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仕事の辞め方

2024.02.05 公開 ツイート

鈴木おさむ「32年間、楽しかったことは一度もない」 緊張感があるからできた最高の経験 鈴木おさむ

2024年3月31日をもって、32年間続けてきた放送作家業と脚本業を辞めることを表明した鈴木おさむさん。マンネリを捨てることで、働く意味、人生の目的、幸せのカタチが見えてくるといいます。著書『仕事の辞め方』の一部を再編集してお届けします。

*   *   *

32年間、楽しかったことは一度もない

僕はこの32年間の仕事を振り返ってきて一つ気づいたことがあります。

これまで、沢山の仕事をさせていただきました。かなりのビッグチャンスももらいました。

その中で「嬉しかったこと」は沢山あります。想像以上のものを作れたり、あとは何より、そこに結果がついてきたり。そして「やり甲斐があったこと」も沢山あります。

そして「感動したこと」も沢山あります。

ですが、「楽しかった」と思ったことは一度もなかったなと気づきました。

黒い正方形やカラーバーが敷かれた背景の前に立ち、顎に手を当てながら微笑む鈴木おさむの写真
PHOTOGRAPH=倭田宏樹

このことは、辞めると決めてから気づいたのですが、周りの人に「これまで仕事してきて楽しかったって思ったこと、一度もないんだよね」と話すと驚かれます。たまーに理解を示してくれる人はいます。

楽しくなかったからダメということではないです。僕にとって今の仕事は、天職だと思っています。

緊張感があったから最高の経験ができた

なぜ「楽しい」と思ってこなかったのか?

それは、僕が23歳の時から20年以上お仕事をさせていただいたSMAPと、そのマネジメントをされていた飯島さんの存在が大きい。

僕がSMAPの皆さんとお仕事をさせていただくようになってから、グループはただただ巨大になっていく。その仕事をしていく上で振り落とされたくないと思って必死でした。

 

目の前の仕事を全力でこなしていくのに一生懸命。与えられる仕事は、自分がいつも着ている服よりちょっと大きいサイズという感じで。その服を「いつも着てますよ」風の顔して着る感じ。本当はその仕事を与えられて、自分のサイズに合ってないのに、合ってるフリしてやって、結果を出していくしかなかった。

そして20代のうちから、自分がおもしろいと思ったものを世の中に発信していくことが出来るのは「嬉しい」ことではあるのですが、その場合は責任を問われます。

だから楽しんでいる時間はなく、常に「緊張していた」のだと思います。

奥のニュースキャスターのような人を撮影するTVカメラの写真

マネジメントの飯島さんは、絶対に妥協をしません。飯島さんは、若くておもしろいと思う人をピックアップするのがとてもうまくて、チャンスを与えられた方は嬉しいし、頑張る。

結果、成功して、その人がその分野でトップになっていくことが多い。

売れてる人を起用するのは簡単ですが、若手の時代から育てるってとても難しいですよね。

さらに飯島さんがすごいのは、自分と一緒にやってきた人がどれだけ売れようが関係ない。

自分の仕事で手を抜いたりしたらすぐに見抜くし、めちゃくちゃ厳しく注意されます。

僕も沢山のチャンスを頂きましたが、たまに、かなり厳しいオーダーもされましたし、怒られてもきました。

だから緊張感をもって頑張れたのだと思います。

そして、今まで絶対に作ることの出来なかったものを作るチャンスや環境も用意してくれました。どれだけ経験を積んでも自分の経験値では計算出来ない仕事がたまにやってくる。それに対して結果を出したいので、若手のような頃の気持ちで頑張れる。

ずっとそのような気持ちでやってきたから「楽しくなかった」のだと思いますが、振り返ってみると、それって最高の経験が出来たなと思っています。

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※続きは書籍『仕事の辞め方』でお楽しみください

※この記事はWeb版GOETHEに掲載された記事を再編集したものです

関連書籍

鈴木おさむ『仕事の辞め方』

マンネリを捨てることで、人生を取り戻す 32年間やった放送作家を辞めます。 ワクワクしない仕事をダラダラ続けるほど、人生は長くない! 「仕事を辞める」と想像することで、働く意味、人生の目的、幸せのカタチが見えてくる。 人生100年時代に、毎日をキラキラ生き続けるための方法

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仕事の辞め方

2024年3月31日をもって、32年間続けてきた放送作家業と脚本業を辞めることを表明した鈴木おさむの著書。「仕事を辞める」と想像することで、働く意味、人生の目的、幸せのカタチが見えてくる。

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鈴木おさむ 放送作家

1972年生まれ。多数の人気番組の企画・構成・演出を手がける。 そのほか、エッセイ・小説の執筆や漫画原作、映画・ドラマの脚本の執筆、映画監督、ドラマ演出、ラジオパーソナリティ、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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