いきものの解説が人気のYouTubeちゃんねる「へんないきものチャンネル」の“中の人”、ろうさんの新刊『知れば知るほどへんすぎるいきもの事典』から、興味深いいきものの豆知識をピックアップしてお届けする本企画。
今回は、「歴史」にまつわるいきもののお話。
なんと、いきものと人間が戦争をしたという記録が、オーストラリアに残っているんです!
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信じられないホントの話! 軍と鳥が戦った「エミュー戦争」
ここでは、ちょっとびっくりするような、生きものに関する歴史のお話をしてみたい。
オーストラリアの話なんだけど、昔「エミュー」という鳥の駆除に、なんと、軍が出動したという信じられない記録があるんだ。
これはのちに「エミュー戦争」と呼ばれることになる。
エミューは、オーストラリアのみに生息する大型の鳥。比較的温厚で臆病な性格だけど、すばしっこくて、足に鋭利な爪も持っているんだ。

開発が進んで畑が増えたオーストラリアでは、エミューが農作物を食い荒らす被害が増えて、農民は困り果てていた。
さらに1932年には大干ばつが発生し、エミューが集団で、一斉に農地に押し寄せてきた!
農民が応援を要請すると、大臣はそれを聞き、射撃訓練のちょうどいい的になるのではないかと考えた。
そして、オーストラリア陸軍砲兵隊から3名が、2丁のルイス軽機関銃を携えてやってきたんだ。
しかし、雨が降ったり、大きな銃声のせいでエミューたちが驚き、小さな群れに分かれて四方八方に逃げ出したりと、思うようにはいかなかった。待ち伏せ作戦も考えたものの、人間と違ってエミューは、危険を感じたら、こちらに向かってくることはない。
結局、野生の勘で周囲の異変、人間の存在を察知して、茂みの中を移動しながら遠くに行ってしまったんだ。
さて、軍が出動したとなると今度は話が大きくなり「鳥の駆除に軍を出動させるとは何事か」「国の象徴でもあるエミューを撃つなんて可哀想だ」という批判が相次いだ。
そして、大臣はそそくさと軍隊を撤収させることにしたんだそう。
人間が作り出した兵器は確かに強力だけど、自然というのは時にそれを上回る強さを見せる。
ただ、そんなエミューは現在、生息地が限られていることや害鳥として駆除されてきた影響で、少しずつ数を減らしているらしい……。
知れば知るほどへんすぎるいきもの事典

へんないきもののネタを50集めた児童書『知れば知るほどへんすぎるいきもの事典』の試し読み記事です。
たとえば……
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などなど……面白いいきものの生態がたくさん! 子どもと一緒に大人も楽しめます!











