さて、この連載も今回で最終回となります。
最後に保有株の売り方についてご説明します。まず大切なことは、お気に入りの推し株を簡単には売らないことです。じっくりと保有し続けて、企業の成長分を投資リターンとして得るためにはどうしても時間がかかります。その間にはいろんな不安なことや世界的な事件も発生することでしょう。21世紀に入ってからでも、アメリカ同時多発テロ、リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍、ロシア・ウクライナ戦争など、大きな事件や天災が株式市場を何度も襲いました。
しかし、結論から言うと、そのような大暴落局面においてさえも、その企業の長期的な成長が崩れない限り、下手に売ってしまわない方がうまく行きました。もし、そのような大事件や天災が発生してしまったら、忽ちのうちに株価は大暴落となります。その暴落の直後に、恐れおののいたあなたが、慌てて保有株を売り払ったとしても、もはや、手遅れとなってしまいます。その後、状況が理解されるにつれて、株価は上昇に転じ、結果的には「少なくとも、あのタイミングでは売るべきではなかった」となるのです。
一方で、保有株の長期的な成長が崩れた時、これは株を売る理由となります。今までお気に入りだった推し株企業の商品がなんとなくダサい感じになり、次第に客足が遠のくとか、別な企業からもっとずっと良い商品が現れて、自分でも「そっちの方が良いな」と感じるとか。あるいは「いつも使っていたサイトなんだけど、AIに聞いた方が早いし、最近使わなくなったなあ」等など、推し株が推せない状況になったと気づいたら、さっさと保有株を売却した方が良いでしょう。きっと、他を探せば、また別な推し株を見つけられるはずです。「何か変だ。おかしい」と思っているのに、いつまでも持ち続けていると、ある日、業績悪化のニュースが流れ、株価は大暴落します。こっちの暴落は天災や事件と違って、元に戻ってきません。企業が抜本的な立て直しをして、再びあなたのお気に入りにならない限り、ズルズルと下がり続けることでしょう。
成長株の成長ストーリーが崩れた時、つまり、推し株が推せなくなった時が売りだと覚えておくと良いでしょう。
次に売るべき理由は、株価があまりに高くなりすぎた場合です。通常、成長株のPERは15~25倍くらいの範囲で収まっているケースが多いと思います(たまに7~10倍で低迷している成長株も存在するが、そういうのこそ狙い目だ)。この値があなた以外の方々からも推しに推されて人気化し、30倍を大きく超えて、50倍とか100倍とかという数字をつけるところまで値上がりし続けたようなら、一度、冷静になることをお勧めします。SNSやネット掲示板では、まだまだ騰がるような論調が多いかもしれませんが、それこそが罠です。そこまでの割高な株価に対して、そこからさらに成長して株主に応えられる企業は極めて稀であり、自分たちが保有株を高値で売りたいがためにネット上で良いことを書き並べているに過ぎないのです。
もう一つ、売るべき理由があります。それは今持っている株よりももっとずっと良い株を見つけてしまった時です。お金に余裕があるなら、その株も買えば済むことなのですが、もう新たに株を買う余裕資金はない中で、もっと良い株を見つけてしまった場合は、悩みどころとなるでしょう。この場合はちょっと工夫が必要です。あなたが既に持ち続けている推し株については、なんだかんだ言っても、あなたは相当詳しくなっているはずです。一度株を持ってしまうと、ニュースリリースや新商品情報も確認するようになるし、愛着もあるでしょう。
一方で、新たに見つけた有望株については、おそらく保有し続けている推し株程は詳しくないはずです。ですから、今持っているのと同程度か、ちょっとくらいマシな程度であるなら、新しい方の株は見送りで良いでしょう。けれども、明らかに新しく見つけた方が良い。将来の成長可能性がずっと高い、ということなら、乗り換えるべきです。
これは、アイドルだろうが、アニメのキャラだろうが、推し活では起こりうることですよね。今保有している銘柄が3銘柄であれば、その中から一番、期待できない銘柄を売って、その新しい銘柄を買うと良いでしょう。もし、その3銘柄は500株ずつ持っている、というなら、3銘柄とも100株ずつ売って、その資金で新しい銘柄を買うというのももちろんありです。もっと言うと、とりあえず、その中の1銘柄だけ100株売って、その資金で新しい銘柄を100株だけ買っておくというのは、なかなか味のあるやり方です。そして「その株をずっと保有して推していきたい」と心が定まったなら、次第に保有株を売って、そっちに資金を移していくと良いでしょう。
エナフンさんの推し活株式投資

あなたが常連になっているものは、なんですか。
好きなものにお金を落としているだけではもったいない!?著者・奥山月仁氏が億の資産を築いた背景には、身の回りのモノやサービスに対する“推し活精神”があった!いま話題の会社員投資家が“推し活投資”の秘訣を紹介します。










