アダルトビデオ黎明期から、カメラを通して女の性を撮りつづけてきた巨匠・代々木忠監督。新刊『人生を変えるセックス 愛と性の相談室』も好評な代々木監督は、「オーガズムには3つの種類がある」と語ります。肉体的な気持ちよさのみにとどまらない、真のオーガズムを体験するにはどうすればよいのか? 私たちに足りないものは何なのか? 代々木監督に、セックスに関する疑問やお悩みをぶつけてみました。
* * *
女性にモテるにはどうすればいい?
── 最初の質問です。「女性にモテる方法を教えてください」。
「つま先立つ者は立たず、自ら誇る者は長からず」。老子が残した言葉です。ここから学び取れるのは、等身大になることの大切さではないでしょうか。
かつて、AV監督の二村ヒトシさんに、男優として『ザ・面接』に出てもらったことがあります。
── 代々木監督の代名詞ともいえる、大人気シリーズですね。
そのとき彼は、監督という肩書きを捨てることなく、出演女性に対して上から目線で自分をアピールしたんです。当然の結果として、女性は彼のことを完全に無視しました。
恋愛は感情や感性の世界なのに、彼は一貫して頭脳的だった。そのことに気づいてもらいたくて、僕はベテランの熟女に耳打ちし、隅のほうで敗北感を味わっている彼のもとへ差し向けました。
ベテランの熟女の濃厚な愛撫に、彼は声を上げてもだえまくりました。「押し寄せてきた快感の津波に飲み込まれた」と、彼は表現していましたね。そして、エキストラの女性たちが生つばを飲むくらいの姿を見せて、彼は果てたんです。
もし、このとき彼の心に余裕があって、迫ってきた女優にどう対応すべきかといった思考が働いていたら、このような生々しさはあり得なかったと思います。
── まさに、等身大の自分をさらけ出したからこそですね。
2か月後、ふたたび撮影にやって来たときの彼は、まるっきり変わっていました。男優と女性の営みをそばでじっと見つめながら、自分の股ぐらに手をやり、心から欲情している姿をさらしたんです。まわりの人のことなんか、まったく気にしていませんでした。
すると、エキストラの女性たちが、いつの間にか彼を取り囲み始めたんです。ズボンの中に手を突っ込む者、首筋を舐める者、乳首を吸う者……。彼はあえぎにあえぎ、もだえにもだえました。
そんな彼に、今度はエキストラの女性たちが感応し始めました。何本もの手が伸びてきて、スラックスを下ろしてしごいたり、しゃぶったり、彼のことを奪い合うんですね。『ザ・面接』シリーズ、始まって以来の光景でした。
このエピソードから言えるのは、ありのままの素直な姿がいちばん魅力的だし、エロいということです。女性は男性の、そういうところに惹きつけられるんです。もし女性にモテたいなら、素直になること、等身大になることがいちばんだと思います。
真のオーガズムを経験するには?
── 次の質問です。「オーガズムってなんですか?」。
僕は、オーガズムには3つの種類があると思っています。1つめは、肉体的な気持ちよさ。男性でいえば射精、女性でいえば外イキですね。しかし、僕らの撮影現場では、これをオーガズムとは呼んでいません。単に「イク」と呼びます。
── 多くの人はこれがオーガズムだと思っていますが、実は違うということですね。
その通りです。僕らが考えるオーガズムは、肉体ではなく「心がイク」オーガズムです。このオーガズムを体験するためには、「目合(まぐわ)い」がもっとも重要です。おたがいに見つめ合うこと、そして相手のことが好きという気持ちが絶対に必要です。
みなさん、ちょっと想像してみてほしいんです。おたがいに見つめ合って、「私のあそこ濡れてきちゃった。ねえ、触って」「俺も固くなってきちゃった。俺のも触ってほしい」「もう我慢できない、あそこ舐めて」「俺もいやらしく舐めたい。音立てて舐めたい」。
こんなふうに、ふだん口にしたら人格を疑われるようなことをささやいてみる。心を心で愛撫することで、心がイクんです。このときに社会性が働いて、自分の言葉や行為を分析したり、判断したりすると、心がイクことはありません。
「心がイク」オーガズムを初めて経験すると、ほとんどの女性が泣きます。号泣する人もいます。
「私って、男」「水とジュースは混ざるでしょ?」「そのとき、私は私であり彼だった」。真のオーガズムを体験した女性たちが残してくれた言葉です。これこそが、「心がイク」オーガズムなんです。
── あと1つは、どんなオーガズムなんですか?
古代インドの哲学書、ウパニシャッドに「梵我一如」という言葉があります。宇宙を支配する原理「梵」と、個人を支配する原理「我」は同一である、という考え方です。
3つめのオーガズムは、まさに梵我一如、宇宙との一体感をおぼえるような究極のオーガズムです。インド後期密教、いわゆるタントラの時代に、性的ヨーガによって女性が解脱したという記録が残されていますが、目指して簡単に体験できる次元ではありません。僕の撮影現場でも、このオーガズムを体験した人はほんの一握りです。
僕としては、2つめの「心がイク」オーガズムをおすすめします。「心がイク」オーガズムを体験する人が増えれば、日本人の離婚率は激減すると本気で思っているほどです。
※本記事は、 Amazonオーディブル『武器になる教養30min.by 幻冬舎新書』より、〈【前編】代々木忠と語る「『人生を変えるセックス 愛と性の相談室』から学ぶ人生を豊かにする方法」〉の内容を一部抜粋、再構成したものです。
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