いきものの解説が人気のYouTubeちゃんねる「へんないきものチャンネル」の“中の人”、ろうさんの新刊『知れば知るほどへんすぎるいきもの事典』から、興味深いいきものの豆知識をピックアップしてお届けする本企画。
今回は、「進化」にまつわるいきもののお話。
進化の過程で、まったく違った生きもの同士が、そっくりの見た目になっていくことがあるんです。
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あれ、見た目が似てきてる? 甲殻類は「カニ」を目指して進化してる⁉
生きものの世界では、全く繋がりのない違う種類の生きもの同士が、似たような能力を持つことがある。
例えば、哺乳類のモグラと昆虫のオケラは、進化的なつながりはないけれど、どちらも土の中に暮らす生きもので、2匹とも手に「シャベル」のような、効率的に土を掘るための前足を持っている。
他にも例を挙げてみよう。
イルカやクジラの仲間は、視界の悪い水中で超音波を発し、その反響で周囲にある物体との距離や大きさを測る「エコーロケーション(反響定位)」という能力を持っている。
実はこの能力、全く違う生きものである、コウモリも持っているんだ。
水中と夜の森、視界の悪い環境で長年暮らしてきた彼らは、目に頼るのではなく、「第三の目」としてエコーロケーションの能力を進化で獲得して生き残ってきたんだね。
生きものたちは、何万年もかけて、環境に適した能力を持った個体が生き残ることで進化をしている。
そして時には、別々の生きもの同士が偶然、似通った形状や機能を持つように進化をすることがあるんだ。
面白いよね! ちなみにこれを「収斂進化」というよ。
そして海の中ではなんと、色んな甲殻類が、どんどんカニのような見た目になっているとささやかれているんだ。
甲殻類がまるで、カニを目指して進化しているよう……。
この現象は「カニ化(カーシニゼーション)」と呼ばれている。

なぜ海のなかでは、甲殻類が“カニ化”しているのか? その理由は、専門家の間でもハッキリしていないんだとか。
でも、たとえばタラバガニはヤドカリらしい丸みのある体を捨てて、カニそっくりの四角く平べったい甲羅を身に着けるように進化しているとんだけど、これだけ見た目が変わったということは、もしかしたらカニこそ、海という環境の中で最適な姿なのかもしれないね。
知れば知るほどへんすぎるいきもの事典

へんないきもののネタを50集めた児童書『知れば知るほどへんすぎるいきもの事典』の試し読み記事です。
たとえば……
・牛66頭を襲ったヒグマは、実は、熊同士の闘いに負けていた〈OSO18〉
・プロボクサーより早いパンチを繰り出す海の生きもの〈モンハナシャコ〉
・噛まれたら10分で死んでしまう殺人グモ!? 〈シドニージョウゴグモ〉
・体が大きいのに泳ぐスピードも速い人食い魚〈ムベンガ〉
・世界で唯一、血液を食べものにする鳥〈フィンチ〉
・人間の貴重品をあえて狙う泥棒ザル〈カニクイザル〉
などなど……面白いいきものの生態がたくさん! 子どもと一緒に大人も楽しめます!











