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80歳、私らしいシンプルライフ

2025.12.07 公開 ポスト

80歳、元『装苑』編集長の心温まる家時間。長い冬は薪ストーブの前で小物作りがはかどります德田民子

定年退職後に長野県安曇野市に移住した、元『装苑』編集長の德田民子さん。初のエッセイ『80歳、私らしいシンプルライフ』では、四季のはっきりした安曇野での暮らしやおしゃれの工夫、毎日をごきげんに過ごす秘訣など、80歳を迎えた德田さんの心豊かな日々をご紹介しています。本書より、一部をお届けします。

*   *   *

冬ごもりは、薪ストーブの前が特等席。炎を眺めながら小物を手作りするのが至福の時間なんです

安曇野の冬はとても寒いんですよ。そして、この寒さが翌年4月頃まで続く年もあるくらい、冬はとてもとても長いです。

ここへ引っ越してきたのが、まさに冬が本格的に始まる11月でした。寒さは想像していたものの、実際に暮らし始めてみたら、それ以上に寒さが厳しかったことにとても面くらいました。今でこそ対策を万全にして慣れてきましたが、当初は夜、寒くて眠れず、ダウンを着て寝たりしてました。

冬の日の朝は、燃料の薪を夫か私、早起きしたほうがストーブまで運び、焚き付けから火をつけ、薪をくべることから始まります。もちろんほかにも石油ストーブなども使っていますが、メインはこちらです。我が家はシンプルな構造で、リビングもダイニングもキッチンも、時に裁縫などをするアトリエも、そしてパソコン作業をするワークスペースもすべて一間でまかなっています。この薪ストーブは家のなかの中心で、深くやわらかく包み込むようにポカポカと室内を温めてくれます。

「薪をくべる! なんて手のかかることを毎日やらなくちゃいけないの!」って思われる方もいるかもしれません。いやいや、薪ストーブは手間がかかるからこそ面白い。その楽しさが本当にくせになるんですよ。それに薪が燃えていく様子、炎を見ているだけでもまったく飽きることはありません。これぞ、自然に囲まれたなかで暮らす醍醐味なんじゃないかしら。炎を2時間くらい眺め続けていたこともあるくらいですよ(笑)。話は少しそれましたが、そんな薪ストーブの焚き付けから冬の一日は始まります。

私にとって、この薪ストーブの前で冬の家仕事、小物などの手作りをする時間が、とにかく至福のときです。暮らしのなかであれが足りない、こんなものを作っておくといいな、というものを仕込む、“備え”のとき。ゆったりとした時間が流れ、とにかく作業に気持ちよく集中できるんです。

もちろん今ならスマホやタブレットなどでネットショッピングもできますし、ここ安曇野でも10分くらい車を走らせれば、大きなショッピングモールなどがあり、いろいろなものがすぐに手に入る便利な時代。でも、私たちには時間はたっぷりありますし、幸い裁縫や編み物などは得意なほうで、クリエイティブなことが大好き。アイデアと工夫で、自分の好みのものをあれこれ思案して、せっせと作り置きしています。

それに、何より買い物が好きな私たち夫婦。家にいればお店で余分なものに目がいったりしませんから、無駄使いの予防にもなっちゃいます。

薪ストーブの前で手作りするのが冬のお楽しみ。この日は、かぎ針編みでトートバッグを作ります。

 

関連書籍

徳田民子『80歳、私らしいシンプルライフ』

東京から安曇野に移住して16年。元『装苑』編集長、初のエッセイ 第2の人生を自分らしく楽しむ、シンプルで心地よい暮らしとおしゃれの工夫 60代で長野県安曇野市に移住し、第2の人生をスタートさせた元『装苑』編集長、徳田民子さん。移住のきっかけは、夫婦で訪れたドライブで眼前に広がる美しい北アルプスの風景だった。たくさんのものを手放し、暮らしをリセットする中で気づいたのは“シンプルって、心地いい”ということ。 移住から16年。四季のはっきりした安曇野での暮らしやおしゃれの工夫、毎日をごきげんに過ごす秘訣など、80歳を迎えた徳田さんの心豊かな日々をご紹介します。

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德田民子

1945年生まれ。文化服装学院デザイン科卒業。文化出版局で『装苑』『ミセスのスタイルブック』などファッション誌の編集長を務める。退職後、広告関係のディレクターをしていた夫とともに長野県安曇野市に移住。自然豊かな環境でシンプルながらも洗練された暮らしや、ベーシックなアイテムを自分らしく着こなすおしゃれに注目が集まる。現在はフリーのファッションコーディネーターとして、雑誌の監修やイベントの登壇など、マイペースに活躍を続けている。著書に『別冊天然生活 德田民子さんのおしゃれと暮らし』(扶桑社)など。

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