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エナフンさんの推し活株式投資

2025.10.04 公開 ポスト

AI技術は作るより使う方が儲かる! ユニクロ株が500倍になった理由会社員投資家・奥山月仁(エナフン)

今、変化と言えばAIでしょうか。

AIは様々な分野で人類ができなかったことを可能にし、生産性や利便性を飛躍的に高めています。反面、AI支配やAI暴走、あるいは、AIが社会格差をさらに広げることが懸念されています。

「AI支配やAI暴走はわかるけど、どういう理屈でAIが社会格差を広げるのですか」

 
(写真:iStock.com/Werckmeister)

良く言われるのは、AIにとって代わられる仕事をしている人と、AIと共存できる仕事をしている人の格差。例えば、従来型のホワイトカラーは次第にAIに仕事を奪われる反面、創造性や人間関係の調整、あるいはAIを活用・監督するような仕事はニーズが高まる、等と予想されています。

「なるほど。じゃあ、これから就職するなら、AI企業ね」

就活生なら、そう考えるかもしれませんが、どうも、それもうまくなさそうです。2023年、衝撃的なニュースが流れました。これまで世界のAI市場をけん引してきたグーグルが全世界で12,000人もの従業員を解雇すると発表したのです。その後も、アマゾンやIBM、ヒューレットパッカードなど、米テック企業で人員削減が続きました。AI開発企業ですら、無駄に従業員を雇う余裕はありません。つまり、AIが普及するから、AI企業に就職すれば良いという考えは間違いです。

(写真:iStock.com/tl6781)

「じゃあ、いったい、AIが普及した先で得をするのは誰なの? 私たちは何をすれば良いの?」

このシリーズを読まれている、賢明な皆さんはもうお分かりでしょう。利益の大半は、その企業の所有者、すなわち、株主に流れ込むのです。このままですと、富める者はさらに富み、奪われるものはさらに奪われる構造が続く可能性が高いのです。

このような現実を踏まえた時、今、個人として株主になるという選択を捨てるべきではありません。投資はAI時代を生き残る、重要なリスクヘッジの手段なのです。AIに働いてもらって、人間は自由に生きる、そんな未来を誰でも想像するでしょう。しかし、そんな自由な生き方を全員ができるわけではないのです。それができるのは株主だけとなる可能性が高いのです(いや、既にそうなりつつあります)。

「だったら、やっぱり米国のAI開発企業の株を買うのが良いのかな?」

多くの人はそんな風に考えてしまうかもしれませんが、投資においては、AIを開発している企業だけが儲かるわけではありません。もしそうなら、日本経済は絶望的と言えるでしょう。
しかし、AI開発企業はAI開発企業で厳しい競争を生き抜く必要があります。今年1月、中国のスタートアップ「DeepSeek」が、先行していた米国「OpenAI」と同等レベルの大規模言語モデル(LLM)を格安で開発したことを発表し、先行企業の株価が暴落するという事態がありました。

(写真:iStock.com/Julien Eichinger)

いわゆるDeepSeekショックです。今後も第2第3のAIショックが起こるかもしれません。

一方で、過去にもそうだったのですが、先端技術の開発競争に挑んでいる企業への投資よりも、むしろ、それらの開発企業とうまく手を組んで、上手に儲ける会社への投資は安定して利益を上げることができました。
例えばユニクロを展開するファーストリテイリングは、ヒートテックやエアリズム、ウルトラライトダウンといった超ヒット商品を次々と世に送り出し、長期にわたって利益を拡大し続けています(もし1998年に同社の株を買っていたら、27年後の今、その投資額は500倍ほどになっていた)が、その先進の繊維技術自体はファーストリテイリングが開発したものではありません。繊維メーカーである東レが開発したものです。

(写真:iStock.com/Sundry Photography)

そんなわけで、私も、何年も前からAI開発企業ではなく、AIを活用してうまく儲けている企業への投資を着々と進めています。今から7年ほど前の2018年に株雑誌の取材の中で紹介した企業にJBCCホールディングス(証券コード:9889)というシステム会社があります。この会社、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入支援企業として、近年、着々と業績を伸ばしているのですが、もちろん、この会社自体はAIを開発しているわけではありません。そうではなく、AI開発で先行しているマイクロソフト社とうまく連携できているのです。同社のニュースリリースによれば、2024年米国マイクロソフト社が全世界30万社に及ぶパートナー企業の中から選ぶ「Microsoft Partner of the Year Awards」においてファイナリスト3社に選ばれるほどの実力です。

で、株価の方はと言いますと、2018年ごろに私が買った価格からは既に6倍以上に上昇しています。どうもこの会社は私ととても相性が良いようで、実は2020年に買値から2.5倍ほど上昇したところで、いったん、この株を売却し、その資金を使って他の銘柄への投資を実行しました(その投資も大成功)。で、その3年後の2023年に再度この会社を調べてみると、業績は順調に推移しているのに株価だけは未だに売却した時とほぼ同じ価格で推移しており、再度、この株を買い戻したのです。現在のところ、そこからさらに2.5倍以上の上昇です。

大きな技術変化が発生している時、その技術開発競争に挑む企業の方ではなく、その周辺で上手に儲かっている企業というのは、リスクが低く、リターンの大きい、割と良い投資先だということを覚えておくと良いでしょう。

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エナフンさんの推し活株式投資

あなたが常連になっているものは、なんですか。

好きなものにお金を落としているだけではもったいない!?著者・奥山月仁氏が億の資産を築いた背景には、身の回りのモノやサービスに対する“推し活精神”があった!いま話題の会社員投資家が“推し活投資”の秘訣を紹介します。

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会社員投資家・奥山月仁(エナフン)

会社員投資家。高校2年から株式投資を始め、投資歴は30年以上。
大阪大学経済学部で証券理論を専攻。卒業後は大手企業に就職し、堅実なサラリーマン生活を営むかたわら、ピーター・リンチに倣い、成長株に中長期で投資して数億円の資産を築く。
2008
年から、株式投資の正しい知識を広める目的でブログ「エナフンさんの梨の木」を開始。
資金100万円からスタートし、投資成績を日々ブログで公開。それから17年後の20257月末には40倍以上に増えている。
著書に『個人投資家入門 by エナフン』『普通の人だから勝てる エナフン流株式投資術』『普通の人でも株で1億円! エナフン流VE投資法』(いずれも日経BP)などがある。
2025
7月には、『株小説 エビ銀 路地裏の大投資家が教えてくれたこと』(日経BP)を刊行。

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