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アウトドアブランド新入社員のソロキャンプ生活

2025.11.02 公開 ポスト

他人の目なんて気にしない人間になりたかった大石祐助

他人の目なんて気にしない強い人間になりたかった。

 

なのに私は、「え? 山梨に行ったのにほうとう食べてないの?」とか言ってくる、陽キャの攻撃に備えて義務的にほうとうをすする。北海道に行けばジンギスカンをほおばり、京都でおばんざいを食し、沖縄でゴーヤチャンプルをかきこむ。

 

名物という強迫観念におそわれて、旅先でいつも同じ失敗を繰り返すのだ。

やっぱり唐揚げ定食にしておけばよかった、と。

 

今回の旅先は新潟県の離島、粟島です。

人口約300人、自家用車の持ち込みができないほど小さな島。そんな秘境で人生初の島ソロキャンプをします。

 

粟島行きのフェリーに乗船すると、甲板でおじいとおばあがゴザを広げて酒盛りをしている。晴天のもと波風にあおられ、柿ピーとビールで一杯やるおじいとおばあの開放的な姿に、島旅が始まるんだという機運が高まっていく。

 

その傍の座席に、キャンプ道具を詰め込んだバックパックと肩を並べて腰をかける。

粟島に着くまでの一時間半、初めての離島でのキャンプに想いを馳せる。どんなキャンプ場なのだろうか、名物のわっぱ煮とはいかほどか、七月のこの猛暑ならビールがどれだけ染みるだろうか、と。

キャンプ道具を詰め込んだバックパックと一緒にフェリーで粟島へ。
(写真:iStock.com/{アーティスト名})

妄想をふくらませていると、ぼー、ぼー、と汽笛が鳴り、粟島港に到着。

港では旅館の人が旗を持って乗客をお出迎え。乗客のほとんどは「ようこそお越しくださいました」と、島民に歓迎され、宿の車へと吸い込まれていく。

私を歓待する者は何人たりともおりませぬ。でも、だいじょうぶ、だいじょうぶ、くじけません。私にはビアーが待っているし、名物のわっぱ煮も待っているのだから。

 

キャンプ場へ行く前に、その粟島名物であるわっぱ煮なるものを食べなくては。

港から歩いて数分のところに店をかまえる「食堂あわしま屋」へ。いかにもドローカルな佇まいに足が止まるが、意を決してのれんをくぐる。

ドローカル食堂あわしま屋。

店内はほぼ満席。奇跡的にひとつだけ空いていたテーブル席へ。

地元民しかいないようなローカルな食堂に入るのは、いつだって勇気がいる。なぜなら、どうやって注文するのか問題に直面するから。

 

案の定、注文の仕方が分からない。

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