いきものの解説が人気のYouTubeちゃんねる「へんないきものチャンネル」の“中の人”、ろうさんの新刊『知れば知るほどへんすぎるいきもの事典』から、興味深いいきものの豆知識をピックアップしてお届けする本企画。
今回は、人間のある行動が、「ワニ」の世界に思いもよらぬハプニングを生んだお話。
私たちが知らないところで、人間からの影響を受けているいきものも、たくさんいるのかもしれません。
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思いもよらぬハプニング! ヘリコプターの低空飛行で「ワニ」大興奮!?
自然の中で暮らす生きものたちにとっては、急にやってきた人間たちの行動というのは、時に大きなハプニングにもなりうるんじゃないかな。
さて今回は、そんな人間の行動によって起こった珍事件をご紹介。
オーストラリアにあるワニ園の上空でヘリコプターが低空飛行したところ、なんとワニたちが一斉に興奮して、繁殖活動を始めたんだ!

このワニ園では、世界最大級の爬虫類「イリエワニ」を3000匹も飼育しており、度々上空を「チヌーク」と呼ばれる大型輸送ヘリコプターが通過していた。
しかしその日は、パイロットがワニ園を近くから撮影しようと低空飛行することに。
バラバラバラというすごい音が鳴り、ひとしきり撮影を終えて飛び去った後……なんとワニたちが体を起こして空に吠え、凄まじい勢いで繁殖活動をはじめた。
ヘリコプターが近づいたことに興奮したのか、それともプロペラの音に興奮したのか、その理由は分かっていない。
でも、もしかしたらヘリコプターのプロペラが生み出す振動や騒音、気圧の変化や低周波を感じて「雷雨が近づいている」と勘違いしたのではないか、とある研究者は考えた。
実は、雷雨にはワニの繁殖を誘発する効果があると言われている。
ワニの皮膚は、気圧の変化などを細かく感じ取ることができて、大雨で孵化したばかりの子どもが流されないように、交尾のタイミングを見計らうというんだ。
また、ヘリコプターの出す音をオスのワニが縄張りを主張する鳴き声だと勘違いして、それで、ライバルにメスを取られまいと発情したのではないかという説もあったんだとか。
う~ん、謎は深まるばかりだけど……。もしもこの原因が判明したら、それをワニの保護活動に役立てることも、できるかもしれないね!
知れば知るほどへんすぎるいきもの事典

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たとえば……
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