
自分は「めちゃくちゃ運がいい」と感じる、という神職の桃虚さん。
それは、「そうじ」との正しいおつきあいしているから!?
神職さんが教えてくれる『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』より、貴重なお話。
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巧の技も恋愛も、豊作も健康も、すべては天からの授かりもの
7月7日の夜、天の川の両岸で輝いている牽牛星(けんぎゅうせい)と織女星(しょくじょせい)が、年に一度だけ会うという七夕伝説は、もともと古代中国で生まれたものです。
どういういきさつで年に一度になったのか、小学生のときに聞いた気がするのですが、忘れてしまったので、七夕伝説をおさらいしてみました。
むかし、天の神様の娘「織姫(おりひめ)」は、お化粧もせず、毎日せっせと機(はた)を織っていました。
そんな娘を不憫に思った天の神様は、牛の世話を行っている「彦星(ひこぼし)」を引き合わせました。二人はすぐに恋に落ち、やがて結婚することになりました。
ところが、二人は結婚すると仕事をせず、遊んでばかりの生活を送るようになりました。
織姫は機織りをしなくなってしまい、そのために天の衣類はすたれるばかり。彦星も牛の世話をしなくなったので、牛がやせ細ってしまいました。
怒った天の神様は、二人を天の川で引き離してしまいました。すると二人は悲しみにくれて、ますます働こうとしなかったので、天の神様は真面目に働くことを条件に、年に一度だけ二人が会うことを許しました。それから毎年7月7日の夜、織姫と彦星は天の川を渡り、会うようになったのです。
……以上。「できるだけ遊んで暮らしたい」「遊びこそがお祓(はら)いになる」と思っている私のような者には、身につまされるお話でした。
さて、牽牛星は、わし座のアルタイル。織女星は、こと座のベガ。
この二つの星の実際の距離は約15光年(約140兆キロ)。どちらかの星が、光の速さで相手に向かって進んだとしても、約15年後に到着するという遠さです。
そう考えると「年に一度会える」という設定はむしろ「けっこう会っているよね」と思ってしまいます。
しかし、この伝説が初めて登場したのは孔子が編集したと言われる「詩経」とされていますから、そのころの人たちの寿命を思うと、年に一度の逢瀬は少なすぎる。ゆえにロマンチックなお話なのだと思います。
これとは別に、古代中国には手芸や裁縫の上達を祈るという意味の「乞巧(きっこう)」という言葉がありました。巧の(たくみ)わざを授かるようにと、天に乞うこと。この乞巧を、行事として行うのが7月7日でした。中国の6世紀に記録されたとされる「荊楚乞歳時記(けいそさいじき)」には、7月7日に、5色の糸などのお供えものをして裁縫や技芸の上達を願った「乞巧奠(きっこうでん)」という行事のことが記されています。「奠」とは、お供えもののことです。
「庭に瓜(うり)を並べて裁縫の上達を願い、蜘(く)蛛(も)が瓜の上に巣を張れば願いが叶う」、あるいは、「蜘蛛を小箱に入れ、翌朝の巣の張り具合で裁縫の上達を占う」というように、裁縫の上達を、蜘蛛の糸で占っていたことが記されています。
たしかに、自然界で「糸」を自在に操るもの、と言えば蜘蛛です。ある種の蜘蛛の糸では、鉄や高強度合成繊維に匹敵する強さを示すそうですし、なんといっても蜘蛛の巣のデザインは複雑で天才的ですよね。日本でも蜘蛛は神様のつかいと言われ、古くは小さい蟹をあらわす「蟹細(ささがに)」と呼ばれて、待ち人が訪れ来る前兆を人に示す生き物でした。そのため織姫には「蟹姫細(ささがにひめ)」という呼び名もあります。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」という短い小説は、極楽の蓮池のふちをぶらぶら歩いておられたお釈(しゃか)迦様が、蓮の葉にかかった一本の蜘蛛の糸を、はるか下の地獄に垂らすところから展開していきますよね。蜘蛛や、その糸は、天から授かる幸運を象徴しているのです。
神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること

古(いにしえ)より、「生活の知恵」は、「運気アップの方法」そのものでした。季節の花を愛でる、旬を美味しくいただく、しきたりを大事にする……など、五感をしっかり開いて、毎月を楽しく&雅(みやび)に迎えれば、いつの間にか好運体質に!
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神主さん直伝。「一日でも幸せな日々を続ける」ための、12カ月のはなし。
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