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11月6日より、NHKBSプレミアムで始まった、湊かなえさん原作のドラマ「山女日記~女たちは頂きを目指して~」(全7回)。単行本刊行時には、「山に登る理由」をめぐる対談も行いました。明日11月13日は、第2回の放送です。(構成:小西樹里 撮影:山田薫/対談 柏倉陽介/山)
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遭難しない山岳小説を書こうと思った
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神谷 山の小説はいろいろと読んできましたが、男性の主人公が命を懸けて山に登って生きる意味を問うとか、バタバタ人が死んでいくとか、そういう話が多いですよね。だから、『山女日記』のような小説は初めてだったので、楽しくておもしろかったです。湊さんが実際に山を歩かれているからこそのリアリティと、湊さんならではの女性の心理描写がマッチして、今までにないかたちの山岳小説になっています。新しいジャンルがここに切り開かれたなと思いました。この小説を書くきっかけをお伺いしたいです。
湊 大学生のときにサイクリング同好会の仲間と山に登るようになって、社会人になってもしばらく一緒に登っていたんです。でも、結婚してまったく山に行かなくなってしまって。また山に登りたいなと思い、いろんな方にお話していたら、幻冬舎の編集さんが「一緒に登りましょう」と。山の小説を書くなら色々な山に連れて行ってくれると(笑)。じゃあ、ぜひ、ということで山の小説を連載することになりました。山岳小説って遭難がつきものじゃないですか。でも遭難がない山岳小説や、これから山に登ってみたい人がここに登ってみようかな、私でも行けそうかなと思えるような、もっと山に親しめるようなものがあってもいいんじゃないかなと思い、今回、このようなお話にしました。神谷さんがこれまでに読んできた山岳小説には、どんな作品がありますか?
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神谷 たった今言ったことと反しますけど……まさに男性がバリバリ山に登る話が好きなんです。夢枕獏さんの『神々の山嶺』とか。
湊 すばらしいですよね。最近ですけど、とても落ち込むようなことがあったときに改めて読んで本当に救われました。……逃避?(笑) 山に行きたかったのかもしれないです。でも、山の小説はどういう気持ちのときに読むかで感じることがまったく違いますよね。『神々の山嶺』を初めて読んだときは、自分の体力に自信があって、やりたいことは何でも出来る、がんばれば何でも手に入れられると思っていた時期だったので、そんなに響くものがなかったんです。
神谷 出版されたのは、僕が学生の頃なので約20年前(1997年)ですね。
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湊 それに、むしろ主人公が登山のじゃまをする立場じゃないですか。
神谷 深町誠ですか(笑)。
湊 万能な人の足を引っ張るなよと。羽生丈二も最後には達成感を得られたし夢も叶ったけど、深町がついて行ったせいで危ない目にあって余計な体力も使った。でも、自分がダメな気持ちになっているときに読むと、深町にも寄り添えます(笑)。
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