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文豪未満

2025.08.09 公開 ポスト

あなたの書店で1万円使わせてください ~MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店岩井圭也(作家)

札幌。それは、私の第二の故郷である。

高校3年まで大阪府で過ごした私は、北海道大学への進学を機に札幌に移り住んだ。以後、大学院の修士課程を修了するまでの6年間、札幌で一人暮らしをした。私にとって札幌は、20歳前後という青春ど真ん中の時期を過ごした街なのである。ちなみに、私がスープカレー好きなのは、間違いなく札幌にいた影響である。

関東に就職した直後は、友人の結婚式やら何やらで年に1度くらいは札幌に行く機会があったのだが、それも数年経つと間遠になっていった。このまま札幌とは縁遠くなっていくのか……。

そう思っていたのに、なぜか今年はすでに3回も札幌を訪れている。しかも毎回、違う目的だ。なお、札幌へ行くたびにスープカレー屋さんへ足を運んでいることは言うまでもない。

これは「ひげ男爵」で食べたスープカレー。

3回の札幌訪問のうち、6月の出張の目的は北大での取材だった。実は北大は7月25日から、創基150周年を記念して「北極星をえがく」というタイトルで小説企画を始動している。岩井はその企画で、小説執筆を担当しているのだ。

実際の冊子。

小説を掲載した冊子は、全国各地の書店で無料配布している。よければ以下のサイトを参考にしてほしい。

https://www.hokudai.ac.jp/novel/

ところで、この「あなたの書店で1万円使わせてください」という企画は今回で第20回を迎える。つまりこれまでに19か所の書店で買い物をしているわけだが(ただしうち1回は文学フリマ)、札幌市内の書店は1店舗しかない。札幌は「第二の故郷」と言っておきながら、これはちょっと寂しい。

札幌出張の際になんとか取材できないか画策したところ、ありがたいことに御縁があり、MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店さんで受けていただけることになった。同店は私が学生時代、よく通っていた書店の1つである。

札幌有数の大書店はいったいどんな売り場なのか? 節目の第20回、どうぞお楽しみください。

*   *   *

6月某日、担当編集者氏とともにMARUZEN&ジュンク堂書店札幌店さんへ向かった。同店は札幌駅とすすきのの間、大通に位置している。地下鉄大通駅34番出口直結、というアクセスのよさだ。

売り場面積は広い。ビルの地下二階から地上四階がお店のフロアであり、トータルで約1600坪だという。

とにかく広い。

まずは店長と文芸担当の方にご挨拶。その後、1階から買い物をはじめることに。出入口前で、1万円札を持った恒例の1枚を撮影。

十数年ぶりの訪問。

本企画のルールは「(できるだけ)1万円プラスマイナス千円の範囲内で購入する」という一点のみ。さっそく自腹(ここ重要)の1万円を準備して、買い物スタート。

1階の出入口から入ってすぐの場所には、大阪・関西万博(EXPO2025)でおなじみミャクミャクが。とにかく種類が豊富だった。スタッフの方いわく、大阪の会場でグッズを買えなかった方が、ここで買っていくこともあるとのこと。(©Expo 2025)

こんにちは。

書籍の売り場に移動すると、門井慶喜さんの『札幌誕生』が大々的に展開されていた。

さすが札幌。

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文豪未満

デビューしてから4年経った2022年夏。私は10年勤めた会社を辞めて専業作家になっ(てしまっ)た。妻も子どももいる。死に物狂いで書き続けるしかない。

そんな一作家が、七転八倒の日々の中で(願わくば)成長していくさまをお届けできればと思う。

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岩井圭也 作家

1987年生まれ。大阪府出身。北海道大学大学院農学院修了。2018年「永遠についての証明」で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュ ー。著書に『夏の陰』( KADOKAWA)、『文身』(祥伝社)、『最後の鑑定人』(KADOKAWA)、『付き添う人』(ポプラ社)等がある。

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