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誰に向かって、何を話すか？

三十代半ばを過ぎた女性ともなると、ときには大勢の人たちの前でスピーチをする機会もあるはずです。

不特定多数の相手に対して話すということは、なかなか難しいものですが、ちょっとしたコツを覚えておけば、誰でもスピーチの名手になれるのです。

スピーチで最も重要なのは、誰に向かって、何を話すかということです。

そのときの聴衆はどんな人たちで、その人たちが一番聞きたいと思っていることはなんなのかを、まずよく考えてみることが大切です。

 

たとえば、同じ若い女性たちが相手でも、綺麗でエレガントな女性になるということについて話をするときと、仕事のキャリアをどのように積み重ねていくかというテーマで話をするときとでは、話のポイントがまったく違うわけです。

私は以前、作詞の仕事をしていましたが、スピーチも作詞も、基本は同じだと考えています。作詞で最も重要なのはサビの部分です。

サビとは、3分間という短いセンテンスに盛り込まれたドラマの、一番泣かせる部分、心を打つ部分のことです。作詞をするときには、このサビの部分を常に頭において考えていきます。

 

スピーチにおいてのサビは、聴衆が一番聞きたいポイントです。

まず「サビ」をきちんと作っておいて、そこに向かって話が盛り上がっていくように構成を考えましょう。そうすれば余分な部分がなくなり、眠気を誘ってしまうような冗漫なスピーチにならずに済みます。

最後の締めくくりもスピーチの大切な要素です。そこでもう一度サビを使うと、話がピシッと決まって、鮮やかな印象のスピーチになるのです。

ゆっくりバランスよく視線を動かす

また、たくさんの人の前で話すときには、内容もさることながら、どのように話せば聞き手を惹きつけられるかということも考慮しなければなりません。おすすめは、どんなに大人数の聴衆がいても、一人の人に向かって話すつもりになるという方法です。

100人の人がいても、誰もが話し手の声に真剣に耳を傾けているとは限りません。

でも、その中には必ず、「一言も漏らさずに話を聞こう」と身を乗り出している人がいるものです。そういう人たちの目はきらきらっと輝いているので、すぐにわかります。

スピーチの壇上に立ったら、まずそういう人を見つけて、その人に向かって話しかけるのです。

 

ただし、視線が一定方向にだけ偏ってしまうのもおかしいものです。聴衆をだいたい3つぐらいに大きく分けて、それぞれの中に話しかけたい人を見つけるといいでしょう。まず右手に視線を送ったら、次は真ん中、その次は左手というように、公平に視線を動かしていくのです。

このとき、あまり頻繁に視線を動かしてしまうと落ち着きのない印象を与えますので、タイミングをはかりながらゆっくりと動かすことがポイントです。

 

大人の女性のスピーチは、常にエレガントでありたいもの。その決め手となるのが、視線だということを忘れないでください。

「サビ」と「視線」。

ふたつのポイントをしっかりつかんで、スピーチ上手と呼ばれるような女性になりましょう。