
本読みのアルパカ内田さんと、幻冬舎作品を誰より愛する営業部のコグマ部長。
2人が、幻冬舎の新刊の中からお気に入りを選んで、おススメしあう、本コーナー!
今月のコグマ部長のおすすめはこちら。
(あわせて、アルパカさんがコグマさんにおススメした作品についても、お楽しみください)
【幻冬舎営業部 コグマ部長から、
アルパカ内田さんへオススメ返し】
まさきとしか『スピーチ』

女性の遺体の目には、黒い粘着テープが
貼られていた。澄川警察署の“寄り添い型”刑事の
天道環奈は、「人の不幸が見たい」上司
緑川ミキと捜査を進めることになるが。
一気読み警察ミステリ。
一方、こちらは北海道を舞台にした警察ミステリ。
札幌・豊平川の川岸で、女性の遺体が見つかる。絞殺とみられ、なぜか両目に黒の粘着テープが一直線に貼られていた。捜査を始めた新米刑事の環奈とその上司の緑川の脳裏に浮かぶのは8年前の未解決事件。隣接する江別市の川岸で女性が絞殺され、やはり両目を黒い粘着テープで塞がれていたのだった。同一犯か、模倣犯か?
物語は2人の女性バディの捜査を軸に進みつつ、ある母親の「手記」が所々にインサートされていく。その手記では、息子が2つの事件の犯人であると告白していた。そして息子が連続殺人事件を起こしたと知った母親の胸中や事件の背景が事細かに書かれていた。読者はこう思う。このまま、捜査の手がこの息子に迫るのだ、と。やがて、15年前の幼女失踪事件との関連も浮上して……。
本作には手記、告白、自白、自供と、さまざまな人がそれぞれの立場から発する言葉(=スピーチ)が紡がれていくのだが、読むにつれて、それが誰の言葉で、どれが真実なのかがしだいに曖昧になっていく。そして、まさか、まさかの果てにたどり着いた真相。この「まさかとしか沼」にハマる覚悟で読んでほしい! 合わせて文庫新刊『レッドクローバー』もどうぞ!
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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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