みなさん、こんにちは。
暮らしの専門家、積水ハウス フェローの河﨑由美子です。
今回、積水ハウスでは、衣類に関する家事――「洗濯」「干す」「お手入れ」「たたむ」「しまう」といった一連の流れや、衣類収納について調査を行いました。
調査の中で「衣類をたたむ・しまう」という工程が、予想以上に多くの人にとって大きな負担となっていることが明らかになりました。
特に共働き世帯や子育て中のご家庭では、時間的・精神的な余裕が限られている中で、洗濯物をたたんで収納する作業が後回しになりがちのようです。
こうした家事の負担を少しでも軽減し、日々の暮らしをより快適にするためのヒントを、今回の調査結果をもとにご紹介していきます。
フルタイム共働きファミリーは半数が衣家事※に不満
(※衣類に関わる「洗濯」「干す」「お手入れ」「たたむ」「しまう」といった一連の家事)
調査によると、フルタイム共働き世帯では「平日・休日ともに毎日忙しくて一息つく暇がない」と感じている人が一定数以上いることがわかりました。中でも子育てをしている家庭では、その割合は約3分の1です。特に、末子が未就学児である世帯では、約4割とさらに高くなる傾向が見られました。

同じくフルタイムで共働きのご家庭に、衣類に関する家事のうち「たたむ・しまう」の満足度について聞いたところ「たたむ」家事に満足していると回答した人は約6割にとどまり、約4割が満足していないと回答しました。
さらに「しまう」家事については、半数近くが満足しておらず、収納に関する負担感の大きさが際立つ結果となりました。

「ハンガー収納」は多くの人が取り入れたいと考えている家事アイデア
フルタイムで共働きの世帯の約半数が、しわが気になる衣類はできるだけハンガーにかけたまま収納する「ハンガー収納」を活用していることもわかりました。
また、まだ取り入れていない世帯でも、「自宅で実施してみたいと思う」「家を建てる前に知っていたら、収納計画に取り入れたと思う」といった声もあり、ハンガー収納に対する関心や魅力を感じている人が多いことが明らかになりました。

収納スペースの所有状況について聞いたところ、7割以上の世帯がウォークインクローゼットを所有していました。
また、家事室や干す場所の近くに大型収納スペースを設けることについては、すでに設置している世帯は約2割にとどまりましたが、「自宅で実施してみたいと思う」「家を建てる前に知っていたら、収納計画に取り入れたと思う」と回答した人が6割以上にのぼり、こうした家事の効率化を助ける収納スペースへの関心の高さがうかがえます。

調査の結果、共働き・子育て世帯では、毎日の衣家事をラクにする仕組みが、住まい選びにおいて重要なポイントにもなることがわかりました。特に、洗濯から収納までの動線や、時短につながる設備への関心が高く、家事負担を軽減できる間取りや機能が、快適な暮らしを実現するために必要な要素と言えるようです。
ここでは、ハンガー収納や大型収納スペースなど、単なる収納の確保にとどまらず、衣家事の時短や効率化を実現する工夫をご紹介します。

洗濯をもっとラクに! 動線と収納の見直しポイント
毎日、重い洗濯物を運ぶのは大きな負担となるため、洗濯機置き場は洗面所に限定せず、干す場所との動線や距離を優先して考えるのが望ましいでしょう。庭やベランダの近く、あるいはキッチンの近くに設置すれば、料理や片付けと並行して洗濯作業を行うことも可能です。
また、室内干しスペースには、カゴやボックス、引き出しなどを設けて、洗濯物を種類ごとに分けて収納する方法もおすすめです。たたまずにそのまま分類収納することで、家事の効率化につながります。
たとえば、タオル類の収納には、「放り込み収納」が非常に便利です。大きなボックスの中に仕切りや小分けケースをとり入れれば、洗濯後のタオルをそのままポンと放り込むだけで、簡単に整理できます。また、家族の間で、完璧に畳まなくてもOKというルールを共有すれば、心理的な負担も軽減できます。
さらに、しわが気になる衣類についてはハンガーにかけたまま収納することで、アイロンの手間も省けます。

自分に合った収納スタイルを見つけるために
洋服の収納に関しては、男女で考え方に違いがあることも少なくありません。
男性にとっては少し驚きかもしれませんが、「夫と衣類の収納スペースを分けたい」と考える女性は意外と多いようです。
そのため、ご夫婦でクロークを使い分けるのも一つの方法です。ちなみに、ハンガーパイプは1メートルあたり約15着の衣類が収納可能とされており、夫婦2人分であれば5~7メートル程度の⻑さが⽬安になります。
収納スペースは、自分が持っている洋服の量や種類に合わせて、ハンガーパイプの⻑さや棚の構成を計画することが大切です。
また、クロークの形式には以下のような種類があります。
- ハンガーパイプタイプ
→ コートやジャケットなどを掛けて収納するタイプ。衣類のシワを防ぎ、見やすい。 - 引き出しタイプ
→ 小物や折りたたみ衣類を収納するタイプ。分類しやすく、ホコリを防ぐ。 - 棚タイプ
→ バッグや帽子、たたんだ衣類を置くタイプ。出し入れが簡単で、収納量を調整しやすい。
どの形式が適しているかは、衣類の種類やご自身の性格・生活スタイルに合わせて選ぶのが良いでしょう。

ときには不要なものを手放す断捨離も大切ですが、そうはいっても思い出が詰まった服や「いつか使うかも」と思うアイテムは、なかなか手放せないものです。さらに、日本には四季があるため、季節ごとの衣類が必要となり、持ち物の量が自然と多くなる傾向があります。
そのため、そう簡単に物を減らすことはできません。だからこそ、無理なく続けられる収納方法を見つけることが大切なのです。
そこで、重要なのは、我が家にとっての適正量を見つけること。
適正量は、持ち主のライフスタイル、物に対する思い入れ、収納場所のサイズなどさまざまな要素から決まります。
収納は多いほどよいわけではなく、重要なのは「出し入れのしやすさ」です。
積水ハウスでは、使いやすく暮らしにフィットする収納計画を考えるために、3つの視点に着⽬しています。
- 量……持ち物の量に合わせた収納スペースを考える
- 場……どこに何を収納するかを暮らし方に沿って考える
- 形……物の特徴・大きさに合わせた収納スタイルを考える

この中で最も普段の暮らしやすさに影響があるのは「場」です。収納計画を考える際には、使う場所に収納のための空間を確保するようにしてください。なお、衣類の収納については、今の量だけでなく、5年後、10年後のご家族をイメージして、その変化に対応できる収納量を考えることが大切です。着るときにすっと服を選ぶことができる毎日の幸せを、ぜひ大事にしてみてくださいね。
数字から考える幸せわが家

幸せのかたちは、家族やライフスタイルの多様な変化に合わせて変わっていくもの。ほんの少しの知恵や工夫で、わが家がもっと好きになる。積水ハウスの住生活研究から“住めば住むほど幸せ住まい”研究に基づく、暮らしのヒントやエッセンスをご紹介していきます。研究データや意識調査、リアルな実例をもとに「ちょっとやってみようかな」と思ってもらえるコラムを更新しています。
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