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冷酷 座間9人殺害事件

2025.07.02 公開 ポスト

「友達来るから出てて」その隙に解体 座間9人殺害犯が語った驚きの“同棲”生活小野一光

座間9人殺害事件の犯人・白石隆浩の死刑が執行されました。この殺人犯は何を考え、どう行動していたのか? ノンフィクションライター・小野一光氏が白石と重ねた11回330分の獄中対話と、裁判の模様を完全収録した書籍『冷酷 座間9人殺害事件』より、一部を抜粋してお届けします。

同棲中に別の女性を殺害・解体

私は彼の部屋にやって来て殺されなかった2番目の女性・Yさんについて尋ねた。

「10日家に泊めた人(Yさん)は、関西からやって来た、22歳くらいのキャバ嬢でしたね」

「時期はいつ?」

「9月上旬から中旬くらいです。ツイッターで知り合って、わざわざこっちに来たんですよ。自殺志願者でした。なんか彼氏が逮捕されたみたいで、(精神的に)不安定になってて、ツイッターに『死にたい』と投稿してたのを僕が拾ったんです。どっちかがフォローして、繋がりましたね」

※画像はイメージです

やり取りを重ねた末、座間市のアパートまでやって来たのだという。

「最初の日、僕のアパートに泊まったんですけど、相手は水商売だから、これはカネになると思って、必死に口説いたんです。で、なんとかなったんで……」

ただし、Yさんとは男女の関係にはならなかったと語る。

「僕もスカウト時代に相手の反応で、ヤレる、ヤレないはわかってたんで、カラダは求めなかったですね。継続的にカネを引っ張れると思ったから殺さなかったんです」

白石曰く、彼女は「普通に過ごして、普通に帰った」のだそうだ。私は質問する。

「カネを引っ張れるっていうのは、具体的にはどういうふうに?」

「食費とかですね。私にとっては派手な生活をしたんです。サイゼリアとかピザのデリバリー、カツ丼とか、全部出してくれましたから。それで、彼女は親に無断で出てきてたから、『お母さんが心配してるから帰る』って言って、帰ったんです」

 

Yさんがいた期間、すでに部屋には何人かの遺体があったはずだ。そのことに触れると、白石は予期せぬ言葉を口にした。

「すでに遺体が3つあって、信じられないかもしれないですけど、その女の子(Yさん)がいる最中に、4人目を殺してるんです。『友達呼ぶから、ちょっと出てて、ごめんねー』って。その子が出てる間にパッパと済ませて……」

白石が言うには、数時間で殺害も解体も済ませたのだと……。私はぜんとしながらも、なんとか質問する。

「そんな短時間にできるもんなの?」

「いや、その子は7時間くらい出てましたから。だんだん慣れたというか、最後のほうになると、2時間くらいでできるようになってました」

「殺してバラしてる」口説いた女性に“正直に説明した”犯行

さらに白石は想像もしなかったことを口にする。

「その子はやっぱり部屋のケース(クーラーボックス ※被害者の遺体の一部の隠し場所)に興味を持ってました。だから正直に説明したんです。『自殺を手伝ってるんだよ』って。殺してバラしてることを言ったんです。向こうは『えっ!』って感じでしたね。

『大丈夫なの? 警察来ないの?』って聞かれましたけど、『大丈夫だよ』で終わり。ただ、内心は不安だったみたいですね。(逮捕後に)調書を見ると、一人目(Xさん)と二人目(Yさん)は部屋をあさってたみたいですから」

「クーラーボックスのなかを見たってこと?」

「そうみたいですね。それで不安になって、出ていったのかもしれないですね」

※画像はイメージです

続けて白石は、3人目の女性・Zさんの話を始めた。

「3人目は9月中旬。2人目の子が実家に帰った直後です。彼女は女子高生でした。親が金持ちらしくて、たしかにそういう雰囲気があって、顔も人形のように整ってました」

そんなZさんとも、やはりツイッターで知り合ったという。

「夜にうちに来て、頑張って口説いたんですけどダメで、翌日帰っちゃいました」

「どうしてダメだったんだろう?」

「まあ、単純に僕の魅力が足りなかったんですよ」

「その子には、クーラーボックスのことは聞かれなかった?」

「聞かれましたね。だから彼女にも正直に話してます。ただ、口説けなかったでしょ。2番目の子は口説いたあとでその話をしたから、大丈夫だと思ったんですけど、そのときは正直焦って、彼女が帰ったあとでラインをして、『さっきのは全部嘘だから。忘れてね』ってメッセージを送りました」

「なんで口説き落とす前に、クーラーボックスの話をしちゃったの?」

「自分の口説きにある程度、自信を持ってたんですよ。だから、口説けば大丈夫だと思ってたんです。そのことは警察にも話してます」

*   *   *

衝撃のノンフィクション『冷酷 座間9人殺害事件』好評発売中

関連書籍

小野一光『冷酷 座間9人殺害事件』

2017年10月、神奈川県座間市のアパートの一室から大量の切断遺体が見つかった。部屋の住人・白石隆浩が女性8人男性1人を殺害・解体したと判明するや、その残虐さに世間は震撼した。白石はどんな人物か?なぜ事件は起きた?330分に及んだ獄中対話と裁判の模様を完全収録。史上まれな凶悪殺人犯に肉迫した、戦慄のノンフィクション。

小野一光『人殺しの論理 凶悪殺人犯へのインタビュー』

「腕に蚊がとまって血ぃ吸おうとしたらパシンて打つやろ。蚊も人も俺にとっては変わりない」(大牟田四人殺人事件・北村孝紘)、「私ねえ、死ぬときはアホになって死にたいと思ってんのよ」(近畿連続青酸死事件・筧千佐子)。世間を震撼させた凶悪殺人犯と対話し、その衝動や思考を聞き出してきた著者。一見普通の人と変わらない彼らだが、口をつく論理は常軌を逸している。残虐で自己中心的、凶暴で狡猾、だが人の懐に入り込むのが異常に上手い。彼らの放つ独特な臭気を探り続けた衝撃の取材録。

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冷酷 座間9人殺害事件

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小野一光

1966年、福岡県生まれ。雑誌編集者、雑誌記者を経てフリーライターに。「戦場から風俗まで」をテーマに数々の殺人事件、アフガニスタン内戦、東日本大震災などを取材し、週刊誌や月刊誌を中心に執筆。最新刊『昭和の凶悪殺人事件』のほか『冷酷 座間9人殺害事件』『全告白 後妻業の女 筧千佐子の正体』『新版 家族喰い 尼崎連続変死事件の真相』『連続殺人犯』『限界風俗嬢』など著書多数。

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