
漢方の本場、香港出身の人気養生家でYouTubeチャンネル@rongemeganeで東洋医学の知識を発信しているロン毛メガネさん。新刊『香港式 私をいたわる12ヶ月の漢方養生』では、24節気ごとに取り入れたい食べ物、生活習慣、ツボ、マッサージなど、季節の変化に負けないセルフ養生を詳しく紹介しています。本書より、一部をお届けします。
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この本を手に取っていただき、ありがとうございます。国際中医専門員・国際中医薬膳管理師・漢方養生指導士のロン毛メガネです。肩書きが多いですよね(笑)。
「ロン毛メガネ」ってふざけた名前だな、何をしている人なの? と疑問を持たれるかと思います。
その謎を解くために、自己紹介をさせてください。
私は香港出身です。お爺ちゃんは中医師(東洋医学のお医者さん)をしていたので、私は幼い頃から東洋医学に囲まれて育ちました。日本に来たのは2007年ですが、当時は日本のヘアメイク技術を学びたくて来ました。
日本に来て、周りの食生活や生活習慣を見ては衝撃を受けてばかりでした。例えば、外食する時にほぼ100%氷水を出されること、野菜を食べるといったら大半の人は生野菜サラダを食べること、冬でも冷たいものを飲んだり食べたりすること。
ほかにも、香港では日常的に使う除湿機を持っていない人がほとんどで床に布団を敷いて寝ているなど、香港ではあり得ないことばかりで、カルチャーショックを受けたのを今でも覚えています。そうした人の多くが冷え性や下痢気味などの不調に悩んでいました。
不調を持っているのに、相変わらずな生活を続けているのを見て、私は我慢できず「温かいものを食べたほうがいいよ」「緑茶じゃなくて紅茶を飲んだほうがいいよ」とアドバイスをしましたが、「食べ物や飲み物のせいなの? 変えたら体調が良くなるの?」と半信半疑で聞き流した人がほとんどでした。
そういう私も、一人暮らしで自炊がめんどくさくて、生野菜サラダを食べたり、冷たいものを飲んだり、コンビニのお弁当を食べたりして、結局、体調を崩したわけです。東洋医学の知識を持っているのに、若さ故ですね。
その上、就職活動と重なって精神的にも病んでしまい、うつっぽくなってしまって、一時期は食事が喉を通らず拒食症のような状態になってしまいました。
身長は177センチあるのに、体重はたったの47キロまでダウン。幸い周りの友達が心配して、うるさいほど「そのままじゃ危ない」と声をかけてくれて、私は香港に一時帰国することにしました。
2010年の夏頃に香港に戻り、薬膳に詳しい両親の手作り料理を食べながら、薬局で処方してもらった漢方薬を飲み(当時お爺ちゃんはもう90代後半で現役を引退していたので、近所の薬局の中医師に診てもらいました)、運動もするように意識して、なんとか体重も3~4ヶ月で47キロから52 キロまで回復できて、体調がだいぶ良くなりました。
そして、日本での就職を諦めて、北京にある日系の企業に就職したわけです。北京の同僚たちは、ほぼ全員が白湯や温かいお茶を入れた水筒を持参していました。ちゃんと自分が作ったお弁当を持ってきて、食べる前は温めているのを見て、「やはり日本とは全然違う。さすが、東洋医学が根付いている!」と思いましたね。
自分の体調が崩れた時に東洋医学に救われ、北京の同僚たちの食事や生活習慣を見て、やはり日々の過ごし方はとても大事だと改めて思いました。
そして、ご縁があって、2014年に日本に戻ってきましたが、友達や同僚など周りの人は、やはり冷え性、生理トラブル、胃腸トラブル、不眠、めまい、耳鳴りなどの不調を持っている人が多かったです。
それで、私が持っている知識をみなさんにシェアできたら、一人でも多くの人の体調を良くできるのではないかと思い、2019年に漢方養生指導士として、YouTubeを始めたわけです。
おかげさまで、6年ほど発信し続けることができて、今では、セミナー講師や執筆活動のほか、漢方養生ライフスタイルブランド「澄善堂」のプロデュースなど色々な活動をさせていただいています。
香港出身の私だからこそ書けた1冊なので、少しでもみなさんの日常生活に役立つことができたら嬉しいです。
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