
みなさん、こんにちは。暮らしの専門家、積水ハウスフェローの河﨑由美子です。
犬や猫たち、鳥や魚や、さまざまな生きものたち。SNSに掲載されたペットの動画を見て、その愛らしさに癒されている人も多いはず。そんな彼ら彼女たちともっと幸せに、互いに心地よく過ごせるのはどんな住まいでしょうか。
今回は愛らしい存在であるペットとの暮らしを取り上げたいと思います。
約8割が「ペットは大切な家族」と回答
みなさんにとって、ペットはどんな存在でしょうか。積水ハウスの調査では、約8割の人がペットは人間と同じくらい大切な家族と回答しました。
また、ペットと一緒に寝ている人の割合が約半数もいることから、ペットを飼っている人にとっては、ペットが家族プラスαではなく、「大切な家族」で「かけがえのない存在」だということがわかります。
ペットと同じベッドで寝ている人の割合を住居形態別に(戸建住宅、集合住宅)で聞いたところ、戸建住宅より、集合住宅で飼っている人の方が犬は12.5ポイント、猫は9.3ポイント多い結果となりました。
続いて、日常の中で、ペットとどのように楽しんでいるかは、約9割が「ペットを愛でる」と回答しました。次いで「写真を撮る」、「おもちゃで遊ぶ」でした。
暮らしの中でペットが映える(特に可愛く見える)瞬間については、1位は「ベッドで寝ているとき」でした。無防備で愛らしい姿は、飼い主にとっても癒しのひとときになっているようです。
続いて「窓辺で日向ぼっこしているとき」「リビングで遊んでいるとき」が挙げられました。自宅でペットがリラックスしている様子はより可愛く見えるようですね。
幸せなペットライフのために
ペットとは言葉は通じないけれど、自分を求め、慕い、頼りにしていると感じるとき、なんとも言えない愛おしさに満たされますよね。言うまでもなく、ペットたちは人の支えがなければ生きていけません。
そのためには、ペットを飼う前にしっかりと確認しておくべき大切なことがあります。
- 必要な世話を、きちんと続けることはできますか
- えさ代や医療費を無理なく支払うことはできますか
- 適切な時期に正しいしつけを行うことができますか
- 一緒に過ごす時間を十分持てますか
- 天寿をまっとうできるように、その生涯を預かると誓うことができますか
など。
ペットを飼うということは、動物といかに暮らすかにかかわり続けることです。彼らにとっても、わが家は“わが家”であり、住まいの環境の影響を人間より強く受けるのです。
そのためには動物サイドと人間サイドの両方の視点からバランスポイントを見いだし、空間や装置を考えることが大切です。犬、猫、鳥のケースを考えてみましょう。
犬の場合
犬と幸福に過ごせる家づくりは、犬と暮らすためのルールを人がきちんとつくることと、犬が本来持っているナチュラルな習性を満たしてあげること、この双方のバランスポイントを探ることが大切です。
たとえば、家じゅうをフリーエリアにして常に一緒に過ごす習慣であっても、決まった場所に犬の「居どころ」を確保しておけば、留守番や来客時など、いざというときにコントロールが効きます。
居どころの基本条件として、
- 清潔で静かであること
- 夏は風通しが良く、冬は暖かいこと
- 「家族とのつながり」が姿や気配などでいつも確認できること
などがポイントです。
ペットと一緒に寝ている人も多いようですが、身体の大きな中型犬や大型犬は、寝室内に専用の寝床を用意してあげられると人もペットも快適に眠れそうです。
犬は本来、人が命令すれば自身にとって不快なことでも耐えて実行することができる動物です。
コントロールしたいことを犬自身の楽しみや心地よさに置き換えることができれば、それが人と犬の双方にとっても幸せになりそうですね。
猫の場合
猫にとって、遊びは本能からくるハンティング行動がほとんどです。
野生のころに、獲物を探したり敵から身を隠すために高い木から昇り降りしていたので、今も高いところにジャンプしたり、飛び降りたりすることが好きなのです。
しかも高いところに登る行動は、相手より高い位置から自分の優位性を示して安心感を得るためのものなので、上下運動が十分できる空間は身体だけでなく、精神面での充実にもつながります。
そこで、猫の居どころは平面よりもまず「タテ方向」を意識して用意することが大切になります。
調査ではペットの写真を撮って楽しんでいる人が6割以上いることが分かりましたが、インテリアに馴染むおしゃれなキャットタワーや、ユニークな形や色づかいのアイテムで猫の居場所をつくってあげれば、素敵な撮影コーナーにもなりそうです。
調査では、暮らしの中でペットが映える瞬間の1位が「ベットで寝ているとき」次いで「うたた寝」をしているとき」でした。猫はよく眠ります。静かな場所や、窓際、高い場所、隠れ家など、様々な場所に寝床を用意してあげましょう。
猫の「居どころ」の基本条件は、
・縦方向に上下運動できる空間
・外の景色がながめられる空間
・日向ぼっこできる空間
・一匹で静かに過ごせる空間
です。
これらを意識した家づくりを心がけましょう。
鳥の場合
鳥の居どころを心地よくするためのポイントは、大きさや生態にもよりますが、まずは空気環境を清浄に保てること、陽当たりと室温をコントロールできること、においや鳴き声を制御できることが基本となります。
また、どんな種類の鳥でも1日最低2時間は日が当たる環境を提供することが良いとされています。
庭のつくりによっては、野鳥をわが家に招いて、自然に近いふれあいを楽しむこともできますよ。
ポイントは、庭の木はその地域に馴染みの深い自生種や在来種の植物を選ぶこと。生息環境が少なくなっている野鳥たちにえさ場と休憩スポットを提供することで、地域の生態系に役立つことができます。
住まいはペットたちにとっても大切なわが家。一生過ごす場所だからこそ、飼い主はそれぞれの特性を理解して、彼らにとってよりよい環境にしてあげたいものですね。
ペットとの暮らしは多くの歓びをもたらしてくれます。だからこそ、「この家でよかった」とペットにも感じてもらえるような、やさしい住まいづくりを考えていきませんか。
数字から考える幸せわが家

幸せのかたちは、家族やライフスタイルの多様な変化に合わせて変わっていくもの。ほんの少しの知恵や工夫で、わが家がもっと好きになる。積水ハウスの住生活研究から“住めば住むほど幸せ住まい”研究に基づく、暮らしのヒントやエッセンスをご紹介していきます。研究データや意識調査、リアルな実例をもとに「ちょっとやってみようかな」と思ってもらえるコラムを更新しています。
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