ここ最近「三次元の推し」という意識が二次元に閉じ込められてる奴しか使わない表現で、最近推しはじめた実在アイドルグループの話をしてきたが「三次元」を実在ではなく「立体」と定義するなら、もう一人新しい推しがいる。
それが「パペットスンスン」だ。

パペットスンスンとは、パペットのスンスンである。この世界のパペットは種族名らしく「中の手」などいないし、うしろに黒子がいるわけではない、独立した生命体のようだ。
現在、朝の情報番組内でアニメをやっており、そこから一気に有名になったようだが、かなり前から存在はしていたらしい。
私がスンスンをどこで知ったかは忘れたが、どうせXだろう。私のXおすすめ欄にはいよいよ有害物質しか流れず、ケフカが毒を流した後のドマみたいになっているが、たまにこういう新情報が流れてくるからやめられない。
スンスンを見た時、何のキャラかはわからないがいいキャラだと思った、そして「描かなければ」とも思った。
そういえば、イイと思ったキャラを「とりあえず描く」という行動から長らく遠ざかっていた気がする。
創作をしない人から見れば「とりあえず口に入れる」レベルの不可解な行動なのかもしれないが、絵を描く人間はとりあえず推しを描くし、描けるようになっておきたいのだ。
しかし「描けるようにならなかった」という失敗体験を積み重ねすぎたせいか、推しは自分で描くものではなく、pixivで上手い人が描いているのを眺めるものだ、という負けおドッグ様根性が染みついてしまっていたのだ。
スンスンの造形は一見単純である、色も三色ぐらいしか使われていない、これなら簡単に描けるのではと、いつも通りの手癖で描いてみたらこれが驚くほど似ず「スンスン」と文字で説明しなければ何かわからない生物になってしまった。
私は下手な絵を描いて周囲を困惑させるたびに「別にふざけて困らせたわけじゃない」と壁際で寝返りをうち続けベッドから転げ落ちるほど、わざと下手に描いたことはない。
真面目に描いて下手だからこそ余計絶望して、自分で推しを描くのはやめようと思ってしまうのだ。
しかし、真剣に描いてはいるが、上手く描けるようになろうという向上心を持って描いていないのも事実である。
「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」
夏目漱石の「こころ」に出てくる名言である。
これはこころの主人公がかつて友人の「K」に言われた言葉であり、その後主人公は精神的にまいっているKに同じ言葉をそっくりそのまま返した上「大事なことだから二度言う」を世界最速で行った結果、Kは死んだ。
そういえば私も「K」であり、この流れだと向上心のない馬鹿として自決しなければいけない空気になってきているが、私はこころの「K」ほど生真面目ではないので、スンスンの練習をすることにした。
しばらく手癖で描いていたが、これではいつまでたっても上手くならないと理解し、本物を見ながら描くことにした。
そういえば昔は、推しを描く時、素直に「模写」から始めていたような気がする。
それが下手に絵を描きなれてしまったせいで「手本通りに描く」という工程をすっとばし、最初から自分の絵で描こうとしてしまっていた。
模写なら上手く描けるのは当たり前と思っていたが、スンスンの模写は難しい、まずスンスンは立体なので、それを平面で描くこと自体難しいし、単純な造形だからこそ1ミリずれれば別スンになってしまう。
そんなわけで1週間近く毎日スンスンを描き続けていた結果、上手く描けるようになったとは言い難いが、文字で「スンスン」と描かなくてもスンスンに見えるレベルにはなった。
描いても描いても上手くならないと思っていたが、スンスンのおかげでちゃんと描けば上手くなるという達成感を得ることができた。
ちなみに、スンスンの動画はYouTubeでも見られるのだが、そのコメント欄には「今メンタルをいわして休職中だがスンスンのおかげで元気が出た」等、人生の負傷者たちからの感謝のコメントが散見される。
どうやらスンスンは絶望し疲れた果てた大人に効くらしい、私の琴線に触れたのも何となく納得だ、スンスンは医療であり福祉なのだ。
描くだけでは申し訳ないので、他にもスン活をしようと、先日コラボをしている回転すし屋にも行った。
コラボメニューを頼むと、ステッカーなどのグッズを貰うことができる。
ただ私は、大事にできないのでグッズは集めない派なため、グッズがどうしても欲しいというわけではない。
しかし、コラボメニューを全品頼む疲れ果てた中年が現れることで「スンスンは『こういう層』にも人気がある」とアピールすることができる。
スンスン寿司コラボは第二弾もあるようなので、再びキッズメニュー含む全品頼んで存在感を示していきたいと思う。
カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~

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