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クロスロード凡説

2025.08.08 公開 ポスト

イマジン辻皓平(ニッポンの社長)(お笑い芸人)

どうもニッポンの社長の辻です。

いやー、とにかく暑い。これずっとこれくらい暑かったんちゃうかと思われがちですが、僕は皆さんよりしっかり明確に温暖化を感じております。

実は。答えは夏ではなく、冬にあります。いやほんまに。

ほな冬にこの話せえよと思ったあなた。その通りです。が、もうここまで書いたのでいかせてください。

 

 

5年前くらいの冬に、インナーを買ったんですよ。暖かい。スウェットの下に着るような物なんですが、ヒートテック的な薄いやつでは無く、分厚くて首まであって首から出てそれもオシャレみたいな。

 

生地で言うと少しモコモコしてて、これどこまで伝わってんのや。画像無しでどこまでいけるんや。かと言って画像出すほどの話題ちゃうねん。画像出したら逆に「それがどしてん」みたいな空気なんの分かってんねん。だから出さへんねん。

 

だからみんな一回集中しよう。
うん、生地はちょっとモコモコ。ほんでハイネック。ここまでいけた?
ほんでスウェットの下に着られるようなやつ。ほんならハイネックの部分がスウェットの首から出てオシャレ。おん、いけたよな? いけたな? さすがに。

 

これで全然想像出来てない人はちょっともうちょい映画とか小説とか漫画とか嗜(たしな)んだ方がええよ。うん。想像力が大事。

 

「想像してごらん」ってイマジンの時にジョン・レノンも言うてたやろ。まぁ英語で言うてたやろうから「ごらん」っていうのは和訳した人のセンスなんやけど。

 

和訳の人によっては「想像してみて」とか「想像しようよ」とか「想像出来るもんならしてみやがれこのアンポンタン」ってやってしもて日本ではイマジンが全然売れなかったかもしれない。

 

いや、話が逸れました。
それを次の年、4年前から着なくなったんですよ。1年だけ着て、次の年に楽しみにしてたらもう暑くて。要らんなってなって。
ほんでここ2~3年の冬なんかしっかり防寒とかしたこと無い。これは温暖化でしょう。っていう話。

 

 

うっす!!!!!

 

 

これはあかん。というかこんな内容ならスッと言えよ。スッと。ジョン・レノンもイマジンの時、「想像してごらん」の後に「天国なんて無いんだと」って続くから良いのであって、

 

想像してごらん、
あんかけチャーハンを

 

では誰も聴かない。
ジョンどうしたんだ。スランプか? となる。

 

 

いや……案外、ジョン・レノンほどの実績と信頼を勝ち取っていれば、アリなのかもしれない。なんか凄く攻めてるというか、深く聴こえる可能性がある。

 

 

試しにその部分だけを変えてみると、

 

 

想像してごらん、
あんかけチャーハンを 

ほら、簡単でしょう?
地面の下に地獄なんて無いし
僕たちの上には ただ空があるだけ

さあ想像してごらん みんなが
あんかけチャーハンを食べていることを
 

 

 

なんか深いかもしれない。
なんかあんかけチャーハンが神々しく思えてきた。
だってあんかけチャーハンなんだ。あんまり無い。

 

普通はあんかけって天津飯とか中華飯とか皿うどんにかかってるイメージで、チャーハンっていうもう完成してる物にわざわざかけなくても良いんだ。わざわざかける。だから贅沢品なんだ。贅沢ってことは、平和なんだ。

 

ジョン・レノンは戦争も宗教の争いも無い平和な世界を想像させたかったのだとしたら、あんかけチャーハンでも出来たのかもしれない。

 

世界中のみんなが同時にあんかけチャーハンを食べることが出来たら争いは無くなるのかもしれない。
あなたは僕のことを夢想家だと言うかもしれないけど。

いや、長くなりました。戻って参りました。

 

まぁとにかくここ何年かは暑くなってる。でもその温暖化は冬の方が感じる。
という凡説でした。

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クロスロード凡説

「ネタにはしてこなかった。でも、なぜか心に引っかかっていた。」
そんな出来事を、リアルとフィクションの間で、書き起こす。

始まりはリアル、着地はフィクションの新感覚エッセイ。
“日常のひっかかり”から、縦横無尽にフィクションがクロスしていく。

「コント」や「漫才」では収まらない深掘りと、妄想・言い訳・勝手な解釈が加わった「凡」説は、二転三転の末、伝説のストーリーへ……!?

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辻皓平(ニッポンの社長) お笑い芸人

1986年、京都府生まれ。

お笑いコンビ「ニッポンの社長」として、コントと漫才の“二刀流”で独自の笑いを追求。
漫才&コント二刀流No.1決定戦「ダブルインパクト」初代王者。
コント日本一を決める「キングオブコント」では、2020年から5年連続で決勝進出を果たす。

本コラムでは、日常の出来事に自由な解釈や言い訳、妄想を重ねながら、舞台とはまた違った角度で物語を綴る。
コントと漫才、どちらのネタも手がける著者が、言葉を操る“三刀流”として、文章の世界に挑む。

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