
なにもない部屋をひとつ借り、「1日にひとつだけものを増やしていい」というルールで始めた、100日間のチャレンジ。
ついにスマホを手にして、思考が深まるという、不思議な現象に…!?
藤岡みなみさんの、文庫新刊『ふやすミニマリスト 所持品ゼロから1日1つだけモノをふやす生活』より。
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22日目 化粧水

本当は1日目からほしかったやつ。頼む!20日分しみ込んでくれ!!(無茶)
私がもう少し敏感な肌だったら、取り出すのは2日目とかになっていただろう。幸い鈍感な肌だったため、他の必需品を優先してぎりぎり持ちこたえたという形だ。いや、ルーペで拡大したら、実は莫大なダメージをくらっているかもしれない。
いやはや、これは体を張った挑戦である。顔を洗った後に化粧水をつけるのは長年の習慣なので、これでようやく顔を洗うという行為が完成した。
23日目 防寒レギンス もちはだ

寒すぎた。去年の冬に出会った「もちはだ」のあったかインナーを取り出す。しっかりした裏起毛で釣り人やバイク乗りにも人気らしく、私も北海道の仕事などで活用させてもらっている。
そう、これは8年間北海道での旅ロケを経験して学んだことだ。冬って着膨れしがちだけれど、本気のインナーを着用することで着るべき枚数が減る。全体の枚数が減ると、かなり動きやすい。動きやすいと、体力的にも精神的にも疲れにくくなる。
本気のインナーはきっと、モノの数が限られるこの生活でもキーとなるアイテムだと思っている。あったかくて動きやすくて、冬バージョンの私がレベルアップした。早く防寒トップスも取り出したい。
24日目 スマホ

ついにスマホ。スマホがある生活とない生活では時間の流れ方が明らかに違う。これから大事にしていきたいのはどちらの時間なのか、ということを十分に考えられたと思ったので、スマホを解禁した。これはつまり意識的に距離を置きながら付き合っていこうという決心なのだけれど、多分かなり難しいだろうな。
今はスマホなしの時間がどれだけ尊いかわかる。でも、すぐになし崩し的にスマホ依存症に戻りそう。とりあえずTwitterのアプリなどを消した。
夜はイヤホンでKan Sanoさんの曲を小さい音で聴きながら『読書の日記』の続きを読んだ。スマホを制限することにこだわるより、スマホ以外のゆったりとした時間を全身全霊で大切にしていく、というのが脱スマホ依存への道なのかも、と思い始めているけれどもどうなのか。付き合い方はまだまだ研究中。
(つづく)
ふやすミニマリスト 所持品ゼロから、1日1つだけモノをふやす生活

シンプルライフとはほど遠い生活をしていた著者が部屋を借り、所持品ほぼゼロの状態から、「1日1つ道具をふやす」という100日間のチャレンジを始める。1日目に敷布団、7日目に爪切り。スマホは果たして何日目!? 電子レンジは不要、タオルと毛布は心の必需品、大切なものの“普段使い”で幸福感が増す……など、生活の本質に迫る画期的な一冊。