「最近、お腹がぽっこりしてきた……」とお悩みの方へ、朗報があります。現在、12万部のロングセラーとなっている『内臓脂肪を最速で落とす 日本人最大の体質的弱点とその克服法』の著者で、医師の奥田昌子さんによれば、「ご飯を2口減らす」だけで、1年で内臓脂肪が4.2キロ、ウエストが4.2センチも減るそうです。内臓脂肪の危険性と、この驚きの習慣術について、奥田先生に解説していただきました。
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日本人は内臓脂肪がつきやすい体質
── なぜ、内臓脂肪が「日本人最大の体質的弱点」なのでしょうか?
内臓脂肪はお腹の深いところにたまる脂肪で、身体にとって有害な物質をつくります。その物質が血液の中に溶けこみ、全身をまわることで、がん、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病を引き起こすんです。
一方、身体の表面につく皮下脂肪は、有害な物質をそれほどつくりません。残念ながら、日本人をふくむアジア人は、皮下脂肪より内臓脂肪がつきやすい体質なんです。日本人が健康長寿を目指すうえで、内臓脂肪はいちばんの課題といえます。
── やせているように見える日本人ですが、むしろ欧米人よりも内臓脂肪がついているんですね。
意外に思いますよね。でも、みなさんのまわりにも、手足は細いのにお腹が出ている方は多いのではないでしょうか。それがまさに内臓脂肪の特徴で、日本人に多いタイプの太り方です。
欧米人の場合、全体的にでっぷりとしていても、皮下脂肪の割合が多いんです。よっぽど太らないかぎり内臓脂肪はつかないので、生活習慣病にもかかりにくいんです。
── 内臓脂肪が引き起こすのは、生活習慣病だけではないそうですね。
はい、さまざまな病気の原因になります。先ほど述べたように、内臓脂肪は身体にとって有害な物質をつくります。その物質が動脈硬化を引き起こしたり、インスリンの効き目が低下したりすることで、認知症や骨粗しょう症といった病気につながるんです。
実際、内臓脂肪がたまっている人は、アルツハイマー型認知症の発症率が約3倍になることがわかっています。
また、内臓脂肪がたまる場所も関係しています。内臓脂肪はお腹の深いところ、腹筋よりも奥にたまります。いわば胴体の芯といえる場所に、人によっては10キロを超える脂肪がたまるんです。
そのために腰痛が起きたり、お腹を圧迫することで便秘や逆流性食道炎が起きたりします。また、不妊の原因になることもわかっています。
内臓脂肪は、少しだけならむしろ必要なものです。しかしたまりすぎると、このようないろんな弊害が起きてくるんです。
満腹になったらためらわず残そう
── 読者の方の反響が大きかったのは、「ご飯を2口減らせばいい」というアドバイスでした。それだけでも、1年間続ければ、内臓脂肪が4.2キロ、腹囲が4.2センチ減るというから驚きです。
習慣の力、恐るべしですね。摂取したカロリーが合計7000キロカロリーになると、内臓脂肪が1キロ増えることがわかっています。裏を返せば、ほんの少しずつでもカロリーを抑えていけば、1年でそれだけの内臓脂肪を落とすことは可能なんです。
ここでみなさんにお伝えしたいのは、会食などで食べすぎてしまっても、投げ出さないでほしいということです。まじめに取り組んでいる人ほど自分を責めてしまいがちですが、内臓脂肪を落とすのは年単位の長期戦です。
たとえば、うっかり昼食を食べすぎてしまったら、夕食を軽くすればいいんです。場合によっては、夕食を抜いてしまってもいい。3食必ずとらないといけない、なんてことはありません。
本来、食事というのは空腹を満たすためのものです。ですから、食べているうちにお腹がふくれてきたらそこでやめる。もったいないと思わず、思い切って残すということも大事です。
人間以外のあらゆる動物は、満腹になったらそこで食べるのをやめます。でも、人間は大脳が発達したおかげで、楽しむために食べるということを覚えてしまいました。そのため、お腹がふくれているのに食べてしまう。
でも、余計なぶんはすべて内臓脂肪になってしまいます。しっかり気を引き締めていただきたいですね。
── 運動はいかがでしょうか。今より1日3000歩多く歩くことを意識すれば、10か月後には内臓脂肪が8.6キロ、腹囲が8.6センチ減るとうかがいました。
歩くのはとてもいいことです。ただし、のんびり歩くのでは意味がありません。息が弾むくらいのスピードで歩くことがポイントです。内臓脂肪は有酸素運動、つまり酸素をどんどん取り込むことで燃えます。呼吸数が増えることが重要なんです。
お腹が出てきたといって、腹筋を一生懸命やる方もいますが、それだけでは内臓脂肪は燃えません。筋トレは有酸素運動の習慣がついてから、有酸素運動に追加するイメージでやるといいと思います。
── 有酸素運動はどれくらいやればいいですか?
こま切れでかまわないので、1日30分を目安に週5日以上、続けてください。2、3か月続けると、同じ運動量でも脂肪が燃えやすくなります。いわば、ボーナスタイムがやってくるんですね。
生活習慣について言うと、睡眠も重要です。睡眠時間が短い人は、食欲に関係するホルモンのバランスが変化して、食べても満足できなくなってしまうことがわかっています。その結果、太りやすくなってしまう。
実際、睡眠時間が短い人ほど肥満度が高いというデータも出ています。寝不足は太りやすいということを、ぜひ頭に置いていただければと思います。
※本記事は、 Amazonオーディブル『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』より、〈【前編】奥田昌子と語る「『内臓脂肪を最速で落とす 日本人最大の体質的弱点とその克服法』から学ぶ内臓脂肪の落とし方」〉の内容を一部抜粋、再構成したものです。
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この連載では『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』の中から気になる部分をピックアップ! ダイジェストにしてお届けします。
番組はこちらから『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』
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