし日記」より、週に一度一日分を転載します。
(アイコンイラスト:大橋裕之)










