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数字から考える幸せわが家

2025.10.13 公開 ポスト

「普段の掃除は10分未満が6割以上」定点調査からみる掃除のトレンド河﨑由美子(積水ハウス株式会社 フェロー R&D本部)

みなさん、こんにちは。暮らし提案の専門家、積水ハウス フェローの河﨑由美子です。

慌ただしい日々の中で、住まいをきれいに保つのは、なかなか大変なことですよね。

掃除が趣味という人はともかく、「できるだけラクに、でも清潔な空間で過ごしたい」と思っている人も多いのではないでしょうか。

 

今回ご紹介するのは、積水ハウスが継続的に実施している定点調査のデータから読み取れる、掃除に対する意識や行動の変化です。そこから見えてくるのは、現代の暮らし方そのものの変容です。掃除という日常的な行為を通して、私たちが住まいに求める価値や、生活の質に対する考え方がどのように変わってきたのか──その変化をひもといてみたいと思います。

掃除のタイミングが変化。計画的にする人が増加

掃除をする時間帯は、私たちの生活スタイルを映し出す鏡のようなものではないでしょうか。

積水ハウスの定点調査によると、10年前と比較して、リビング・ダイニング・キッチンの掃除を平日の「昼」に行う人が減り、「夜」に行う人が増えていることがわかりました。

一方で、休日に関しては「朝」に掃除をする人が増加しています。

興味深いのは、掃除のタイミングを「特に決めていない」と答えた人が減っている点です。

この傾向は、在宅勤務の普及や共働き世帯の増加といったライフスタイルの多様化に加え、タイムマネジメントや家事のルーティン化への意識の高まりが背景にあると考えられます。

掃除のような日常的な家事でも、「いつ・どのように行うか」を意識する人が増えてきているようです。

効率よく、計画的に進めたいという気持ちが強くなってきたことは、今の暮らし方や価値観の変化を表しているのかもしれませんね。

掃除スタイルの変化──こまめに、短時間で

普段の掃除の頻度については、10年前と比べて大きな変化はありませんが、リビング・ダイニング・キッチンでは「週2~3回掃除する」という人が少し増えています。一方で、掃除にかける時間には変化が見られます。10分以上かける人が減り、5分から10分未満で済ませる人が増えているのです。

つまり、短い時間でこまめに掃除をする「短時間・高頻度」型のスタイルが広がってきていると言えるでしょう。

こうした変化の背景には、掃除のタイミングをあらかじめ決めておくなど、家事を計画的に進める人が増えていることがあるのかもしれません。忙しい毎日の中でも、効率よく住まいを整えたいという意識が高まっていることがうかがえますね。

掃除道具と収納場所の変化から見える、暮らしの工夫

リビングやダイニングで使う掃除道具と、その収納場所について調査してみると、暮らしの中でのちょっとした変化が見えてきます。

まず、コード付き掃除機の使用が減り、コードレス掃除機を使う人が増えていることがわかりました。取り回しのしやすさや、すぐに使える手軽さが支持されているのかもしれません。

また、粘着カーペットクリーナーの使用が減っている傾向も見られます。これは、フローリングの家庭が増えていることと関係している可能性があります。さらに、雑巾の使用も減少しており、掃除の効率化を意識する人が増えていることが読み取れます。

さらに掃除機をLDKに収納する人が増えているのも興味深い変化です。掃除道具をすぐ手に取れる場所に置くことで、こまめな掃除がしやすくなり、日々を清潔に保つ工夫が感じられます。

こうした道具の選び方や収納の仕方にも、現代の暮らし方や価値観の変化が表れているのではないでしょうか。

自分の暮らしに合った掃除スタイル、見つけてみませんか?

掃除のタイミングや方法は、人それぞれ。

「こうしなければならない」という決まりはありません。だからこそ、自分の生活リズムや価値観に合った掃除スタイルを見つけることが、心地よい暮らしにつながります。

ここでは、掃除をもっとラクに、もっと自分らしく行うためのヒントをご紹介します。

時間帯に合わせて、家事の流れを見直す

朝の方が動きやすい人もいれば、夜の方が落ち着いて家事に取り組めるという人もいます。

生活のリズムに合わせて、掃除のタイミングを工夫することで、無理なく続けられるスタイルが見つかります。

たとえば、朝に少し余裕があるなら、軽い掃除をルーティンに取り入れてみるのもおすすめです。

逆に、夜の方が集中できるという方は、その時間にまとめて掃除をする方法が合っているかもしれません。

“なんとなく”から“計画的”へ

毎日の掃除、つい「気が向いたときにやる」というスタイルになっていませんか?

もちろん、それでも問題はありませんが、少しだけ意識を変えてみると、掃除がぐっとラクになり、気持ちもスッキリするかもしれません。

たとえば、「いつ・どこを・どのくらい掃除するか」をあらかじめ決めておくことで、迷わず行動できるようになります。

短い時間でも効率よく進められるようになり、掃除が負担ではなく、日常の中に自然に組み込まれた“習慣”へと変わっていきます。

忙しい毎日の中でも、無理なく清潔な空間を保つために。

まずは、自分に合った掃除のタイミングやスタイルを、少しだけ見直してみませんか?

スマート家電で、掃除の手間をぐっと軽く

掃除をすべて自分でこなすのは、忙しい現代の暮らしではなかなか大変なことです。

最近では、ロボット掃除機や自動モップなど、便利なスマート家電が続々と登場しています。こうしたアイテムをうまく取り入れることで、掃除にかかる時間や手間を大きく減らすことができます。

「掃除は自分でやるもの」という考え方から、「家電と一緒に効率よく進めるもの」へ。

暮らしに合った道具を選ぶことで、掃除の負担を減らしながら、快適な住まいを保つことができるのです。

忙しい毎日の中でも、無理なく、気持ちよく暮らせるように。

自分にぴったりの掃除スタイルを、ぜひ見つけてみてくださいね。

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数字から考える幸せわが家

幸せのかたちは、家族やライフスタイルの多様な変化に合わせて変わっていくもの。ほんの少しの知恵や工夫で、わが家がもっと好きになる。積水ハウスの住生活研究から“住めば住むほど幸せ住まい”研究に基づく、暮らしのヒントやエッセンスをご紹介していきます。研究データや意識調査、リアルな実例をもとに「ちょっとやってみようかな」と思ってもらえるコラムを更新しています。

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河﨑由美子 積水ハウス株式会社 フェロー R&D本部

海外で過ごした経験や子育て経験などを生かし、住めば住むほど幸せすまい、子どもための住まい環境、ペット、収納、食空間、家事のユニバーサルデザインなど、日々の生活に密着した分野の研究開発全般に携わる。一級建築士。

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