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仕事がなくなる!

2023.06.01 公開 ツイート

あなたの仕事はなくなります。その考え方とやり方を変えなければ。 丹羽宇一郎

AIの進化は凄まじく、多くの中高年が「自分の仕事の賞味期限はいつまでか」と戦々恐々としているだろう。AIに負けないマインドをいかに保つか? いかなる場所も時間も超えて、普遍的な価値を持ち得る仕事の「絶対値」を探る、丹羽宇一郎氏の新刊『仕事がなくなる!』から、まえがきをお届けします。

*   *   *

「AI (*1)の進化がすさまじいが、自分の仕事がなくなるのではないか……」

そんなふうに思っているビジネスパーソンは多いと思いますし、ときに尋ねられることもあります。私は、こう答えます。

「はい、あなたの仕事はなくなりますよ。考え方とやり方を変えなければ……」

(写真:iStock.com/IR_Stone)

2023年になって「ChatGPT(*2)(チャットGPT)」をはじめとする対話型または生成AI(*3)に注目が集まっています。

これらの対話型AIは、学習した大量のデータをもとに、まるで会話をするように、利用者とAIの間で文章でやり取りができるようになったというだけで、これまでのAIと比べて何も真新しい発明があったわけではありません。

ただ対話型AIがすごいのは、学習させているデータの量が桁外(けたはず)れに大きいという点でしょう。学習データは24時間、加速度的に増えており、そのスピードが人間の想像を超えたものであるからこそ、対話型AIの進化ぶりに対し、多くの人が脅威に感じているのです。

現段階ですでに、文書作成、翻訳、要約、法的文書の作成、データ解析、プログラミングなどさまざまなことが行えるようですから、文字や文章に関係する仕事に携わっている人は、大きな影響を受けるでしょう。

いや、文字や文章に関係する仕事に限定するまでもなく、どんな仕事であっても、AIの影響を受けない仕事はないはずです。

リアルタイムで、ある程度の正確な回答を返すAIが、こんなに早い段階で登場するとは、専門家でも予想だにしていなかったようです。

AIが人間の能力を凌駕(りょうが)するシンギュラリティ(技術的特異点)は2045年頃に訪れると言われていましたが、今は再来年ではないかと予想する専門家もいるようです。

一方で、現段階では回答に不正確な部分も多く見られたりするなど、改善の余地は大きいようです。また各方面から著作権侵害や悪用のリスクについて、さまざまな規制やルールが求められています。

とはいえ、この流れはもう、誰にも止められません。

ならば、ほとんどのことをAIがやってくれるから、人間はもう用済みなのか?

そんなことはありません。

しかし、人間がAIにはないものを使って仕事をしない限りは早晩、あなたの仕事はAIに取って代わられるでしょう。

大事なことなので繰り返しますが、AIの進化は、もう誰にも止められません。

だからこそ人間は、AIをうまく利用しながら、人間特有の能力を使った仕事に注力することが大事になるのです。

AIに使われるのではなく、AIを使うために必要なものは何か?

環境が劇的に変わっていくなかで、仕事のスタイルはどう変わらざるを得ないのか?

どのような姿勢で仕事に取り組めば、仕事を失わず、やり甲斐(がい)を感じられるのか?

いかなる場所も時間も超え、普遍的な価値を持ち得る仕事の「絶対値」を探りつつ、それらのことを本書でじっくり語っていきたいと思います。

 

*1─Artificial Intelligence(人工知能)の略。

*2─アメリカのOpenAIという企業によって開発された。Chatは歓談の意味。GPTはGenerative Pre-trained Transformerの略で、事前学習をして、自ら新たな文章を生成する言語モデルを指す。

*3─Generative AIといい、生成的人工知能のこと。

関連書籍

丹羽宇一郎『仕事がなくなる!』

昨今のAIの進化は凄まじく、多くの中高年が「自分の仕事の賞味期限はいつまでか」と戦々恐々としているだろう。世間では「リスキリング」がもてはやされているが、簡単に身につくスキルを学んだところで、一瞬でAIに追い抜かれてしまう。人生100年時代といわれる昨今、AIを超える働き方をするにはどうすればいいのか。著者は「AIが持ち得ない、人間独自のもの」に注力すればいいのだと力説する。現状維持の働き方を続ける人は、仕事どころか、居場所もなくなる!

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仕事がなくなる!

AIの進化は凄まじく、多くの中高年が「自分の仕事の賞味期限はいつまでか」と戦々恐々としているだろう。AIに負けないマインドをいかに保つか? いかなる場所も時間も超えて、普遍的な価値を持ち得る仕事の「絶対値」を探る、丹羽宇一郎氏の新刊『仕事がなくなる!』から、一部をご紹介します。

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丹羽宇一郎

公益社団法人日本中国友好協会会長。1939年愛知県生まれ。元・中華人民共和国駐箚特命全権大使。名古屋大学法学部卒業後、伊藤忠商事株式会社に入社。98年に社長に就任すると、翌99年には約4000億円の不良資産を一括処理しながらも、2001年3月期決算で同社の史上最高益を計上し、世間を瞠目させた。04年会長就任。内閣府経済財政諮問会議議員、地方分権改革推進委員会委員長、日本郵政取締役などを歴任ののち、10年に民間出身としては初の駐中国大使に就任。一般社団法人グローバルビジネス学会名誉会長、伊藤忠商事名誉理事。

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