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香港式 私をいたわる12ヶ月の漢方養生

2025.11.11 公開 ポスト

“温めすぎない”が正解!気血を優しく補う「立冬」の養生法ロン毛メガネ(国際中医専門員)

漢方の本場、香港出身の人気養生家でYouTubeチャンネル@rongemeganeで東洋医学の知識を発信しているロン毛メガネさん。新刊『香港式 私をいたわる12ヶ月の漢方養生』では、24節気ごとに取り入れたい食べ物、生活習慣、ツボ、マッサージなど、季節の変化に負けないセルフ養生を詳しく紹介しています。本書より、一部をお届けします。

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11月は、立冬小雪ですね。この時期を「初冬」または、「孟冬」と呼びます。

昔から香港ではこの初冬の時期に「補冬」をする習慣があります。「補冬」というのは、立冬に入った時期に体を温めて気血や体力を補う食材(肉類、魚類など)を食べることです。立冬に入ったら徐々に寒くなっていくので、今のうちに気血を蓄えて、寒さが厳しい冬を乗り越えましょうという意味です。

しかし、現代では、肉や魚は昔ほど高級食材ではなくなり、いつでも食べられるようになったことで、普段から過剰に食べている人も多いので、このような風習が徐々になくなってきましたね。

立冬の生活習慣と食事のヒント

立冬は秋から冬に切り替わる時期、冬の幕開けです! 昔の人はこの時期に「三候」があると考えていて、「一候水始冰、二候地始凍、三候雉入大水為蜃」と書かれています。

最初の5日間は一候と呼び、水が少しずつ凍ってくる。次の5日間は二候と呼び、土まで冷えてきて凍り始める。最後の5日間は三候と呼び、鳥たちは暖かい場所に移動するため、見えなくなるという意味です。

つまり、徐々に寒くなっていくよ、と捉えることができます。しかし、この時期は天気が不安定になりやすくて、急に暖かくなる日もあるので、「小陽春」と呼ばれることもあります。

そして、「立冬晴、一冬晴、立冬雨、一冬雨」という言葉もあり、立冬の日が晴れるならその年の冬は晴れる場合が多い、立冬の日が雨ならその冬は雨が降る場合が多いという説もありますね。みなさん、ぜひ観察してみてください!

生活習慣

日が暮れるのが徐々に早くなってくるので、この時期は就寝時間を調整したほうがいいですね。夏や秋より少し早めに寝て、少し遅めに起きてもいいです。しかし、遅めに起きるといっても、夏や秋より15~ 30 分遅くする程度です。

お昼まで寝るのはやめてくださいね! そして、夏の間に消耗していた陽気が体内に戻ってきているので、少なくなった陽気を養っていくことを意識したほうがいいですね。例えば、腰やおへそを出すような服装はせず、冷やさないようにすること、寝る時は足首やお腹、背中や肩周りまでしっかり布団を被ることが大切です。

特に背中は邪気が侵入しやすい場所なので、晴れの日には背中に日差しを5~15分ほど当てましょう!

食事

先ほどもお伝えしましたが、立冬の時期は「補冬」が大事です。普段から肉や魚を食べている人は、ことさら多く食べる必要はないですが、意識して欲しいのは、体を冷やす食材を減らすことです。

体内に戻ってきた陽気は夏の間に消耗され、少なくなっているので、この時に体を冷やすような食材をいっぱい食べてしまうと、陽気をさらに消耗してしまって、冷え性を悪化させたり、低体温、下痢気味、お腹が張るなどの不調を引き起こす可能性がありますよ。ただ、温めすぎると体が乾燥してしまって、火照り、炎症などにつながるので、温めすぎるのもあまりおすすめできません。

おすすめ食材は、鶏肉、牛肉、豚肉、魚類、栗、くるみ、豆類、山芋、カボチャ、じゃがいも、さつまいもなどですね!

これらの食材は気血を優しく補ってくれたり、五臓を養ってくれたりします。多くの瓜類や野菜類は体を冷やす力があると考えるので、調理する時に体を温める力がある生姜を入れたり、にんにくを入れたりしてバランスをとると理想的です。

特にさつまいもは、東洋医学では卵と並んで「優れた食材」とされています。「肥五臓」という効果があって、五臓を滋養し、虚弱になった体を支えてくれます。顔色が黄色く疲れやすい、手足が冷たい、寒暖差に敏感、乾燥による便秘などに効果的ですね。

この時期は朝ごはんとして、蒸したさつまいもにシナモンパウダーや生姜パウダーを振りかけて食べるのもおすすめです。胃腸を養う、気血を補う、体を潤す、便通を良くする効果もありますね。そのほか、冷えによる生理痛や、虚弱による生理不順などの婦人科の不調も緩和できます。

特に冬は気血を蓄える季節なので、さつまいもを食べて気血を蓄えて、春が来るのを待ちましょう。

ただし、胃腸が弱い人は食べすぎないように。ガスが発生して、お腹が張ってしまいます。気をつけましょう。

そして、誤解しないで欲しいのは、体を冷やす食べ物を食べてはいけないわけではないです。少し減らすように意識するということですね!

秋の乾燥にやられて、火照り気味、乾燥気味の人は、体を冷やす力があるものや潤すものを多少積極的に取り入れてもいいので、自分の体調に合わせて調節してくださいね。

 

関連書籍

ロン毛メガネ『香港式 私をいたわる12ヶ月の漢方養生』

漢方の本場、香港出身の人気養生家が教える 季節の変化に負けない!今日から始めるセルフ養生 目からウロコの知識が満載!1年中、元気を引き出す季節養生

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香港式 私をいたわる12ヶ月の漢方養生

香港出身の人気養生家、ロン毛メガネさんの新刊『香港式 私をいたわる12ヶ月の漢方養生』が9月29日に発売となりました。本書より、試し読み記事をお届けします。

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ロン毛メガネ 国際中医専門員

本名:許煒鏘。国際中医専門員、国際中医薬膳管理師、漢方養生指導士。漢方の本場である香港にて、東洋医学を生業とする家系で生まれ育つ。20代の時、無理なダイエットをきっかけに「生きているのが奇跡」と言われるほど体調を崩し、実家で療養。自身のルーツである東洋医学の力を改めて実感し、2019年からYouTubeを開始。「すべての人が自分のお医者さんに」をモットーに、季節の不調やメンタルヘルス、薬膳など漢方養生にまつわる知識を発信し、登録者数は13万人を超える。2022年に漢方養生ライフスタイルブランド「澄善堂」を立ち上げ、プロデューサーとして日常に取り入れやすい漢方養生商品を開発中。著書に『読むだけ心と体が元気になっちゃう漢方養生の本』(大和書房)や、『お茶でゆる~りセルフケア大全』(大和出版)など。 漢方養生指導士として、テレビ出演やセミナー講師など、活躍の幅を広げている。

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