
「心の持ち方ひとつで、人生は大きく変わる」――。インドのヨガ・禅の思想などを融合して築き上げた哲学を実践し、大谷翔平選手や松下幸之助など、数々の成功者を導いた、思想家・中村天風。天風哲学は、呼吸・姿勢・言葉を通して、逆境に打ち克つ力を育てていきます。
天風会の理事も務めた最後の愛弟子が、珠玉の教えをマンガとともにやさしく解説した『マンガ 人生がプラスに変わる 中村天風のことば』。本書から、一部を再編集してご紹介します。
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ネガティブな言葉は、すぐに自分で打ち消す
我々が発する言葉には、何気なく出てくるものなど何もない、と知っていますか。
どんな言葉も、その人の観念、つまり〈潜在意識〉の要素が基盤となって実在の言葉をつくっているのです。実際に日々便利に使っている言葉は、我々の〈潜在意識〉がベースとなっているのです。
〈潜在意識〉は我々の「実在意識」の態度、つまり日常の言葉や行為を決めているもので、これほど強い感化力、暗示力をもつものは他にはありません。〈潜在意識〉と言葉のつながりを完全に理解し、日常的に応用して生きる人は、もはや立派に人生哲学の第一原則を会得した人だといえるでしょう。
人生というものは、言葉で論理化され、その人の行為として表れるので、日々の言葉がその人自身も、暮らし向きさえ左右するのです。言葉は何よりも大事なのです。
我々がいかに高尚で哲学的な言葉を用いようが、人生というものはどこまで行っても現実的な実態なのです。
人生で生じる多様な課題は、現実に生きている中での諸問題であり、困難の解決にはどうしても現実の力でのみ対応する以外に道はないのです。どこか他人の人生から、その解決策をもたらすことなど不可能な甘えと言えましょう。
冗談でも、私はダメ人間だ、などと口走ったら、その場で即座に「違う、バカな自分が言ったことだ!」と打ち消すべきです。自分が本当に言った言葉ではないのだと、明確に自身の心に訴えることです。
よく言われるように、死にゆく人間でも、聴覚は最後まで機能しているようです。ましてや、生きている現実世界では、自分が発した言葉が消極的な観念要素として〈潜在意識〉にまで伝達され蓄積されるから要注意です。
さらに天風先生は次のような、英国で耳にしたという諺を紹介された思い出があります。
「お前ががっかりしたときに、ああ、俺は、とても幸福だなあと、嘘でもいいから思うがよい」
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大谷翔平選手も学んだ、「どんな逆境にも打ち克てる心の持ち方」を身につけたい方は、幻冬舎新書『マンガ 人生がプラスに変わる 中村天風のことば』をお読みください。
マンガ 人生がプラスに変わる 中村天風のことば

思想家・中村天風は、「心持ちひとつで、人はどんな逆境にも打ち克てる」と説き、インドでの修行で得た悟りや禅の思想などを融合させて“天風哲学”を築き上げた。その教えは、呼吸法で精神を鍛え、正しい姿勢で気を整え、前向きで強い言葉による暗示で潜在能力を引き出す実践的なもので、運命すらも切り拓けるようになる。本書では、天風会の理事も務めた最後の愛弟子が、師、天風のことばを40個厳選し、マンガとともにやさしく解説。松下幸之助や稲盛和夫らを成功に導き、大谷翔平も学んだ最強の成功哲学が、自然と身につく一冊。