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55歳のホッパーケーション

2022.12.10 更新 ツイート

ホッパーケーション6巡目~「箱根湯本~秩父」 ささきかつお

10月某日

雨の中、箱根湯本を歩いていた。

5月から開始したホッパーケーション(転々と旅しながら仕事)は6か月目、6巡目となる。
10月中旬に姪の結婚式があるので遠征はせず、東京近くを巡ることにした。

 

冷たい雨だなあ……ホッパーケーション中、傘を差したのは2回だけだった。
どんだけ晴れ男だよ、というワケではなく、たまたま移動日が晴れていただけで、雨が降った日は宿から一歩も出ずに仕事をしていた次第。なので移動日に雨──が3回目ということ。

箱根湯本のお宿は3度目、ここ、けっこう気に入っています。
歩いて日帰り温泉に行けるし、窓からの景色もいい。

少し色づいてきたかな

宿のサブスクADDressはシェアハウス、ゲストハウスなど様々な形態があるのだけど、ここ箱根湯本のお宿はマンション1Kをひとりで使うことができる。

ゲストハウス、シェアハウスなどは同宿の方々との交流が楽しいのだが、うす壁1枚を隔てて他者と生活するという「近さ」がある。気にならない人はいいのだが、僕はダメな方で……アチラの、およびコチラの生活音に敏感になってしまう。

なので、東京から割合近い場所を選ぶとすれば、ここに足が向かっていた。
ただ観光地なので生活するにはちょっと難儀することもある。たとえば買い物で、近くにスーパーがない。歩いて5分にセブンがあるのだけど、コンビニ飯ばかりでは、お財布的にバランスが悪い。なので小田原のドンキで食料を確保した。

今回もレンチンご飯、納豆、味噌汁、野菜ジュース、ヨーグルトは自家製のタネを持ってきたので、牛乳に入れて増やす──これが朝飯。昼は即席麺にカット野菜を入れて。夜は食パン、鶏肉ハンバーグ、刻みキャベツでハンバーグサンドを拵える。簡単で安価(5日分2000円)なのだ。

なにゆえ、そこまで切り詰めるの? てな話なのだが、ちょっとお金の話を。
北は利尻島、南は西表島と全国各地を巡るホッパーケーション──家計簿的なものをエクセルで作っているので把握できるのだが、ひと月の平均費用は15万円くらいだ。内訳としては、交通費&宿泊費が10万くらい、食費その他で5万円くらいかなと。

15万円が高いか、安いか? たとえば2泊3日の旅行に出たとしよう。○○トラベルの激安ツアーが19800円としても、滞在先で美味いモノを飲み食い&お土産などで計3~5万はかかるはずで、それを1カ月続けたら……その10倍となる。

お宿のサブスクADDressの通常料金は月44000円で、これで各地に宿泊できるのは大きい。ただし以前書いたように予約が取れなかったら通常のホテル泊になり……これが結構痛い。
(交通費に関しては、次回話す予定)

55歳。野宿をする勇気もなければ体力もない。となれば削るものは食費となる。
居酒屋で生ビールと肴を数品──これだけで2000円はすぐに超える。たいした金額ではないのだが、1か月続けると晩飯だけで月6万円となる。なので再掲載となるが、実際の晩飯はこんな感じ。

あ~、売れっ子作家になりたい(1)

そして、さっき書いた箱根湯本での朝昼晩は、こんな感じ。

あ~、売れっ子作家になりたい(2)

……愚痴ばかりでスミマセン。このご時世、本を出していただける&連載を書かせていただける出版社さんがいてくれるだけ、ワタクシ、幸せ者なのでございます。ちなみに、このような生活を続けていると、さすがに心がすさんできそうなので、週何度かは美味いメシをいただいております。

10月某日

昼過ぎ、小田急線の特急ロマンスカーで箱根湯本駅を出発。
新宿から山手線、池袋から西武池袋線の特急ラビューという、鉄ちゃん垂涎の乗り継ぎ。

左が小田急、右が西武の特急ね

箱根湯本から3時間ちょっとで西武秩父に到着。

お宿のベランダから見える武甲山

10月某日

秩父は、アニメの聖地であった。

ある程度知ってはいたが、町のいたるところに「あの子」がいて、自分も「あの橋」まで散歩してみたら工事中で、疲れたので帰りは秩父鉄道に乗ったら「あの電車」で……、ゴイゴイスー。

それにしても、寒くなってきたなあ。ここ秩父は山の中なので季節が東京よりも早い。

真冬のピキーンという圧倒的な寒さなら腹を括れるけど、秋から冬にかけてジワジワ寒くなる時期が個人的に一番しんどい。

ゲストハウスのシャワー室……お湯が出て来るまでの時間が長い寒い。
でもこのお宿、静かできれいで、ホントに居心地がよかった。暖かくなったら再訪したいです。

10月某日

「泊まったことがなかった」という理由で秩父を訪れ、仕事以外はノープランだった。
「いい気」を感じるのは、お宿の前が秩父神社だったからで、空気が凛としている。

ググると秩父3社とあり、あと二つは三峯神社と寶登山神社──あ、そういえば三峯神社が関東屈指のパワースポットだと聞いていた。

てなワケで仕事が空いた翌朝、西武秩父駅からバスに1時間半揺られて、三峯神社へ。

ザ・秘境。標高1100m。でも車も人も、かなりの数だった。(写真は午前10時台の駐車場)
どんだけパワースポットなのですか、とバスを降りて境内を登っていく……。

わぁ、となる。

参道も、鳥居も、拝殿も、ご神木も、まとっている神々しさが……言葉で表現できない。
オトナの事情で写真は控えるが、興味ある方はググって……いや、ぜひ現地へ。

「なめこそば」900円が、温かくて染みた

半年で北海道から沖縄まで巡ったが、都心から3時間でこの世界は想定外だった。
だから旅はおもしろい──あ、仕事もしてますんで。(6巡目、続く)

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55歳のホッパーケーション

北海道から沖縄まで、日本各地を転々と旅しながら(ホッピング)、ワーケーション(労働&休暇)もする「ホッパーケーション」を、今年55歳になる作家が始めました。宿のサブスクなどを利用しながら、各地で執筆活動、副業の日本語教師業をリモートで行う様子を、滞在先の魅力、グルメなどを交えながら(大変なこともあると思うんですけど……)おもしろおかしく日記風に紹介していきたいと思います。

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ささきかつお 作家

1967年、東京都生まれ。
出版社勤務を経て、2005年頃よりフリー編集者、ライター、書評家として活動を始め、2016年より作家として活動。主な著作に『空き店舗(幽霊つき)あります』(幻冬舎文庫)、『Q部あるいはCUBEの始動』『Q部あるいはCUBEの展開』。近著に『心がフワッと軽くなる!2分間ストーリー』(以上、PHP研究所)。

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