逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ。
涙はこぼしてもいい。けれど目はそらすな。じぶんがきめるのだ。
今にもシンジくんがエヴァンゲリオンに乗り込みそうなほど、仕事により極限状態になった心と体を癒やすべく、富山県は宇奈月温泉にやってまいりました。
温泉をぞんぶんに楽しむために、昼過ぎには今回泊まる昔ながらの温泉旅館にチェックインをします。客室に荷物を置き、早足で大浴場へと向かう。
大浴場には大正時代の趣を感じる内湯と露天風呂がそれぞれひとつ。そして、四人入れば満員になる昔ながらのドライサウナがひとつ。
このドライサウナ、昨今の洗練されたサウナとは違うのが逆によろしい。なぜなら、サウナを目的とした宿泊客はおらず貸切なのですから。
ひとりきりのサウナ室で聞こえるのは、自分の息づかいと心の声。
ひーふーという呼吸と共に「お昼に駅前の食堂で食べたかき揚げ丼美味しかったな」「はて今晩のごはんはなんだろう」「まいど連休にひとり旅をして私の人生これでよかったのか」と、思考の種が浮かんでくる。汗と一緒に心と体の毒素がぬけきるまで、じっくりとあぐらをかく。
サウナ室を出て水風呂へ。もちろんこちらもひとり占め。
90秒間、どぶんと肩までつかる。その姿を見ていた小学生の兄弟が「みてみて、あんひと、あない冷たい水に長いこと入ってるううう」と、まるでバルタン星人に立ち向かうウルトラマンを見るかのような眼差しを向けてくる。
水風呂からあがり、そんな小学生兄弟の前で両手を腰にあて仁王立ち。じゅわっち。
二十も歳の離れた子どもにしか勝ち誇れるものがない大人なのです。どうか大目に見てください。へやぁっ。
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