「心の持ち方ひとつで、人生は大きく変わる」――。インドのヨガ・禅の思想などを融合して築き上げた哲学を実践し、大谷翔平選手や松下幸之助など、数々の成功者を導いた、思想家・中村天風。天風哲学は、呼吸・姿勢・言葉を通して、逆境に打ち克つ力を育てていきます。
天風会の理事も務めた最後の愛弟子が、珠玉の教えをマンガとともにやさしく解説した『マンガ 人生がプラスに変わる 中村天風のことば』。本書から、一部を再編集してご紹介します。
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働かされるのではなく、働く
「人生の目的」を考察する基本として、天風先生は「人生はどこまでも、生かされる人生ではなく、自らの意思で生きる人生でなければならない」と説いています。
生きるために働くのだ、ということは我々現代人にとっての、現実的で永遠の課題です。各人が、深く想いを巡らすことが肝要です。
生きるために働くと考える人は、何となく人生の日々を過ごしているという感覚にとらわれることが多く、その働きに対する報酬に満足感をもつことができません。
働きの結果が、自分の思うような報酬として得られないと、直ちに不平や不満を口にし、時には自暴自棄にさえ陥ることが多いのです。また、そこまでならないとしても、生きる楽しさを感じることがない力弱い人生を生きるしかなくなってしまいます。
働くという「価値」と、生きているという「事実」に対する心意気に考えを巡らすことが大切なのです。さらに、働くということは自らの理想を実現するための行為でもあり、その理想が存在するためには信念が必要となるのです。
働くためには、信念がついてこないと、理想の完成へと邁進する心意気が萎えてしまうのです。
理想はどんな環境にあっても、人間が働くために必要なものなのです。したがって、理想は立派な自己をつくりあげる哲学でもあるのです。ここで考えるべきことは、理想なく生きている人が意外と多いという事実です。
理想に生きているように、自分では思っていても、ああなったらいいな、こうならいいなというような単なる考え方で、理想ではとうていなく、幼稚な人間の欲望でしかないのです。理想には、そこに精神性がなければなりません。
最近話題の「AIやIT」に関わる産業にも、こうした考えが大切なのです。便利ならいい、儲かるならいいという考え方では、AIもやがて墓穴を掘るでしょう。「精神なきコンテンツ産業は犯罪である」とさえ、私は考えています。

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大谷翔平選手も学んだ、「どんな逆境にも打ち克てる心の持ち方」を身につけたい方は、幻冬舎新書『マンガ 人生がプラスに変わる 中村天風のことば』をお読みください。
マンガ 人生がプラスに変わる 中村天風のことば

思想家・中村天風は、「心持ちひとつで、人はどんな逆境にも打ち克てる」と説き、インドでの修行で得た悟りや禅の思想などを融合させて“天風哲学”を築き上げた。その教えは、呼吸法で精神を鍛え、正しい姿勢で気を整え、前向きで強い言葉による暗示で潜在能力を引き出す実践的なもので、運命すらも切り拓けるようになる。本書では、天風会の理事も務めた最後の愛弟子が、師、天風のことばを40個厳選し、マンガとともにやさしく解説。松下幸之助や稲盛和夫らを成功に導き、大谷翔平も学んだ最強の成功哲学が、自然と身につく一冊。











